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コンゴ民主共和国「女性社会進出の現状と課題」は日本社会を映し出す鏡
コンゴ民主共和国(DRC)の「サプーズ」と呼ばれる女性版サプールや「プチ・サップ」の存在は、ファッションとスタイルを通じて自己主張し、社会における自分たちの役割を積極的に形作る若い世代の姿勢を象徴しています。
これらの動きは単にファッションのトレンドに留まらず、社会的な認識の変化やジェンダー平等に対する意識の高まりを反映しています。
DRC政府は、メディアや教育を通じたジェンダー平等に関する意識啓発キャンペーンを積極的に実施して、性別役割に関する既存の固定観念変革を目指しています。
また、法的枠組みを強化し、性別に基づく暴力を防止および対処するためのプログラム(被害者支援サービスの提供と加害者への教育も含む)も実施しています。
しかし、ジェンダーに基づく不平等は依然として存在しているのが事実です。
一定レベル以上の教育を受けてきた大人たちが考えて実施している(または実施しようとしている)教育プログラム自体がピンボケなのではないでしょうか?
「学校教育において、ジェンダー平等に関する教育を組み込み、若い世代からの意識変革を促進します。」
という考え方と方法論がDRCにはマッチしていないのでは?
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伝統的な観念とのギャップ
DRCにおける社会的認識の変化は、ジェンダー平等の意識啓発と性別に基づく暴力の撲滅に焦点を当てていますが、伝統的な観念との間には依然としてギャップが存在します。
特に農村地域や伝統的なコミュニティでは、女性の役割に対する旧来の見方が根強く残っており、社会全体の意識変革にはさらなる取り組みが必要です。
DRCにおける女性に対する固定観念やステレオタイプの背景には、歴史的、文化的、そして社会経済的な要因が深く根ざしています。
女性は伝統的に「家庭の管理者」と見なされ、彼女たちの役割は主に家事や子育てに限定されています。
例えば、女性が教育や職業訓練を受けることは、しばしば家庭の責任からの逸脱と見なされ、社会的な圧力を受けることがあります。
また、女性が政治やビジネスの分野でリーダーシップを発揮することは、男性が優勢な社会構造においては非伝統的とされ、彼女たちの進出は男性の権威に対する挑戦と見なされることが多いのです。
さらに、女性にはある種の仕事は「適さない」というステレオタイプが存在し、特に技術的な分野や高度な管理職への進出は困難です。
これらの固定観念は、女性が職場で直面する性別に基づく差別やハラスメントの根底にもあり、彼女たちのキャリアの発展を妨げる大きな障害となっています。
このような状況は、女性の経済的自立と社会的進出を著しく制限し、ジェンダー平等の達成を遅らせています。
これらが「女性の社会的地位が男性に劣る」という観念を長期にわたって強化してしまったのです。
また、植民地時代の影響も無視できません。
植民地政府と宣教師は、ヨーロッパのジェンダー観念を持ち込み、既存の社会的役割をさらに固定化しました。
女性が家庭の外で活動することは、伝統的な価値観や宗教的信条に反すると見なされることもありました。
加えて、経済的不安定さと教育システムの不備が女性の社会進出をさらに困難にしています。
経済的制約により女性は教育や職業訓練の機会を得られず、これがジェンダーに基づく職業選択のステレオタイプを強化しています。
このように、伝統、植民地歴史、経済的条件が相互に作用し、DRCにおける女性に対する深い固定観念やステレオタイプが形成されてきたのです。
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女性の教育分野での進出
教育へのアクセスに関して、UNESCOの報告によると、DRCの女性の成人識字率は約67%であり、これは男性の80%に比べて低い数値です。
大学進学率においても、女性は全学生の約30%を占めるに過ぎず、特にSTEM分野(科学、技術、工学、数学)ではその比率がさらに低いです。
経済的に困難な状況にある女性に対する奨学金や教育支援の拡充と女性に特化した教育プログラムを開発(特にSTEM分野)での女性の参加を促進していかなければならないでしょう。
そして、女性教育者や管理職のトレーニングを強化し、彼女たちが教育分野のリーダーシップを担う機会を増やすことです。
教育分野における女性のロールモデルの増加は、より多くの女性が教育を追求する動機付けにもなり、社会全体のジェンダー平等に貢献すると考えます。
女性の政治参加拡大
DRCの政治における女性の代表性は依然として限られています。
国会における女性議員の割合は約9%と報告されており、これは国際基準で推奨される30%にはるかに及ばない水準で、政府内の女性大臣の割合も低く、閣僚ポストのうち女性が占めるのは約10%に留まります。
主要な政策決定における女性の声は依然として不足しており、多くの場合、政治的意思決定は男性によって行われています。
政府は女性の政治的代表性を高めることを目標として掲げていますが、具体的な成果はまだ見えにくい状態です
政治参加におけるジェンダークォータの導入や女性候補者への支援が増えつつありますが、実際の効果はまだ限定的です。
一般市民に向けての政治教育プログラムにおいて、特に女性の政治参加の重要性に焦点を当てることは重要と考えますが、旧態依然としたカリキュラムでは難しいでしょう。
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女性のビジネス界での活躍
ビジネス分野における女性の進出も限定的です。
国内の中小企業のうち、女性が経営するのは約20%に過ぎません。
大企業や国際企業の役員レベルでは女性の存在感はさらに低く、重要な意思決定ポジションに女性が就く例は稀です。
一部の企業がジェンダー多様性の重要性を認識し始めていますが、実際の女性の昇進や重要ポジションへの就任はまだ少ないのが現状です。
女性起業家の数は増加していますが、資金調達、ネットワーキング、ビジネス運営におけるスキル習得の機会には限りがあります。
政府や非政府組織による資金提供やトレーニングプログラムが提供されているものの、多くの女性がこれらのリソースにアクセスできていません。
経済政策の策定において、女性の声は十分に反映されていない状況で、特に農村部において女性の経済的な自立は困難と言わざるを得ません。
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ジェンダー平等に関する社会的認識の変化
DRCでは、ジェンダー平等に関する社会的認識の変化が進んでいますが、伝統的な性別役割に関する固定観念は依然として根強く、特に農村地域で顕著です。
性別に基づく暴力と差別も重要な問題として残って、社会全体としての男女平等意識はまだ十分に根付いていません。
確かに、教育機関や職場でのジェンダー平等に関するプログラムや研修が増えていて、女性の地位向上と社会進出のための取り組みは、引き続き継続される必要があります。
しかし、ジェンダーに基づく不平等は依然として存在しているのは事実です。
若い世代における前向きな文化的および社会的な動きや変化が、ジェンダー平等を実現するための大きな希望と可能性を示すと考えるのならば、より多くの若い世代が興味を持って、参加しやすい教育体制へのアップデートが急務でしょう。
若者世代が主導する変化が、DRCの社会全体の意識変革に大きく貢献すると思います。
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日本社会との比較
日本とDRCでは経済状況や社会環境が大きく違っているので、単純に比較することは適切ではないと思いますが、「ジェンダー平等」という視点からは極めて近い状況と思います。
いまだに繰り返される政治家や企業経営者の軽率な発言
企業不祥事の謝罪会見で露呈する男性中心の老害発言
某損害保険会社の一連の不正について金融庁が
「上に対して物を言えない企業風土」
が一因と指摘したことに対して
退任するCEOが
「そうした企業風土があったとは、にわかに信じがたい」
との見解を示し、さらに付け加えて。
幹部などに連絡しやすいよう社内連絡用のチャットツールを導入
役職で呼ばず「さん」付けで呼ぶ風通しの良い企業風土を築いてきた
「社内では階層を壊して、いい意見のぶつかり合いができてきたつもり」
と主張しました。
そして残る経営陣は口をそろえて
「人材育成の強化」「教育体制の充実」
と同じことを繰り返すだけです。
この会見は
「男中心社会」の弊害
「ジェンダー不平等」
「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂性)&ビロンギング(帰属性)という観点の欠如」
を経営陣が理解できていないことを露呈しただけでした。
制度・ルール・仕組み作りがゴールではなくて、いかに本質を浸透させるかということです。
そして社外取締役は
「仕組み作りも分かる。部下の人材育成の必要性も分かるのですが、
まずは経営陣の皆様の潜在意識アップデートが急務です」
と指摘しなかった?出来なかったことも問題でしょう。
教育体制もアップデート
そもそも教育改革とは『社会の変化に応じて、教育の内容を変えること』なのですが、日本では150年間で5回しか教育改革が行われていません。
親世代が受けてきた教育と、今の子供が必要とする教育は全くの別物
経営陣が受けてきた教育と、今の従業員が受ける教育は全くの別物
【紙で勉強する】⇒【動画で勉強する】⇒【AIで勉強する】
「自分が信じている“価値観”は変わらない」と考えていること自体が、社会変革・ビジネスの可能性を狭めているのでしょう。
言い換えれば「自分の“価値観”を疑う」
新しい“価値観”を知るために、変化を客観視する基礎知識の修得が重要なのかもしれません。(自戒の念を込めて)
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最後までお読み頂いた方、どう思われますか?
DRCの様々な諸問題は、日本を映し出す鏡のような気がしているのは私だけではないと思います。
では、DRCの女性歌手ファヤ・テスの歌声をお楽しみください!