奪い取られたナイフ!JRAの牙城
自分の競馬解析は何段階かのステップを踏む。
各ステップは分岐点の様なもので、そこで間違いを犯すと致命的、
多点数買いなら救われることもあるが、絞って勝負しようという場合、否応なく外れる。
第1ステップ→第2ステップ→第3ステップ、、、と解析を進めるイメージ。
当然と言えば当然だが、入り口である最初の段階で選択を誤ると、カスリもしない馬を結論付けてしまい悲惨な結果に。
ところが、見事な程に最終ステップと言える段階まで見透かせる場合もある。
競馬構造論から言えば、
「まじかよ、、」と驚嘆するくらいに合理の糸が1本に繋がるのだ。
「1点狙い撃ち!?」
期待感と共に胸が高まる。
「これで間違いないか?」を自らに問いかけながら、
「OK!大丈夫だ、OK!」を何度も繰り返し最後の最終ステップの選択を完了させる。
この流れの過程の中で、相手となる候補も浮かび挙がる。
「ヨシ、やったー!」
「間違いない!」
「この二頭でいける!ワン、ツーだ!」
と確信に満ちて、期待感はMAXへ。
10年程経つだろうか、
NHKドキュメント、「プロジェクト X」という番組があった。
番組ナレーションの
「、、、だった」
「、、、だった」
「、、、だった」
のフレーズが好きで、同フレーズ風に経験レースから、
JRAの喉元にナイフを突付けた創作をしてみた(笑)。
(地上の星 / 中島みゆき)
闇の中から目を凝らさぬと見えないような小さな光が見えた!
やがて光はみるみる大きくなった。
光の中に数字があった。
彼の目にもハッキリ見えた。
一点だった。
苦闘7時間の努力が報われた瞬間だった。
JRAの喉元にナイフを突きつけたような最高の充実感があった。
レースが待ち遠しかった。
待ちに待ったレースが始まった!
「○」が予想通り好位置に着けた。
「よし、いける!」彼は呟いた。
四コーナーに入って、「○」が抜け出し、先頭に立った!
彼は胸が高鳴った。
「◎は?」彼は「◎」を探した。
彼の結論付けた「◎」は馬群の中にいた。
口(くち)を横向きに、バックリ開けて笑っている様にも見えた。
「◎」は惨敗だった。
「○」はゴール前、無印に差されての2着だった。
喉元に突きつけた筈のナイフが、いつの間にかJRAの手に握られ、グサリと彼の心を貫いていた。
「ま、またやられた!!」
無印馬は彼の最終ステップでの「◎」との比較馬だった。
「100人の内99人は◎を選択する!、、」
ナイフの痛みに堪えながらの彼の絞りだすような呻き声だった。
馬単で6万をつけていた。
既に彼には記録する力は残っていなかった。
彼はモンスターJRAの足元で静かに息絶えた、、。
後にこの無印はGIを勝った!
驚愕の強さだった。
(ヘッドライト・テールライト 中島みゆき)
チ~ン、trueofx競馬創作劇場、お付き合いありがとうございました。(競馬雑記、了)
**********************************追記
本稿は実体験を背景にした創作ですが、
そう言えば、、で思い出しました。
あの時、彼は缶ビールを2本ほど空けて馬柱を眺めていたなと。
そんなわけで、お題「#ほろ酔い文学」に加えておきました(笑)。