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【読書】 鬼はそんなに鬼じゃない。 ~ むかしむかしあるところに、死体がありました。 青柳碧人 ~

こちらも確か新聞の下の方の新書案内で見かけたと記憶しています。

凄いタイトルだなと思ったことと、またも五月女ケイ子さんのイラストだったので興味津々。

昔ばなしミステリーというところも謎のジャンルだと思っていました。


買ってみると5本からなるストーリーのそれぞれで謎解きがあります。

1.一寸法師

2.花咲かじいさん

3.鶴の恩返し

4.浦島太郎

5.桃太郎


微妙にストーリー自体をしっかり覚えていなかったりしましたが、読んでいる内に「そうでした、そうでした」と思い出しながら読み進めました。


↓ ここからちょっとネタばれ風の話があります。

それぞれの主人公の「持ち味」を生かした謎解きとなっていて、意外な人となりだったりどんでん返しだったり「日常として」は、そ・・それは・・であったとして、昔ばなしなので「そうきたか!」とピシャリっと膝を打つこと多々あり。


一寸法師のなかなかの暴れん坊と策略家の一面であったり、

花咲かじいさんの人の良さと集落の掟や、意地悪じいさんの底の浅さと、ばあさん・・ったら、、

おつうのいじらしさと、弥兵衛の分かりやすい豹変っぷり、

龍宮城での思いがけないドロドロの恋愛模様であったり、

鬼たちの穏やかな暮らしぶりを根底から破壊する、【桃太郎】による「そりゃあねえだろう」な“鬼の行動”などなど。


共通して思ったことは、「鬼」と言われるような存在が悪いモノの象徴と思われがちですが、案外そうでもなく止むを得ず「鬼」していたりする境遇。

仲睦まじいようで徐々に変容する男女の仲であったり。

善が万事、善である訳で無く、悪も万事、悪事を働くものでも無く、逆に理不尽な目に遭わされても「よかった、よかった」なんてされてしまったり。

案外と現代の関係性と相通じるものがあるように思います。

誰がどれが何が良くて、そんなに全てが悪いのか?と、選別することは難しいのかなぁと思いました。

第二弾も刊行されているようなので、今度本屋さんでチェックしてみようと思います。


表紙の「深刻な状況」のはずなのに、何だかおかしみがある、そんな五月女ケイ子さんのイラストにもご注目下さい!

一寸法師の「箱乗り」に気付いてニヤっとしました。



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