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■ 四人目の博士  アドベントカレンダー

救い主の降誕を知らせる
星を追いかけていた博士は
実は四人いたのだそう

そのうち三人は生誕に間に合った
ベツレヘムの馬小屋で降誕した
飼い葉桶の緑児みどりごまみ
没薬、乳香、黄金の
捧げものを献上した

ではもう一人はどうなったのか
なぜ間に合わなかったのか

間に合わなかった博士は
三人と比べものにならない財宝を
携えていた

懸命に星を追いかけている途中の村々で
生きることに窮している人々に出会った

その博士は素通りすることができなかった
献上するつもりで携えていた財宝を分け与えた

一度や二度ではなかった
時間は大幅に遅れ
財宝はどんどん減っていった

その結果到着が遅れた
その結果献上する財宝は
なくなっていた

ようやく博士は駆け付けたが
手ぶらで緑児みどりごまみえるのをためらった

その時天から声がしたのだそう
ここに来るまでの行い全てを見ていたと
一番ふさわしいから我が子に会ってほしいと

そうして四番目の博士は手ぶらで
生誕の栄光にあずかることができたのだそう

それから二千年以上たった現在
この四番目の博士の志を受け継ぐ賢者が世界中に

世界で賢者は確かに
今も息をひそめて献身している

だからこの逸話が
色褪せずに今も引き継がれている





#アドベントカレンダー

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