ブルーマウンテンNo.1はなぜ高い?
こんにちは!
名古屋市東区で創業73年「澤井コーヒー本店」の3代目です。
今回のブログテーマは、カリブの宝石「ブルーマウンテンNo.1」
ご存じの方にとっては”高級品”というイメージだと思いますが、そもそもどこで生産されているのか、なぜ値段が高いのか、そして私たち澤井コーヒー本店がどのようにブルーマウンテンNo.1の美味しさを引き出しているかを綴っていきたいと思います。
1.ジャマイカコーヒーの歴史
ブルーマウンテンNo.1の産地は、カリブ海に位置する島国のジャマイカ。面積は秋田県とほぼ同じぐらいで、人口(約300万人)は茨城県とほぼ同じくらい。レゲエの神様と言われるボブ・マーリーの母国でもあります。
自然条件は極めてコーヒー生産に適しているジャマイカでしたが、1728年に生産が始まって以来、政治・経済・社会的な要因が相まってコーヒー産業は盛衰を繰り返し、なかなか安定しませんでした。1920年代にはバナナの輸出が盛んになる一方で、輸出コーヒーの品質向上にはなかなか進展がなく、1940年代には当時ジャマイカコーヒーの最大のバイヤーであったカナダから輸入を拒否されるまでに産業は衰退してしまったようです。
そんなジャマイカでのコーヒー生産が本格化したのは1950年代。コーヒー・インダストリー・ボード(以下CIB)という機関を設立し、政府がコーヒー産業に関するあらゆる権限を与えたのです。国策として専門機関を設立し、コーヒー産業の復興拡大に努めた結果、1970年以降は当初の計画を上回る生産量、輸出量になりました。世界的に見ても、政府がコーヒー生産に関して厳しく規制・管理をしている国は少なく、そういったところにもジャマイカコーヒーやブルーマウンテンのブランディングへの高い意識を感じます。
2.ブルーマウンテンNo.1
~ブルーマウンテンNo.1を名乗れるのはごく一部~
そんなジャマイカコーヒーの代名詞「ブルーマウンテン」なのですが、ジャマイカで生産されたコーヒーすべてが「ブルーマウンテン」を名乗ることができるわけではありません。ジャマイカ政府が指定した「ブルーマウンテン地域」のなかでも、標高800~1,200mのエリアで栽培されたコーヒーだけが、「ブルーマウンテン」として世に出ることが許されています。
ちなみにそれよりも標高の低いエリアや他の地域で栽培されたコーヒーは、「ハイマウンテン」や「ジャマイカコーヒー」などの名前が付けられます。そして「ブルーマウンテン」のなかでも更に3つの等級があり、豆の大きさや欠豆数の割合によって「No.1→No.2→No.3」と格付けされます。こうして条件を全て満たしたものが「ブルーマウンテンNo.1」と呼ばれ、ジャマイカコーヒーの最高級品となるわけです。
~ブルーマウンテンNo.1はなぜ高い?~
とはいえ、最高級品といっても驚かれるのはその価格。なぜブルーマウンテンNo.1はこんなに高いのか、僕も最初は不思議に思いました。実際私たちのようなコーヒー屋が仕入れる際も他のコーヒーに比べてその価格は別格なのです。いくつかの理由や説はあるようですが、CIBによって生産量が管理されていることや、初めて日本に入ってきた時に“英国王室御用達”というお墨付きと共にその名が広まったことなどがあるようです。ちなみにブルーマウンテンの輸出先の少なくとも80%ぐらいは日本で、香り豊かな味わいが好まれたことやブランド志向な国民性がその価値を高めているのかもしれません。
3.澤井コーヒー本店のこだわり
~ジャマイカ国営農園から仕入れています~
そんなブルーマウンテンNo.1、当店でも生豆を仕入れ焙煎しご提供しております。当店で扱っているブルーマウンテンNo.1は「ウォーレンフォード農園」という農園で栽培されたもので、ジャマイカ政府及びCIBの証明書もございます。この「ウォーレンフォード農園」はCIBが所有し生産から輸出まで管理されている国営農園で、ブルーマウンテンNo.1のなかでも極めて品質が高いと言われております。
~焙煎するときにこだわっている2つのポイント~
そして私たち澤井コーヒー本店がブルーマウンテンNo.1の焙煎をする際、こだわっているポイントが2つあります。1つ目は、その芳香を引き出すために若干浅煎り寄りの中煎り(ミディアムロースト)で仕上げること。2つ目は、浅煎りの時に酸っぱさを感じてしまわないように独自の方法(詳細は内緒です)で焙煎することです。2つのこだわりによって焙煎したブルーマウンテンNo.1は、ドリップする前、いや、もはや粉に引く前の豆の状態から香りが格別で、酸っぱさよりも果実本来のフルーティーな酸味を感じられる味わいになっています。
~3代目の語りたいポイント~
焙煎士である3代目としては語りたいところがもう一つあって、ブルーマウンテンNo.1はとにかく焙煎した時の豆が美しいのです。ツヤ、豆の膨らみ、粒の均一さ、もはや宝石です。焙煎直後にターンテーブルでグルグルと粗熱を取っている光景を眺めながらお酒が飲めるほど惚れ惚れします。ちなみに豆によって焙煎しているときの個性もあるので、それはまた語りたいと思っています。
もちろん高価だから絶対美味しいという訳ではなく、コーヒー自体好みなので、これが万人のお口に合いますということはないのですが、一度飲んでみてほしいコーヒーの一つです。なにより澤井コーヒー本店では200g 2,940円という価格で最高級品のブルーマウンテンNo.1をご提供しておりますので、一度買ってみたいという方はぜひ名古屋市東区泉の当店まで足をお運びいただくか、ネットショップ「珈風~coffuu~」にてお買い求めください。
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参考文献
・『コーヒー産地事情』帝国飲料食品新聞社
・『コーヒー大辞典』石光商事株式会社
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