イラストエッセイ「私家版パンセ」 0011 「人は手と足と頭を使って人間になる」 教育論 20240604
二本足で歩行することによって脳に刺激が加えられ、人間が誕生したと言われます。
だから人になるためには足を使って歩かなければなりません。
ちょうどアブラハムが父祖の地を後にして約束の土地へ歩き始めたように。
手を使うことで人間は道具を使用するようになり、文明を築きました。
だから人は手を使わなければなりません。
ちょうどダヴィデが投石機を使って巨人ゴリアテを倒したように。
人間は考える葦であるとパスカルは言います。
だから我々は考えなければなりません。
ちょうど、神から何が欲しいかとと聞かれ、知恵を求めたソロモンのように。
人は群れることでより強い動物の餌食とならずに存続しました。
だから我々は他の人と共に生きることを学ばなければなりません。
ちょうどモーセが十戒を示して共同体の有るべき姿を示したように。
このように人間は絶え間ない努力によって人間になりました。人は人間であるのではなく、人間になるのです。
しかるに科学文明は人間が努力しなくて良いように進歩を遂げてきました。
車を利用して歩かず、機械を使って手を使わず、AIを使って考えず、フィルターバブルの中に閉じこもって孤立しています。
人間が人間になるための努力を止めれば、人間は人間になることが出来ないということを忘れてはならないと思います。
私家版パンセとは
ぼくは5年間のサラリーマン生活と、30年間の教師生活を送りました。
その30年間、子供たちが元気になれるような言葉はないかなと考え続けて来ました。
そんな風にして考えた小さな思考の断片をご紹介します。
これらの言葉がほんの少しでも誰かの力になれたら幸いです。