#025 心を整える話。
今日は、心を安定させるということについてのお話。
私は自分で思うには短気ですが、周りの人から見ると、割と穏やかで温厚な印象だと思います。外面は良いと思います。家族も含めて、自分以外の人には良く見られたいですから。子どもを叱ること以外で、感情が高まってしまうこともあまりないので、穏やかな日常を過ごしています。
怒りや嫉妬などの負の感情を持っていると、良い結果につながらないと考えているので、出来るだけ、ネガティブな気持ちでいないように心がけたいものです。しかし、人間ですから、負の感情が沸かないと言ったら、嘘になりますが。
さて、私はまだ人生40年と一寸を過ごしただけですが、どんなに頭脳明晰でも、身体能力が高くても、心の置き方が下手な人は、結果が良くないことが多いというのが実感です。例えば、私は小学生から社会人までサッカーをやってきましたが、上手な選手でも、感情の起伏がコントロールできずに継続して高いパフォーマンスを出せない選手がたくさんいます。中学生くらいまでは個人の素質だけで十分戦えるのですが、高校生あたりから相手もイライラさせる術を身に付け始めて、常にイライラしている中で、集中して高いパフォーマンスを出すことが出来なくなっている選手をよく見かけました。長いシーズン、競技生活を送る中で、そういう方々は、結局、パフォーマンスの平均値が低く、落ちていきました。仕事でも、頭脳明晰な方、といったら、語弊があるので、正しくは、出身高校・大学の偏差値が高く、受験勉強に勝ってきた人たち、そして、正解を見つけるのが早い人たち。彼らのイライラは2種類。一つは、答えに早くたどり着かない人に対する苛立ち。苛立ちというよりは、少しバカにした態度を取ったりします。ただし、育ちの良いタイプは表面には出さずに小バカにするのがお上手です。彼らがもっている負の感情は、他人に対する優越感と苛立ちを併せ持っている苛立ち。もう一つは、答えが正しいかよく分からないことへの苛立ち。世の中のこと、ビジネスのことについては、答えが一つではなかったり、やってみないと分からないことが多くあります。また、自分の常識ではない判断基準で物事や行動を決めたりする人も世の中には多くいます。自分とは異なるロジックによる答えが不正解であると考えるために沸いてくる苛立ち。養老孟司さんは「バカの壁」と形容されていましたね。つまり、不確実な世の中、異なるロジックを持った答えに対する苛立ち。俺は間違っていないのに、システムや仕組みが間違っている、もしくは、集団の多くの人が間違っていると考える負の感情。どちらも、感情としては、なんで、私の言ってることが分かんないわけ?というタイプの負の感情です。
これらの感情を抑えるには、どうしたら良いのでしょうか。私が偉そうに話すことではないのですが、『相手の立場にたって物事を考える』という小学生のとき、誰しもが先生や親から言われた、この言葉。これだけです。結局、負の感情の根本にあるのは、私からみた世界、なのか、あなたからみた世界、なのか、の立ち位置の違いだけだと考えます。
このスキルを身に付けるために、私は口を酸っぱくして、子どもたちに伝えていることが、教養を身に付けなさい、ということです。教養については「#014 教養ってなんだろう?」で細かく書いているので割愛しますが、世の中には、人によって、答えは違うし、答えの導き方も違う、根本の発想も違う、でも、どれが正しいかはあまり関係なく、どれがもっともみんなが納得するかということが大切なのだよ、ということを知ることで、負の感情から解放され、さらに研ぎ澄まされた解決策を考えることができ、結果として、仲間の信頼を得ることになるのだと思います。
そう、私が言いたかったことは、負の感情で結果が出ないのは、負の感情を持つことで、仲間からの信頼を得られない、そのことで、自分以外の力を頼りにできないために、良い結果を得られないのですよ、ということを伝えたかったのです。