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人材紹介一筋17年。忘れられない社長

人材紹介一筋17年。

忘れられない社長がいる。

大阪にある、ビル清掃のフランチャイザー企業D社の社長だ。

当時、ビル清掃をプロに任せることで、建物の耐久年数が上がるという話があり、ビル清掃のニーズが高まっていた。

顧客からの問い合わせがくるのに営業がいない。
D社にとって営業人材の採用が急務となっていた。


社長との出会い

2007年、新卒でリクルートに入社した僕は、大阪梅田支社に配属となった。

リクルート、新卒、といえば「新規開拓」だ。

毎日、何十件も電話をかける日々。
嫌いじゃなかった。

入社3年目、いつものように新規開拓のアポとり電話をかけた。

プルルル、ガチャ。

電話に出たのはD社のO社長。僕が社名を名乗ると、

「お前こんなやつ連れて来れんのか?」と、いきなりまくし立ててきた。

「え…。社長、ちょっと待ってください。こんなやつってどんなやつか、もうちょっと知りたいんですけど…」

「うるさいわボケ。連れてこれんのか、連れてこれへんのか、どっちや?」

「連れてこれます……」僕は、思わず口にした。

「ほんまか?じゃあ、アポ来い」

「アポはいつがいいですか?」

「今や。今来い。今やったら空いとるんや」

「あああ…はい。行きます」

電話を切ると、僕はD社へ向かった。

勢いのあるD社の社長は、実際にお会いしてみると、
めちゃくちゃボケてくる社長だった。

幼い頃からお笑い芸人を目指していた。
心斎橋で、相方との漫才に明け暮れた日々もある僕にとって、ボケ倒してくる社長とのやりとりが、楽しくてたまらなかった。

「なに言ってるんすか!」

社長のボケに勢いよくツッコむと、
社長は、めちゃくちゃ喜んでくれた。


社長と一緒に焼肉を食べる

D社に通いだして2年目に入るころ、
リクルートエージェントの人材紹介を使ってもらえることになった。

社長との楽しい思い出がある。

申込書を書いてもらうとき、最後に印鑑を押してもらう箇所がある。

「社長、ここに印鑑をお願いします」と僕は伝えた。

「どこやねん」

「社長、ここです」

「どこや?」

「いや、だから社長ここです。ここに『印』って書いてるでしょ」

「どこやー!!!」社長は印鑑を僕のおでこにグイっと押してきた。

「シャチョー!!!そこ、印って書いてないでしょー!」僕は社長にツッコミを入れた。

「お前、このまま会社に帰れよ」社長はニヤリと笑った。

勘弁してくれよ……という気持ちと、
おいしいかも……という気持ちと。

僕は電車に乗って会社に帰った。

この時点で、「うわ、この社長、無理……」と思う人もいるかもしれない。

僕はこの社長が好きだった。

社長はすこぶる元気でコミュニケーションが独特だった。
そのせいか、他の人材紹介会社や外部の業者との付き合いがなかった。
社長の勢いについていけず、離れていったのだろう。

僕は独占でD社の採用を任せてもらえることになった。

D社の採用にあたって、「応募がない」ことが課題だった。

ビル清掃のフランチャイザーのビジネスモデルは、わかりにくい。
社長や会社の魅力を、求人票の文面だけでは伝えることが難しかった。

普段は口の悪い社長は、ビジョンを語らせれば政治家に見まがうくらいに語りが上手かった。なんとかしてこの社長の魅力を伝える方法がないかと考えた。

ごちゃごちゃと求人票に書くのではなく、セミナー求人を作る。
実際に社長に会える「場」としてセミナーを開催することにした。

ざっくばらんに語り合えて、社長の人柄も伝わる場所がいいと考えた僕は、
セミナー後、希望者と一緒に焼肉に行くことを提案した。

「焼肉食いながら話しましょう。社長、経費を持ってくれませんか?
焼肉食える言うたら、若い人も来てくれると思うんです」

最初は「なんで俺が焼肉奢らなあかんねん」と言っていた社長も、
「一緒に焼肉を食べていい人を採用できれば、売上が上がる」と力説する僕にかけてくれた。

キャリアアドバイザーに求人広報を行うと、どのキャリアアドバイザーも
ひとりふたりは求人を紹介したいと思い浮かぶ人がいるようだった。

セミナーには、10名の応募者を集めることができた。

セミナー後、そのまま10名の方と焼肉を食べながら、社長はビジョンを語った。

参加した10名は、全員その後の選考にも進んでくれた。

最終的に、3名を採用することができた。

「3名も採用したんやから」と、社長から値引き交渉が入った。

僕の売上が下がってしまうので、社長には勘弁してほしいと伝えた。
それでも社長は納得してくれない。

上司に値引き対応できないかと相談を持ちかけるも認めてもらえなかった。
上司は「俺が同行したるわ」と、一緒に社長のもとを訪れることになった。

名だたる大手企業を担当し、華々しい結果を出してきた上司と、地場でゴリゴリやってきた社長。ふたりの気が合うはずもない……と思っていた。「やんちゃな社長なのでやめておいた方がいいです」と伝えたが、僕の声は上司には届かなかった。

そして、悲劇は起きた。

「なんしにきたんやオラァ!値引きせんのやったら帰れコラァ」

上司の顔を見るなり、社長はいつもの挨拶をかましてきた。

チーン・・・・

上司の顔が凍りついた。

だから言ったのに……。

いつもは屈強な上司が固まっている様子を見て、申し訳ない気持ちもありつつ、笑いを堪えるのに必死の僕がいた。

結局、値引き話はまとまらないまま、その日は帰ることになった。

「今回だけは特別やぞ。今後こういうのは許されんからな」上司が値引きを認めてくれた。

その後もセミナーが功を奏し、D社は10名の採用に成功した。

社長から学んだこと

新規開拓で実績を作らなければならない新人時代の業績を、
D社が支えてくれたのは間違いない。

D社も営業人材の採用により売上の拡大を図ることができた。
入社者にとっても、D社のサービスを待っていた顧客にとっても
人材紹介サービスの「四方よし」を身をもって体験することができた。

社長にいただいたものは、業績だけではなかった。
社長は僕に、「仕事の醍醐味」についても教えくれた。

・採用のプロとしての自覚
採用に向けての課題を見つけ、プロセスを作り込んで提案することで、顧客を採用成功に導く。社長とあれこれ議論しながら、最終的に社長は僕の提案にのってくれた。
採用のプロとして、顧客が言う通りに動くのではなく、「ちゃいまんがな!」が言えるかどうかは重要であることを学んだ。

・社長(採用担当)とスクラムを組む
採用のプロとして「顧客に向き合う」のではなく、「スクラムを組む」ことが大切なのだと気付いた。「スクラム」は、相手と向き合うのではなく、横並びにガッチリ肩を組んで、共に目の前の課題に向かう。このスタンスは、相手が社長であろうと人事の採用担当者であろうとも、活かすことができた。相手の課題を自分ごとにして一緒に考えていくことで、スクラムを組むことができるようになった。

・仕事も人生も楽しむ
社長は自分を隠すことなく体当たりで人にぶつかってくる人だった。誰にも媚びない。上司にも僕にも同じように荒手のボケをかましてきた。仕事も遊びもハチャメチャに楽しんでいた。社長と馬が合わずに離れていく人もいたのだろうが、働いている社員たちは皆社長のことを慕っていた。「こんな会社ええなあ……」と、当時思っていた。

そして、僕も、社長になった

今回、D社の社長のことを思い出しながら、
自分は外から見たらどんな社長なんだろうと考えた。

今のところ、D社社長に絡みつく、僕のようなマニアックな営業は、
まだ、現れていない(笑)

この社長くらい、自分を出してもいいのかもしれない。
僕にはその勇気はないけれど……。

でもこのときの社長と同じように、僕も仲間が欲しい!

当時の僕が、今、僕のところに営業に来たらなんというのだろうか。

「社長!まだ会社も小さいし、他社と何が違うかわかりにくいですわ!

直接会ってビジョン語ったらどうですか!? 焼肉食べて語りましょう!」

と、提案するだろう。

焼肉会、やります!僕と焼肉行きませんか!

ということで、僕と焼肉食べに行きませんか?!

僕やつぶだてるが気になっている人材業界の経験がある方!
できれば30歳くらいまでの方だと嬉しいです。

焼肉をごちそうします!
焼肉食べながら、つぶだてるのビジョンについて語らせてください!

僕は今、福岡に住んでいますが、毎月のように東京にも行きますし、
大阪に帰省するタイミングもあります。

焼肉に行く前にオンラインで話したいという方がいたらもちろんオンラインもOKです!

HP、Twitter、facebookどこからでも、
ご連絡お待ちしております!

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                   (インタビュー・文=さおりす)      


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最後に
キャリア相談も、お気軽にどうぞ!


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