ナルニア国物語と新約聖書の関係
[今日の聖句]
★ヨハネによる福音書 15章13節
人がその友のために命を捨てるという、これよりも大きな愛はだれも持っていません。
★John 15:13
Greater love has no one than this: to lay down one's life for one's friends.
今日は、世界中の子供達に愛されている児童文学小説『ナルニア国物語』と聖書の関係について、書きたいと思います。
★『ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉』 (岩波少年文庫)
C.S.ルイス (著), ポーリン・ベインズ (イラスト), 瀬田 貞二 (翻訳)
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皆さんは『ナルニア国物語』を読んだことがありますか?
私は夢中になって、全7巻をあっという間に読みました。
このシリーズは、私ももちろん、私の英語塾に通ってくる小中学生の間でも、大人気です!映画化もされ、世界的に大ヒットしているので、ご存知の方も多いと思います。
ところで、すでにご存知の方も多いと思いますが、
『ナルニア国物語』の著者C.S.ルイスさんは、作家であるだけでなく、
中世文学や神学を専門とする学者であり、
そして、素晴らしい信仰を持ったクリスチャンでした。
『ナルニア国物語』は、ルイスさんが、聖書をモチーフにして書いた小説と言われています。
『ライオンと魔女』(1950年出版)の登場人物で言うと…
ライオンのアスランは、イエス・キリストの象徴。
そして、エドモンドは「裏切者」の弟子ユダを象徴しています。
物語のあらすじは…
(ウィキペディアを引用)
戦乱を避け田舎に疎開したペベンシー家の4人きょうだいは、疎開先の古い屋敷の空き部屋にあった衣装ダンスから、別世界の国・ナルニアに引き込まれる。そこは魔法が生き、けものたちがしゃべり、神話的生き物や妖精の住む世界であった。子供たちは不思議なライオン、アスランに導かれて、ナルニアを支配する白い魔女から住人たちを解放しようと奮闘する。
(引用ここまで)
先日、私が主人と、お互いの好きな児童文学に話していた時のことです。「『ナルニア国物語』は、クリスチャンの著者が、子供達に分かりやすいように聖書のメッセージを童話の形で書き直したんだよね…」
と私が言うと、
「わぁ!本当だ!アスランは裏切者のエドモンドを救うために犠牲になって死んで、生き返るもんね!イエス様と一緒じゃん!」
と、主人はビックリしていました。(ちなみに主人はクリスチャンではありません)
(おぉ…私が得意になって解説する所を、主人に持っていかれてしまった…)
と少しだけ残念に思いましたが、そう、彼の言葉がそっくりそのまま、
『ライオンと魔女』と聖書の共通性を簡潔に表しています。
私自身、大学を卒業したばかりの頃にナルニア国物語を読みましたが、
聖書との共通性には、少しも気づきませんでした。
初めて気づいたのは、ずっと後になって、別のノンフィクションを読んだことがきっかけです。
(初めてそれを知った時は、「えーーそうだったのーーーー!?」と叫んでひっくり返りました。)
『神を信じて何になるのか』フィリップ・ヤンシ─著・山下章子訳
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世界的なクリスチャンのジャーナリスト、ヤンシ─さんの著書。素晴らしい本です。
『ライオンと魔女』の中には、聖書のオマージュと思われる所が、他にもあると思います。例えば・・・
(1)エドモンドは、お菓子欲しさに魔女の城へ行ってしまいますが、
悔い改めて戻ってきたエドモンドを、アスランは許してくれます。
「イエス様は、人間の欠点を必ず許してくれる存在」と教えてくれます。
(2)アスランは処刑される時も、気高く堂々としています。
それがイエス様が十字架にかけられた時を彷彿とさせます。
(3)アスランが死んだ時、そばで嘆き悲しんだのも、
アスランが生き返った時、一番にそれを目撃して、皆に良いニュースを伝えに行ったのも、女性達でした。(ルカによる福音書 23章55節~24章10節)
これは、イエス様が死んで生き返った時と、良く似ています。
(4)「アスランが帰って来たぞ!」とナルニア国に住む生き物たちが喜んでいるのは、「救い主イエスが来たよ!」と福音を喜ぶ人間たちを表しています。アスランはみんなに希望をもたらす存在です。
私が思うのは、この4点くらいでしょうか・・・。
さて、今日は・・・
「なぜルイスさんは、イエス様の生き方や聖書の主題を伝えるため、
聖書の言葉をそのまま伝えるのでなく、童話の形をとったのか?」
について、私が考えたことを皆さんにシェアしたいと思います。
私が考えるに、理由は2つあります。
1つは、童話の方が子供達に分かりやすいし、楽しいからでしょう。
『ナルニア国物語』が、キリスト教の国、そうでない国、両方の子供達に
広く愛されていることからも、それが分かると思います。
そしてもう1つの理由は・・・
「宗教による不要な争いを避けるため」だと、
私は個人的に考えています。
人類はこれまで、宗教が原因で、何度も戦争をしてきました。
キリスト教と他の宗教も戦争をしてきましたが、
キリスト教の中にも様々な宗派があり、
「自分達こそが正しく、彼らは間違っている!」とお互いを糾弾して
傷つけあってきた愚かな歴史があります。
そんな中でルイスさんは、聖書の要素を全く隠して
『ナルニア国物語』という童話を書きました。
その物語は、「アスランというライオンが世界の創造主であり、
彼は風格があるが皆に恐れられるのではなく皆に好かれており、
裏切者のエドマンドのことも許してくれ、
それどころかエドマンドのために自ら犠牲になって死んでくれ、
そしてよみがえる存在である」・・・という、新約聖書のエッセンスを教えてくれます。
「宗教の名前を出すと、政治的権力に弾圧され、戦争を生んでしまう。
だから名前を出さずに、その宗教のエッセンスだけを若者に教える」
・・・これと同じ伝道の形は、浅田次郎さんの『蒼穹の昴』に出てくる
キリスト教の神父さんも言っていました。
(余談ですが、浅田次郎さんはクリスチャンです。)
『ナルニア国物語』しか読んだことのない私が言うのは、おこがましいかもしれませんが、(ルイスさんは他にも多くの本を書いています)
私はC.S.ルイスさんを尊敬します。彼は素晴らしい伝道者だと思います。
これほど素晴らしい物語を書いて、子供達の心をつかんで、
無意識のうちに、アスラン(つまりイエス様)の生き方を読者に伝えてくれたからです。
皆さん、『ナルニア国物語』を読んだら、ぜひ感想を教えて下さいね。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
Thank you for reading. Have a nice day!