20240711 イラストエッセイ「私家版パンセ」 0029 人生が行き詰まった時には外なるものに目を向けよ
人生に行き詰まった友人が、先生に相談したそうです。するとその先生は、「偉大なものを読みなさい」と答えたそうです。
人間は卑小なものです。一方、世界は不思議で偉大なものに満ちています。
自分の内側に目を向けている限り、いつか必ず行き詰まります。
他方、外なる偉大なものに目を向けている人は、退屈を知りません。
人生が「つまらない」と感じている人は、ほとんど目が内側に向いています。自分という存在は有限ですから、自分だけを見つめていれば必ずつまらなくなります。
神秘主義者と言われる人々は深く自分の内側を見つめます。しかし彼らは内側に外なるものを発見するから、退屈しないのです。
養老孟子先生は、学生たちとの対談の中で、学生たちの悩みが人間関係のことに集中していることに警鐘を鳴らしました。人間の世界だけが世界ではない。自然に目を向けなさいと。
同じことだと思います。
常に、未知なる驚異、神秘、自分の内的な枠組み、価値観をくつがえすような偉大なものとの出会いに扉を開いておくことが、人生を面白くし、人を成長させるのだと思います。