
140文字の読書感想文Ⅲ
コンビニ人間 / 村田沙耶香
古倉恵子。コンビニバイト歴18年。独身。36歳。
コンビニ「店員」のときにだけ、私はこの世界の歯車の一部になれる。
多様性が叫ばれる程、暗に求められる「普通」の基準。これは古倉のおかしさを描いた作品じゃない。「普通」で安心したがる私たちの「対話のなさ」を描いた作品。
再読。2016年の芥川賞受賞作。思えば私と村田さんとの出会いの書でもある。初読の時点でも、まあ衝撃だったけど、コンビニ人間はまだまだ序の口だったと、のちに知ることになります。初読の時には気づかなかった主人公 古倉の普遍性や強さみたいなのに、再読することで気づけました。

死にたくなったら電話して / 李龍徳
空虚な毎日を送る浪人生の徳山。友人に連れられて訪れたキャバクラで、初美と出会う。
「死にたくなったら電話して下さい」
こんな愚かな世界で、希望を抱くなんてナンセンス。初美の語る虚無に、次第に徳山は魅了されていく。それは読者が魅了される過程でもあった。
あー初美が魅力的すぎる。幻想に誘われてついて行ったら、そこは崖でした。みたいな妖しさが初美にはあるんです。初美の言葉の耳心地が良すぎて、ヤバいとはわかっているのに、聞き入ってしまう。読む際はお気をつけて…。

イクサガミ地 / 今村翔吾
最強の厨二病小説第2作(褒めてます!)
時は明治11年。292人によるデスレース
『蠱毒』が開始された。
愁二朗は少女 双葉と共に東京を目指す。
義兄弟との宿命、新たな仲間と敵、
戦凶との因縁、暗躍する政府の思惑。
其々の運命が複雑に絡み合う『地』編!!
本当に3部作?残り人数はあとー
子どもの頃、傘を剣に見立ててよく遊んでいました。技名とか叫んで。あの時の厨二病感を、本気で再現してくれている気がして、私は大好き。気になる方はまず一巻の『天』を!

激ヤバ / 伊藤幸司
ランジャタイ伊藤のエッセイ集。びっくりした。
さっきまで笑ってたと思ったら、泣いてた。
まさか泣かされるなんて思ってもみなかった。
芸人さんの本なのに「生きよう」と思えるオチに
もってくるのはズルい。
芸人伊藤の文章に不意に現れる、
人間伊藤の文章に心打たれる。本当に激ヤバ。
うーん、泣きました。なんでだろう。たぶん文章のうまさとかではないんですよね。感情の配合のうまさな気がします。笑わせてくれるだけじゃない、心からのエッセイがこの本にはあります。

木暮荘物語 / 三浦しをん
とっても良かった…推せる…。
木暮荘の住人達を主軸に描く短編集。
物語毎に一人ずつ焦点が当たっていく。
登場人物みんな欲求がストレートで面白い。
欲求って、叶っても、諦めることになっても、
その終わりは少し切なくて虚しい。
物語にもその感じがあって、最後は切なくなった。
友人におすすめしてもらった本。三浦さんの本は『舟を編む』以来なのですが、性愛を露骨に描くんだ! と驚きました。私は短編のほうが好みだったかも。おすすめです。

さて、今回はここまで!
また次回の140文字でお会いしましょう〜👏
▽ 前回の140文字 ▽