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20240824 イラストエッセイ「私家版パンセ」 0045 迷宮体験

 観劇や読書、美術館巡りや音楽鑑賞は、一種の迷宮体験です。
 迷宮体験とは、とある迷宮に入り込んで一定時間を過ごし、再び外に出た時、以前の自分とは違ったものになっている、という体験です。
 ちょうど一人の若者が迷宮に入り込み、ミノタウロスを倒した後、英雄となったテセウスの伝説のように。
 迷宮の中で行われるのは死と復活の儀式です。迷宮を経た後、人は新しい自己として再生します。
 人は人生の重要な事柄を迷宮体験を通して学びます。
 真に学ぶということは、単なる知識の取得ではなく、体験です。
 これを実存主義的には「経験」と呼び、この経験は普遍に至ると考えます。
 教育者はこのことを意識して、学校がそのような経験を得る場であることを心掛けるべきだと思います。そうでなければ、学校はAIや通信教育にとってかわられるでしょう。優れた学校は、迷宮に他なりません。

 テセウスはアリアドネーからもらった糸巻きを持って迷宮に挑みます。
 教師はこの糸巻きのような存在だと考えると良いと思います。

エドワード・バーン・ジョーンズ「テセウスとミノタウロス」模写




私家版パンセとは

 ぼくは5年間のサラリーマン生活をした後、キリスト教主義の学校で30年間、英語を教えました。 たくさんの人と出会い、貴重な学びと経験を得ることができました。もちろん、本からも学び続け、考え続けて来ました。 そんな生活の中で、いくつかの言葉が残りました。そんな小さな思考の断片をご紹介したいと思います。 これらの言葉がほんの少しでも誰かの力になれたら幸いです。

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