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侮れない「ブレンドコーヒー」の底力

僕は今、京都でLaughterというコーヒーショップを運営しています。

「シングルオリジンコーヒー」という言葉、皆さんはご存知でしょうか?
一つの農場から生産された豆だけを使ったコーヒーのことで、
タイ・チャーリー農園 
という感じで、生産国だけでなく生産地や生産者、品種などがはっきりしていて、品質が保証されていることが大きな特徴です。

近年はこのシングルオリジンコーヒーを取り扱う店も増え、徐々に人気が高まっています。
お店によってはブレンドがなくシングルオリジンのみのラインナップだったり、同じ農園で生産方法や品種が違うものを何種類も置いていたりと、シングルオリジンコーヒーはどんどん勢力を拡大しています。

一方で侮れないのはブレンドコーヒーの底力です。
当店でも常時ブレンド3種類、シングルオリジン5種類を販売していますが、どうしてもシングルオリジンコーヒーには
「難しい」
「違いが分からない」
というイメージを持たれる方もいらっしゃいます。

そんな時に「ブレンド」があると、お客さんにとっての安心に繋がります。
もちろん、ブレンドすることで角が取れ丸みのある味わいに仕上がることも大きな要因でしょう。

「ブレンドで!」と注文されるお客さんも沢山おられますし、実際当店の人気1.2を争うのはどちらもブレンドコーヒーです。

シングルオリジンコーヒーの台頭で、一口にコーヒーと言っても味わいは千差万別といえるこの時代。
日常生活との結びつきも強いコーヒーという飲み物に、「毎日飲んでも飽きない、良い意味でのくせのなさ」を求めていらっしゃる方は結構多いのかもしれません。

ちなみに、「ブレンドコーヒーってどうやって作っているんですか?」という質問をよくされるので、ざっくりですがブレンドコーヒーの作り方をご紹介したいと思います。

まず最初にするのは「ブレンドの方向性を決めること」うちのお店では、・スッキリと華やかな味わいのラフターブレンド・しっかりとコーヒーらしいコクと苦みの西陣ブレンド・バランスよく毎日飲めるハウスブレンドの3種類のブレンドがありますが、「華やか系」「しっかり系」「バランス系」の3つを作りたいと決めてスタートしました。

バレンタインブレンド、クリスマスブレンドといった季節限定のブレンドを作る時も「チョコレートに合うような深煎り系のブレンド」といったように、イメージを膨らませてブレンドの方向性を作ります。

そして、方向性が決まればそれに合うコーヒー豆をセレクトしていきます。華やかなブレンドを作りたいときは、浅煎り系の豆を中心に。しっかり系のブレンドを作りたいときは、深煎り系の豆を中心に選んで配合していきます。

上手くいかないときには、配合の比率を変えたり、ほかの豆を加えたり。思いつく限りのパターンを試して、ブレンドを形作っていきます。

ブレンドを作る過程を僕はよく絵の具に例えます。最初に「空」を描く色を作りたいとイメージしたとします。そしたら、青とか白といった色を用意して混ぜていって、理想の「空色」を探すことになるでしょう。ブレンド作りもまさにそんな感じです。

ちなみに、絵の具で迷子になって色々混ぜた結果黒色になってしまうように、コーヒーもあまりにもたくさんの豆を混ぜてしまうとぼやけた味になってしまいます。

ブレンドとしての味が美味しいのはもちろんですが、それぞれの豆の個性が消えていないことも重要視しています。そして、納得する味ができなかった場合はお蔵入りになることも…

そんな過程を経て並ぶブレンドコーヒー。答えがない分、店主さんの好みやそのお店の表現したい味が現れるのがブレンドコーヒー。

ぜひ、ブレンドコーヒーの世界を楽しんでいただければと思います!



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三輪浩朔(みわこうさく)@コーヒーショップLaughter(京都)
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