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『嗣永伝 NO.12(完結編)』 〜嗣永が文学界や今の出版業界の現状にメスを入れる〜


出版社と印刷業界と書店を取り除く?

は? 何を言ってるんだこの人は?

と、思った方もいるかもしれないが、ただ、実際そうなんですよ。

説明します。

まずは、このグラフをご覧ください。



これは印刷物にかかる資金の内訳を、円グラフにしたものです。

ぼくも詳しいことは判りませんが、上記の通り出版物を世に送り出すためには、多くの資金が著者である原作者(小説家)に渡る前に、色んな業界に搾取されているわけです。

つまり、1,000円の本を売ったとして、それがベストセラーの最低ラインである基準値である10万冊売れたとしましょう。で、それで著者に入る印税を上のグラフを元に算出すると、

1000 × 100000 = 100000000(1億)

ということになり、その5%なので、たったの50万円です。
(10%でも100万円)

それでは、税金も払えませんし、生活なんかできるはずがありません。

ということで、足りない生活費を補うために、アルバイトやパートにでも出ますか? 兼業作家をして、ちまちま執筆活動を続けますか? それとも小説家を諦めて会社員に戻りますか?

バカバカしくないですか?

ぼくはバカバカしいと思います。

何ヶ月も、何年もかけて命をも削って、やっとの思いで書き上げた作品が、たった50万円ですよ? 我が子のように育ててきた作品を、そんな値段で売りに出せます? しかも子どもで譬えるなら、親権はほとんど出版社のモノになるようなものですし、著作権という権利は著作者に残りますが、出版権や二次的利用に関する権利などは、契約書の内容にもよりますが、ほぼ著作者から剥奪されるんですよ? なんでか判ります?

出版に関してお金を出しているのが、出版社だからです!!!

著者であって原作者であるのに、生みの親であるはずなのに、小説家にはたった5%の印税しか入らないですし、何なら版権は出版社に奪われるので、そのあと映画化になろうが、グッズ化して売り出されようが、原作者に入るのは、たったの数百万円の原作使用料と、数パーセントの印税くらいのもので、そもそもその数パーセントの印税も、本が売れて映画化などになればという話であって、まとめると、ほとんどの版権や売上は出版社やそれに関わった、関連業界に持って行かれてるわけなんです。

人身売買した上で、原作レイプされて、お金を払われずに、泣き寝入りしているのと、なんら変わらない。(ちょっと表現が過激すぎましたが……)

ということは、出版物だけに関して言えば(映画化など二次使用に関する権利などを話し出すと、話がややこしくなるので、ここで割愛させてもらうが……)、出版社や印刷業界、本の在庫をストックしておくための倉庫、その本を運搬するための運送業界、最後に本を売るための書店などの、多くの業界を排除することによって、もっと安く効率的に、著者の書き上げた小説を(血と涙と汗の結晶である作品)読者のもとに届けることができるし、余計な手順を踏まないことで、著者が受けとる利益も、理論的には増やすことができるわけです。

つまり、著者と読者を、一本の線で結んでしまえば、この書籍の売れない世の中でも、小説家がまともに生活できる水準で、利益を得られる仕組みを構築することができるわけです。

(まだ、本が売れていたころまでは、それなりに小説家が儲かっていた時代もあったのかもしれませんが、一部の一流作家を除いて、もう昔のシステムのままでは、小説家という職業では、まともに食っていくのも難しくなってきているわけです……【活字を媒体もしているメディアは、特にその煽りを諸に受けている】)

著者 → 出版社 → 印刷会社 → 卸売り業者 → 運送業 → 書店 → 読者


ではなく、

著者 → 読者


と、なるべく仲介業者が介入させないように、出版業界の仕組みを作り替えてしまうわけです。もちろん、それで衰退していく業界もあるでしょうが、時代に合わなくなった業界が淘汰されるのは、いつの時代も同じ事なので仕方ないとして、小説(日本文学)という文化は守るべきだと思っています!!!




次回へ続く……




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