起業したかったら学生のうちにするべきか?
僕は今、京都でLaughterというコーヒーショップを運営しています。
事業の始まりは、タイ北部のコーヒー農園からコーヒー豆を輸入・販売することでした。大学四回生の時に法人を立ち上げスタートしました。
いわゆる「学生起業」と呼ばれるやつです。
そうした事もあってか、現役の学生さんとお話する機会もちょくちょくあります。もちろん、起業を夢見る学生さんも。今回は、学生さんからよく聞かれる質問について。
・学生起業のブランド力
「起業したかったら学生のうちにするべきですか?」
必ずと言って良いほど聞かれるこの質問。これに関しては、一人一人の性格や事業内容によっても何が最善か変わってくるので一概には言えませんが、いつも伝えるのは「学生起業のブランド力」です。
政府がスタートアップ支援を打ち出し、高校や大学でも探求学習や起業家育成支援に取り組む学校が増えている中で、「学生起業家」の需要は高まってると言えます。
起業を目指す学生の目標になるのはもちろん、学生起業をサポートする側の大人たちも学生起業家の声を聞きたい・学生起業家の声を聞ける場を設けたいと考えています。
実際に、Laughterでは京都橘大学の起業家育成プログラムの一環で、学内にカフェを設け実際に学生たちがメニュー開発から販売までを行うプロジェクトのアドバイザリー講師として伴走支援をさせていただいています。
京都には有名なコーヒー店が沢山あるし、橘大学の周辺にもコーヒー屋さんは点在しています。(橘大学のOBでもないし、橘大学とうちのお店が近いわけでもない)
それでも依頼を頂いたのは、間違いなく僕らが「学生起業家」であったから。母校の龍谷大学でも起業家育成に関するお仕事を頂くことがあります。
どれだけ売り上げを上げたとしても、学生時代に起業していなければ、後からお金を積んで学生起業家になることは出来ません。
自分たちが思ってる以上に「学生起業」という肩書は武器になるんです。
・チャンスがもらえるからこそつらかったこと
起業する直前位から様々な交流会に「学生起業家予備軍」みたいなポジションで誘っていただけるようになりました。
それぞれの交流会に行っては、名刺を配り夢やビジョンを語る日々。経営者っぽい立ち振る舞いをしていることに喜びを感じていましたが、段々と焦りが出てきます。
今振り返れば当たり前なんですが、起業したての学生にすぐ依頼できる仕事なんて中々ありません。信用も信頼もない若者には応援の気持ちを伝えるのが精一杯だったんだと思います。
「応援してるよ」と知ってもらっている人は増えていくけど、仕事は増えているわけでは無い。そんな状況にはつらさもありました。
ただ、ここ数年ようやく自分たちも地盤が少しずつでき始め、起業当初にお会いした方からコーヒーに関するご相談を頂くケースも増えてきました。
あの時の出会いは無駄じゃなかったんだなと。今ははっきり断言できます。
ただ、当時はツラい部分もありました。
・起業とは「雇われない」ことではない
学生のうちに起業すべきかどうかに答えはありません。ただ僕らの場合は「学生起業」という肩書を手に入れたことで様々なきっかけを与えてもらったことは確かです。
ただ、一つ感じるのはそもそも起業というものが就職と対極のところにあって、起業に「雇われじゃない」「自由がある」と思っている学生さんが多いこと。僕はそうじゃなくて、もっとそれぞれの道の本質を見てほしいなと。
今や多様な働き方があって、会社に所属しながらも自由な働き方が出来るケースもあるし、起業しても必ずしもすべての面で自由になれるわけでは無い。
就職か起業かまた違う道か。それぞれの選択はあくまで手段に過ぎません。
僕は起業しましたが、あえて起業だけをおススメしないようにしています。
そもそも学生のうちに起業したいと思う前向きな姿勢があれば、どんな道に進もうが何とかなると思っています。
僕が思う「学生起業」への本音でした。