「世界を変えたい」って言いながら、どこかで「まぁいいや」って思ってる
浅野いにおの「ソラニン」という漫画が好きだ。
宮崎あおいの映画版も好きだし、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの同名の曲も好きだけれど、とにかく漫画「ソラニン」が好きだ。
買ってから何年も経っているけどいるけど、いまだに読み返している。
冒頭の倦怠感溢れる語りが何よりも好きだ。
あたしが思うに、大人は「まぁいいや」のカタマリだ。
おなかがでてきてもまぁいいや。
鼻毛が出ててもまぁいいや。
捕まらなければまぁいいや。
ココロなんてなくてもまぁいいや。
どこかで戦争や災害が起きてたくさん人が死んでも自分が幸せならまぁいいや。
この会社は給料がいいからまぁいいや。
まぁいいや。そんな風に思いながら、僕もみんなも生きている。
恐れずに言えば、世界を変えたいと思っている
例えばニュースを見ていても、日本の政治家は今日も汚職だ、女性問題だって騒いでいる。もう過去に何人も叩かれているのだから、汚いことはやめるか、絶対にばれない方法を考えればいいのに、いつまで経ってもそんなことをやっている。
その一方で、国内では「コロナウィルスが」とか「待機児童が」とか「少子高齢化が」とか問題が山積みになっていて、海外でも「領土問題が」とか「貿易戦争が」とか「空爆が」とか色々な出来事が起きている。
正直、僕は政治も分からなければ、経済も分からない。
TPPとかTPOとかTKOとかややこしいなとか、マクロ経済スライドとマクロインストーラって似てるなとか、そんなレベルである。
興味あるかないかで言えば、全く興味はない。
それでも、こんな状況を見ていると「もういい、ちょっと俺にやらせてみろ」って、そんな気分になってくる。
いや、別に政治家になりたいわけじゃない。なれるとも思えない。
ただ少なくとも、自分がやったことで世界や日本や誰かの暮らしが少しでも良いものになったらいいと思う。思っている、間違いなく。
僕の仕事は誰かの役に立っているんだろうか
僕は企業の人事担当なので、この就職活動の時期には無限とも思えるほどの学生と話をする。
その時に僕は「弊社の事業は社会公益性が高く~」みたいな話をする。
その話に沿って、面接のときには学生も「御社の理念に共感しました」と言ってくれる。
でもその言葉を投げかけられるたびに、僕は毎回苦しむことになる。
どの会社にも理念があって、その理念の達成のために会社を経営していく(ということになっている)。
そしてその理念は「すべての人に幸せを」とか「世界を豊かに」みたいなことがそれっぽく書かれている。
でもそれをそのまま体現できている企業ってどれほどあるのだろう。
仮にうちの会社がそれを体現できていたとして、その中で働く僕はどれほど「誰か」の役に立っているだろうか。
特に人事というのは、その会社や社員のために働いているけれど、社会に直接的に影響を与えることなんてできない。すると、視線が自然と内側に向いてくるから、良い評価を貰うことや「〇人採用する」みたいな狭い世界しか見えなくなってしまう。
「御社の理念に共感しました」と言って社会人になった人間も、いつかは忘れて「給料貰えるし、まぁいいや」ってなっていく。
いまの僕みたいに。
正直、くすぶっている。でも火は消さない。
人事の仕事は好きだ。会社の中の困りごとを解決していく楽しさもあるし、自分が採用した人が活躍する嬉しさもある。
だから働くときはけっこう本気で働いている。
でも自分の中に世界とか日本とか暮らしとか、そういったものを直接的に変えたい、変えなきゃいけない正義感みたいなものも持っている。
知識も武器も経験もないけれど。
「じゃあ、やればいいじゃん」
って、無責任な声が聴こえてくる。
「人生一度きりなんだからさ、やりたいことやったほうが得だよ」って。
いやそんな簡単じゃない。
生活もあるけど、いまの僕を必要としてくれる人も少なからずいる。
好きなことをして生きている人にはできなくて、僕にできることだってある(はず)。
てゆーか、そうやって好きなことをするためのお金は誰が出してんねん。
とも思う。
小さくてもいいから、世界を変えたい。
自分のいまの仕事で、それができている気はしない。
でもそこから飛び出すことはできない。
だから「まぁいいや」って思ってしまう。
それでくすぶっている。出口は見つからない。
見つからないから、とりあえず、くすぶり続けようと思う。
点いた火が燃え上がればそれは素晴らしいけれど、消えた火が二度と燃えることはない。だから、火は消さない。
細々と煙を昇らせて、小さな火を灯し続けようと思う。
だから、いまの僕に声をかけてくれるなら、これくらいがちょうどいいかもしれない。
「じゃあ、やればいいじゃん(できる範囲で)」
つきこ
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