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パート譜は自分のセリフしか書いていない台本のようなもの( #今朝の一言_ラッパの吹き方 )
毎朝7:30にSNSで更新しております「 #今朝の一言_ラッパの吹き方 」。先日はこんなこと書きました
[パート譜は不完全なもの]
— 荻原明(おぎわらあきら): トランペット (@ogiwara_a) May 25, 2023
パート譜は自分が演奏する部分だけが書き込まれている不完全な台本です。これだけでは他の人たちが何をやっているのか見当がつきませんから、作品を深く理解するにはスコアを読む習慣を持つことが大切です。#今朝の一言_ラッパの吹き方
合奏やアンサンブル、ソロ曲に至るまで、トランペットなど管弦打楽器の多くはパート譜を見て演奏します。
しかしこのパート譜、自分が演奏する部分と、その入るタイミングしか書いていないため、これだけでは他のパートがいつ何をしているのの情報がありません。
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ですので、自分で穴の空いた情報を補完する必要があります。他の人がいつどこで何をしているのか、自分の演奏前後に何が起こるか、など。強弱記号やrit.などの速度指示に関しても自分勝手な判断でやってしまったらずれてしまうので、指揮者や他の奏者と連携をとらなければなりません。
このように、パート譜だけでは情報がとても少ないわけです。
そこでどうするか。まずはスコアを手に入れます。
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スコアというのは全ての楽器が縦に積み重なって書かれた楽譜です。指揮者はこれを見ています。スコアがあれば他の楽器の情報も書かれているので、いつどこで誰が何をしているのかもわかります。
だったら最初からスコアを見て演奏すれば良いじゃないか、と思うかもしれませんが、例えばとても大人数で演奏するオーケストラの場合、管弦打楽器に加えて鍵盤楽器や合唱などたくさんのパートが書かれている可能性があり、さらに同じ楽器の中でも1st,2nd,3rdなどとパートが分かれているために、スコアがとても細かく、積み重なったパート数十段になることも多いので、本のような楽譜を読むことになり、演奏する暇もなくページをどんどんめくらなければならなくなり、現実的ではありません。
演劇における台本はすべてのキャラクターのセリフが時系列に記載されていますが、音楽のように同時に違うことを言い続けてアンサンブルすることはなく、さらに手に持って読み合わせをしたり、最終的には覚えてしまうことから、パート譜のような存在は必要ないわけです(だったらオーケストラも全員暗譜しようと言われるかもしれませんが、さすがにそれはちょっと難しい)。
そう考えると、パート譜は自分のセリフしか書いていない台本のようなものです。もし自分が演劇をすることになった場合、自分のセリフを発するタイミングだけを覚えて役を演じるでしょうか。
むしろそのほうが難しいですよね。相手から何か言葉を投げかけられて、それに返事をしたり話を広げていったり、そうしたつながっていくストーリーを出演者みんなで作り出していく存在であると思えば、合奏をする時に自分のパート譜を超えたところへ意識を向けられるようになるかもしれません。
合奏時、自分の役割を全うしよう、間違えないようにしようとだけ思って他の共演者の音を一切聞かないで演奏してしまう場面に遭遇することがよくあります。
ぜひ耳を開いて、みんなの音を聴いて、そして自分もそこに参加してひとつの作品を作り上げていってください。
荻原明(おぎわらあきら)
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