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ちゃぶ台をひっくり返す事

ちゃぶ台というのは近現代前提の常識である。
人類発祥の時点で前提の常識はなかっただろう。

しかしあらゆる歴史的失敗パターンから前提条件を設置する事でなるべく失敗を回避するような配慮がなされている。

本来はその上で近現代国家が形成されてきた建付けになっている。
それとて完璧に運営されてきたわけではない。しかしその建付けそのものを全否定する事に正しさはない。

立憲主義は権力者の権力を抑えるために作られた仕組みである。
だから議会というものがあり手続きを踏まなければ容易に権力者は権限発動ができないようになっている。

これは王政や軍政の権限発動が歴史的に誤った結果を惹起してきたがゆえの人類の知恵であった。しかしその社会に余裕がなくなってくると教祖の「即断への迎合や前提の全否定こそが正しい」という風潮や世論が形成されていく。改革や刷新や推し活という言葉で誤魔化していく。

社会の底が抜けていき法的なものや科学的なものへの回答の遅さや煩雑さに人々は耐えられなくなる。ここでインスタントなスピリチュアルや疑似科学や陰謀論やYoutubeの逆張り解釈に答えを見出しやすくなる。こういった安直なストーリーの蓄積が反立憲主義運動のエネルギー源となっていく。

立憲主義を全否定して王政や軍政の関係者、経営者や芸能人やインフルエンサーがマネタイズするために専制主義的な一元権威に群がっていく。そしてその世論を一部の信者たちが下支えしていく。

それは近現代社会から生まれた原始専制体制である。

「多数決こそが民主主義だ。選ばれたリーダーに全権限があるのは当然だ。オールドメディアの逆こそ真理だ。」となる。そして「ちゃぶ台こそ真理ではない。ちゃぶ台を全否定している我々こそ真理の戦士だ。」という逆張り蓄積によって100%人治主義が蔓延る事になるのである。

一度権力掌握してしまえば大政翼賛会の誕生となる。もはや手続き不要な一党独裁の人治主義体制となる。そこに付随していれば正しく離れれば間違いという世界観が形成される。

盲目的にちゃぶ台をひっくり返し一時的な満足を得るよりちゃぶ台で不満足に団欒する方が幸せだ。

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