第1回SDGs担い手育成講座(2022年度)
2022年度の第1回SDGs担い手育成講座をトヨタ白川郷自然學校で開催しました。
・トヨタ白川郷自然學校概要
第1回SDGs担い手育成講座のご報告
狙い
第1回:白川村の現場を見て、サスティナビリティを考える
SDGs担い手育成講座では、「現場体験(フィールドワーク)」を大事にしております。第1回では、数百年前から同じ風景を守り続け、サスティナビリティを体現してきた白川村 をまずしっかり見てもらいます。また、ゲストにNPO法人共存の森ネットワーク代表の澁澤寿一氏をお迎えし、SDGsを俯瞰的に捉える視点を提供します。
参加者
第1回講座には13都府県18大学から19名の若者が参加しました。世代も10代~20代で18名、1名60代(セカンドスクール学生)、大学1年生~大学院(修士課程)と様々です。(なんと沖縄県や鹿児島県から参加の学生もおりました。) また、専攻も経済学部や人間環境学部などに加え、共創学部、医学部、国際学部、法学部、農学部、ファッション学科、観光学部、理工学部など、本当に多様な分野の方がおり、昨年にも増して、より多様性あふれる様々な想いを持った若者が集まりました。
スケジュール
【1 日目】
PM 開会・オリエンテーション・世界遺産合掌集落散策
ゲストトーク「里の暮らしを未来に活かす」 講師:澁澤寿一 氏
夜 懇親会
【2 日目】
AM 地元青年部と景観保全活動
ゲストトーク「白川郷荻町集落の自然環境を守る会について」
PM グループセッションⅠ
夜 直会(地元青年部メンバーとの交流会)
【3 日目】
AM 森のなかでふりかえり
グループセッションⅡ
PM クロージング
活動の様子
①開会・オリエンテーション
開会の挨拶では、山田学校長から「今回の講座の特徴は、この白川村での地に足の着いた取り組みを皆さんに感じていただくことです。私はそれを、”実感・納得・本音”という言葉で表しております。しっかり”実感”していただくということが何よりも大事だと思っております。今回は皆さんにいろんな体験を通じて、”実感”していただきたいと思っております。」と参加者へ挨拶がありました。
その後、全体ファシリテーターの黒坂より、スタッフ紹介や、3日間のスケジュール紹介がありました。さらに「この1年、数回ですが縁あって一緒に活動する皆さん同士がお互いの名前や人柄が少しでもわかる時間となれば。」ということで、4マス自己紹介を行いました。ここでは「①名前(ニックネーム)、②どこで何を学んでいるか、③今回の講座で期待していること、④今の素直な気持ち」をお互いに紹介しあいました。
②世界遺産合掌集落散策 オリエンテーションの後、「今回、皆さんは一人旅で白川郷に来られました。まずは其々の旅のスタイルで結構ですので、世界遺産荻町合掌集落を楽しんできてください。いってらっしゃい!」との声かけがありました。約1時間、地図を片手に各々で合掌集落を歩きました。
再集合の後、少人数に分かれ、約1時間、どんな風に過ごしていたか、そして、どんな感想を持ったかを共有しました。数時間前に初めて出会った人同士でしたが、写真を見せあったり、感想を共有し、和やかな雰囲気となりました。
③ゲストトーク「里の暮らしを未来に活かす」 講師:澁澤寿一 氏
山間地域の智恵と技の継承をテーマにするNPO法人共存の森ネットワーク代表の澁澤先生に「里の暮らしを未来へ活かす」と題して、SDG sについて俯瞰的な視点でお話しいただきました。日本の資本主義経済の歴史やエコロジカル・フットプリント、環境・社会・経済の調和実現の困難さなどを具体的にお話しいただき、便利な社会ではなく、豊かな社会をいかに実現すれば良いのか、難解の”問い”に参加者は頭を悩ませていました。
④懇親会
「皆さん、宿題の“長年、愛用しているもの”は持ってきていただけましたか?」この問いから始まった一風変わった懇親会。各自、実物を見せながら「長年、愛用している理由」も合わせて発表しあいました。ほんの少し、各々の人となりが垣間見え、自然と和気藹々とした雰囲気となりました。
⑤地元青年部と共に景観保全活動
2日目、地元の青年部の方々と協働で、景観保全活動を行いました。具体的には、青年部の方々が毎年この時期に作業している外来種除去作業(オオハンゴンソウ除去)を行い、共に汗をかきました。
⑥ゲストトーク「白川郷荻町集落の自然環境を守る会について」
休憩後、「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」の元会長、和田正人氏にお話していただき、景観を維持してきた人たちの想いに触れていただきました。参加者は話を聞いた後、少人数で感想や意見を共有し、白川村で暮らす人々への想いを深めておりました。
⑦グループセッションⅠ 昼食後には少グループに分かれ、意見交換を行いました。テーマは「観光では気づかないことはあったのか」です。ある参加者からは「白川郷に着いて最初に目についたのは合掌造りの建物。さすが世界遺産、しっかり整備されているなと感じた。しかし、村の方々からお話を聞いて、自分で作業を体験して、この「整備」というものがいかに多大で継続的な労力を伴うものかに気付いた。大学でSDGsの実現、地方創生など様々なテーマで議論をしても結論は「〇〇でこう変革すべきだ」といった表面的なものだった。誰がどうやってその「変革」を、「維持」を実現しているのかの視点を欠いていたと反省した。」などの意見が出ていました。
⑧直会(地元青年部メンバーとの交流会) 夜は地元青年部のメンバーと参加者の学生で焚き火を囲みながら、ざっくばらんにお話ししました。一緒に作業してみての感想共有から始まり、普段の1日の過ごし方や森で採れる山菜やきのこの魅力、将来何を成し遂げたいか等、本当に様々な話題となっていました。
⑨森のなかでふりかえり
2日間で感じたことや気づいたことを整理するため、一人のふりかえりの時間を過ごしました。合掌家屋のなかで、森のなかでなど、参加者自身が居心地の良い場所を選び、自然の中に身を置いて、これまでの活動をふりかえっていただきました。
⑩合掌家屋で意見共有
2日間のふりかえりと共に、1つお題がありました。「あなたは合掌家屋を手に入れました。旧松井家(初日の会場)です。管理者である日本ナショナルトラスト協会さんから、永住することを条件に譲り受けています。あなたはここでどんな暮らしをしますか。できるだけ具体的に書いてみてください。」参加者はもし本当にそうなったらどうするか、お題に対して悩みながらも真剣に考えていました。その後、少人数グループに分かれ、意見を交わしました。
⑪クロージング 最後は、3日間の感想を1人1人述べて、同じ時間、同じ活動を共にした仲間の想いを分かち合いました。
実施結果(主催者所見)
第1回目の講座の目標は達成できたと考えます。ゲストトークの澁澤先生のおかげで、参加者にSDG s担い手にとって必要な“視点”と“問い”を提供できたと感じました。また、白川郷荻町集落の自然環境を守る会の和田さんのお話しや地元青年部の方々との景観保全活動と意見交換は、参加者にとって、白川村を肌で感じる貴重な機会となったと感じました。
参加者の声
「環境や地域創生についての課題感を掴みに来たつもりが、そうした問題についての向き合い方、価値観まで変化した。想像していた以上に多くを学べました。」
「皆の意見を聞くことができて、価値観が変わった。考え方の違いが面白かった。」
「ゲストスピーカーの内容が素晴らしかった。内省してたくさんアウトプットする時間があった。実際、体を動かして作業をしたことが印象に残っている。」
「多くの人の意見を聞くことによって、自分の意見が形づくられていく感じが面白かった。」 「想像以上に様々な経験を持つ学生と出会えただけでなく、大人の方ともお話することができ、今まで自分の持っていなかった考えを得られた。満天の星空が感動的だった。」
参加者の皆さま、ご参加いただき、ありがとうございました。参加者の皆さんが今後どのように変わっていくのか楽しみです!