詩|ひつじ雲の憂鬱
もうどんなに手を伸ばしても
あのひつじ雲にはとどかない
ビードロの目に映る
透明な街が泣いてる
癒えない傷は言えないまま
夢の中から出る氣はなくて
現実に手をかけて
パッと離した瞬間
春に青なんてなくて
夏を黙って見送って
秋が嘘に染まったまま
冬はすべてを凍らせた
もうわかりにくいことは
わからなくていい
あのひつじ雲はどこかへ
行ってしまって
灰色のビルとビルの間を
水色が流れていた
ひつじ雲の憂鬱 / 月乃
今夜の月もきっと優しい。
雨にぬれたってあなたを照らすよ。