鳥原継接

小説をやったりやらなかったりしています。SFとか書いてるつもり。既刊はサークル「文文文…

鳥原継接

小説をやったりやらなかったりしています。SFとか書いてるつもり。既刊はサークル「文文文庫」https://amzn.to/3yO6NSE

最近の記事

枯木枕「となりあう呼吸」シェアードワールド企画落選作「レンダリング」

枯木枕「となりあう呼吸」と世界観を共通した作品をつくるシェアードワールド企画がありました。恥ずかしながら自作も提出して落選したので、そちらの供養です。公開された落選作を読んでいましたら己のダメダメな点を多いに見つけましたので、そうした参考になったらうれしいですね。 なおSFGとコラボらしく、「SFG vol.3」では2020年月間SFガイドのFanzineで自作を紹介してもらったのでSFGは日々応援しています。ひき続きSFにいろいろ良いことをしてほしいですね。 『レンダリン

    • 掌編「鉄棒、鋭くなって」

       大学生まで勃起をしたことがなかったというと、人には気味悪がられて、嘘をついていると思われる。高校で身長一九〇センチの男性性のカタマリ然とした髭面に成長した鉄也が言うとなおさらだ。同級生が自分の下半身事情に敏感な年ごろになっても、鉄也の鉄也自身は不動の状態を保ってピクリとも反応せず、教室で回し読みされるグラビアや友達の家で見たビデオでもいちもつは沈黙を貫き続け、骨のない態度を示していた。健康的な一般男性の朝は脳より下半身の方が早起きだというが、自分の意志と無関係に鎌首をもたげ

      • 名前のない色でぬり変えて

         部屋に窓やカメラといったものはない。あるのは対話を可能にするマイクとスピーカー、一人がけの机と椅子のみである。視覚でこの部屋の情報を得ることはできない。  これは隔離取調室7号の記録だ。    あの事故で、妻の命と、娘は両目を失った。  母親を亡くしたことも相まって娘はひどく落ち込んだ。外にも出ず家でふさぎこむ毎日だ。妻と娘は重い代償を払ったのに、父の私はただのムチウチで済んだのが罪悪感をさらにあおる。  せめて娘の眼だけでもどうにかしたい。  そのときに声をかけてきたのが

      枯木枕「となりあう呼吸」シェアードワールド企画落選作「レンダリング」