中年達よ、今こそ、再び想いをぶつけよう
新人時代、熱意を冷やされた経験
今やアラフィフに近い僕が新人だった頃の話。「自分のアイデアで会社に貢献しよう!」「結果を出したい!」そんな熱意に溢れていた時代。ミーティングでは自分なりの意見を積極的に主張して、自分で勝手に企画を考えては提案して、を繰り返していました。でも、現実は厳しかった・・・。
「お前はまだ役に立たないんだから、早く会社に来て先輩の机を拭いておけ」 「飲み会の幹事が新人の一番大事な仕事だ」
先輩たちからこんな言葉を投げかけられ、戸惑ったものです。それでも、何か自分にできることはないかと必死でした。夜遅くまで残って企画書を作り、勇気を振り絞って先輩に見せに行きました。
でも、返ってきたのは冷たい一瞥と「君の意見は聞いていない」という言葉だけ。なんなら無駄な残業をするなと。せっかく作った企画書は、机の上に置いたまま。誰にも読んでもらえませんでした。
そんな経験を何度も繰り返すうちに、次第に意見を言うことが怖くなってしまいました。気がつけば「言わない方が無難」いや、「むしろ上に合わせるのが正解」という消極的な姿勢が身についてしまったのです。
やがて、自分の役割は雑用をこなすことだと感じ、主張することを諦めました。「机を拭く」「飲み会の幹事をする」そういった仕事をこなすことが、自分の存在価値だと思い込むようになっていました。
そんなある日、業界誌を読んでいて愕然としました。他社が発表した新商品が、かつて自分が必死で作った企画書の内容と酷似していたのです。「もし、あの時誰かが耳を傾けてくれていたら…」「もし、もう少し粘り強く提案していれば…」
その悔しさは今でも忘れられません。でも、その時にはすでに意見を言わないことが当たり前になっていたのです。
上司になった今、感じる不安と戸惑い
現在、私は上司としてチームを率いています。正直、不安に感じることはたくさんあります。
「この判断は正しいのだろうか?」 「何か見落としていることはないか?」
と自問自答する日々です。だからこそ、周囲の意見を聞くことが非常に重要だと感じています。しかし、ミドルシニア世代の多くは、私と同じように「意見を言わない」ことに慣れてしまっているのです。否定され続けてきた経験から、意見を言わないという習慣が身についてしまったんです。
また、若手も自分の意見を積極的に言わない傾向があります。消極的な態度が見られることが多く、これでは大切な視点が見逃されてしまう可能性があります。「誰か、もっと積極的に意見を言ってくれないか」と心の中で思う日々が続いています。
Vucaの時代に求められる新しい姿勢
今は「Vuca」の時代です。変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)が特徴の時代。このような状況では、一人の判断に依存することはリスキーであり、多様な視点が欠かせません。
私自身、上司としてVucaの環境下での判断に不安を感じているので、チームメンバーからの意見が非常に重要だと思っています。
でも、私たちミドルシニア世代が意見を言わない習慣にとらわれていては、この時代の変化に対応できません。だからこそ、昔身についた「意見を言わない」という習慣を一度忘れてほしいのです。否定されてきた経験に基づくその習慣が、今の自分を縛ってしまっているのです。
新しい時代に適応するためには、自分の意見を再び表に出し、積極的に発信することが不可欠です。
今こそ、想いをぶつける時
ミドルシニアの皆さん、今こそもう一度、自分の意見やアイデアをぶつけてみませんか?かつての悔しさや否定された経験が、今のあなたを縛っているとしたら、その習慣を手放す時が来たのです。意見を言わないことが当たり前だった時代は終わり、今こそ会社はあなたの経験や視点を必要としています。
封じ込めていたアイデアや情熱をもう一度引っ張り出し、今度は押し込めるのではなく、外に向かって発信しましょう。過去の経験にとらわれず、今の時代に合わせた新しい視点で、会社や自分自身を成長させていく力を信じてください。
自分の意見を言うことへの恐れや不安は、きっと多くの人が感じていることでしょう。でも、それを乗り越えることで、新しい可能性が開けるはずです。
一緒に、もう一度想いをぶつけてみませんか? 今こそ、あなたの声が必要とされているのです。勇気を出して、一歩踏み出してみてください。きっと、素晴らしい変化が待っているはずです。