ぬるくなったビール | 炭酸刺繍
真夏の午後を通り過ぎた先
深い痛みを覚えてしまった
二度と味わうことはないと
そう言い聞かせておいては
瞬く間に思わず目がくらみ
一つの泡沫におぼれてゆく
過ぎ去ってしまった時間は
二度と取り戻せやしないと
いつだったかそう口にした
あなたが置いていったもの
ガラス製のジョッキの中に
飲み干し損ねたほんの僅か
輝きがとっくに消え失せた
そこには酸いも甘いもなく
これからの未来を暗示する
ような抜け切った苦みだけ
記憶の底に焼き付いたまま
大人の階段をまた一つ登る
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