広報の仕事は経営の仕事?
人事から広報に異動をして、もうすぐ約1年が経過します。早い・・・!
右も左もわからないところから、さまざまな方のサポートをいただき、一応広報マンと名乗れるぐらいにはなれたかなと感じています。
そして、その過程で非常に多くの気づき・学びがあり、さらに自分のキャリアの幅が広がったように感じています。
この記事では、1年間の広報担当としての学びや感じていることをシェアします。
▼異動の経緯に興味のある方はこちらも是非!
広報担当として実行したこと
私は現在、サイバーエージェントのAI事業本部が近年注力している「リテールメディア」の事業広報・BtoBマーケティングを担当しています。
小売企業やメーカーの方々に、当社のリテールメディア支援事業を認知していただき、導入のきっかけをつくるのがミッションです。
そのために、この約1年で主に以下のことを推進しました。
パブリシティと広告
- 小売専門誌への広告記事出稿
- プレスリリースの発信/取材対応イベントマーケティング
- 展示会でのブース出展
- 自社主催のセミナー企画・運営
市場の動き・トレンドと自社のケイパビリティを踏まえて、「だれに」「なにを」「どうやって」伝えるかを考えながら、これまでに30件を超える発信・露出を実行できました。
事業統括に自分なりの考えを当て、フィードバックを受けながら発信の方向性やコンテンツの中身をすり合わせしていく中で、多少なりともマーケットの動きを踏まえた企画力を養えたと感じています(最初は勘所が悪くボロボロでしたが・・・苦笑)
中でも、事業部として初となるドラッグストアショーとCEATECの2つの大型展示会への出展の企画〜運営までを任せていただき、イベントマーケティングのスキルを積み上げることができました。
一瞬ですがテレビで紹介されたり、複数のメディアに記事として取り上げていただけたり、イベントがきっかけでPoCが進みそうという話もあがっていたりと、まずまずな成果になった気がします。
やっていたのは経営企画かもしれない
経営層の方と広報の方針を考える中で感じたことは、事業広報はいわば事業戦略の仮説検証の場とも言えるのではないかということです。
明確な事業戦略のもと広報をしていくアプローチが綺麗な気もしますが、広報がアクションを起こし、反応を見ながら事業の方向性を見定めていくというアプローチもあるように思います。
また、広報の方針やコンテンツについて議論する中で、経営層の考えを引き出す重要性も学びました。
変化の激しい昨今、経営層は整理しきれないほど大量の人や情報に触れていると思います。
そんな状況下で、発信の方向性などを「どうしましょうか?」などとゼロベースで議論してもなかなか進みません。
失敗を恐れず自分なりにマーケット状況や自社の情報を収集し、発信の方向性を当ててみて、経営層が持っている情報をもとに「良さそう」「ちょっと違う」などのフィードバックをもらいながら形にしていく。
こうすることで、効率よく情報のインプットと方向性の整理ができると感じました。
このステップは、少し大袈裟かもしれませんが、事業戦略を構築していくステップとも言えます。
さらにコンテンツ制作、特に前述したCEATEC出展プロジェクトの推進においては、組織開発や事業開発の面もあると感じていました。
私が在籍している事業部には、AI研究部門と事業部門があり、AI研究の社会実装は大きなテーマのひとつになっています。
CEATECはまさに「AI研究×リテール事業」をテーマにコンテンツを検討していきました。
新規事業のタネをつくる研究部門と、既存事業で成果の最大化を目指す事業部門が密にコミュニケーションを取り、事業化を進めるのは簡単ではありません。
そんな中、部門間の連携を強めるには対話をするきっかけづくりが非常に重要です。
CEATECの出展はまさにそのきっかけになったと感じました。
コンテンツを検討する過程で、研究部門は事業部門の状況や方向性をインプットでき、事業部門は研究部門の先進的な取り組みをインプットできたと思います。
最終的に良いコンテンツ(ブース)に仕上げることができましたが、それよりもこの検討プロセスが大きな意味を持ったと感じます。
このように振り返ると、自分がやってきたことは広報というよりは経営企画的なことだったのかもしれません。
リクルーター時代には見えなかったHRBPの役割
元々人事で採用領域をメインに担当していて、HRBPとしてのキャリアを歩みたいと思っていました。
一方で矛盾しているようですが、採用をやっているときは「そもそもHRBPの役割ってなんなんだろう?」「HRBPのスキルはどうやって身につけるんだろう?」というモヤモヤがありました。
今となっては反省ですが、リクルーター時代は担当事業部からの採用ニーズを受けてリクルート活動をするだけで、事業統括との関係性は薄く、該当事業や組織の内情、関係するマーケット状況の詳細までは把握はできていなかったなと感じます。(そうしなくてもなんとかなっていたとも言えるかもしれません)
広報の仕事を通して、前述のプロセスを踏み、発信の過程で経営層や事業部との距離が近くなることで、
分業化された組織間の対話のきっかけは自然発生しづらい
既存事業の成果に向き合う中で最新のマーケット情報取得は容易ではない
日々変化する経営層の考え・情報を都度現場に落とすのは困難
現場の細かい状況を経営層が迅速かつ的確に把握することは難しい
などの課題が見え、それらを解決するために、組織開発や事業開発において人事が果たすべき役割が見えてきました。
人事から広報になることでHRBPというキャリアから離れたかなと思いましたが、気づけばむしろ近道になっていると感じます。
「人事が経営機能を担う」という方向よりも、「経営に近い人が人事機能を担う」という方向のほうがしっくりくる気がします。
リテールメディア事業部門を担当する広報(自分)と人事は現場との物理的な距離も近くして、現場把握・情報共有をしやすい状況になっており、良い方向にワークしていると感じます。
コーポレート機能として横断的なミッションもあるとは思いますが、個人的には事業部に入り込む組織構図もありかなと思います。
コーポレート機能として事業成長にコミットする
異動当初はわからないことだらけだし、最終的に自分で選んだとはいえキャリアの方向性が大きく変わったことに対して不安もありましたが、約1年が経った今、異動してよかったなと思えます。
広報ミッションのおかげで、これまであまり深く考えられていなかった「経営」「事業」を意識できるようになり、経営層との距離が縮まることで、視座が上がったようにも感じています。
今後も「広報」と職域を狭めず「経営企画」「事業開発」をやっている意識を持ち、経営層の代弁者として社内外への発信を強め、人事との連携も強化しながら事業のためになんでもやるという意識で、実行力をどんどん伸ばして事業成長に貢献していきたいなと思っています。
最後に今読んでいるこの本、事業成長のためのコーポレート部門の役割がわかりやすく言語化されていてオススメなのでシェアします!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
何かの参考になれば嬉しいです。