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スイフトスポーツの除電チューニング その4

ワークスのエアクリーナーボックスを分解!

このところスイフトスポーツへの取り付けが多いですが、選定しているのではなく偶然です。この車の特性から性能向上に興味のあるユーザーが多いという事でしょう。
再度Nさんの秘密基地を訪ねました。
秘密基地に到着すると、スイフトスポーツは2柱リフトに入れられていました。気を使って下さり、アンダーガードは外されていていました。
拝見するとあちらこちらがノーマルとは異なります。

前回のお試しの記事の補足ですが、取り付けの時にターボのアクチエーターも除電しました。
こんなところはトヨタでさえやっていないはずです。この箇所はフルの除電チューニングをほぼ終えた、同じスイフトスポーツ(ZC33S)のノーマル車に乗るSさんで効果が大きいのを確認していました。
お試しなので購入しなくても良いから、どうぞやってみてくれという感じで勝手にやらせて頂いた訳ですが、おそらくアクチエーターは「こんなところに付けて効果あるの?」と思われたのではないでしょうか。
ターボを大きいのに交換した時は、アクセルを戻すとブローオフから「パン、パン」と音が出ていたそうですが、それが出なくなってしまっていた。
除電をして試乗したら、またその「パン、パン」という音が出たのだそうです。ブローオフは純正の物でした。
「パン」という破裂音がするというのは、高い圧力が一気に放出されるからです。という事は、エンジンの出力も上がっている(元に戻った)はずです。
音が復活した理由は定かではありませんが、マジ軽ナットシリーズは静電気を除電する物なので、静電気の影響があったのは間違いありません。帯電でアクチエーターの動きが悪くなっていたと思われます。後に聞くところによると、ブローオフのキャンセラーかコントローラーのような物が付いていたようです。

エンジンルームを拝見して採寸を始めました。どこをどの程度除電するか、ノーマルならSさんのデータを生かせますが、写真の通りかなり改造してあります。
改造の度合い、構造、材質等様々な事を考えながらどう施工するか考えます。
どうしようか悩んだのが、エアフィルター。APEXの物がワークスのエアクリーナーボックス内に収まっています。

何と三菱(コルトスポーツ)のワークスのエアクリーナーボックスを装備!

ここには除電ネットを取り付けたいのですが、高価な(というより、買いたくても買えない)ワークスのエアクリーナーボックスを加工して、透明なプラスチック板が貼ってあります。中を見せたいからわざわざそうしている訳ですから、見栄えも考えないといけなません。
似たようなテーパー状のオートバイのエアフィルター用で作った物を持って行って、それをNさんにお見せしました。「これはオートバイ用で作りましたが、このように作ります」。気さくなNさんがお任せしてくれてやり易かったです。
言った以上は、効果と同時に見栄え、更にダートラのコースを走るのですから振動で外れないようにしないといけません。
採寸だけでも写真のように分解しました。ワークスだけあって作りは素晴らしい。

大容量のエアクリーナーボックス、アルミ板を曲げてアルマイト加工してあります。

今まで様々な物を作って来ましたから、どうにかなるだろうと思っていました。
今回の目標は60%位の除電チューニング。除電し過ぎはもちろんダメですが、前回よりは進めるので、それ以上の効果が無いといけません。

手つかずだったサスペンションも除電します。サスペンションは前後カヤバ製の車高調が付いていました。
フロントは調整式のせいかセンターの雄ネジは14㎜。かなり特殊なネジです。フロントサスペンションはそこにに取り付けられなければ、プレートを固定しているボルトを交換して除電しようと考えました。
取り付けにはこのような現車を見ながら、先、その先を読む能力も必要です。
段取り+段取り通りにいかない時の対策が出来なければ、取り付けられませんよね。
まがい物を作っている人では絶対に出来ませんし、人前では施工はおろか説明も出来ないでしょう。

リアサスペンションもカヤバの車高調で別体タンクあり。長い雄ネジを通す汎用マジ軽ナットを付けようと、ピッチゲージで測定して合うナットを念のためにねじ込むと、入って行きません、凄く固いのです。
そうしたら、Nさんが電動インパクトで既存のナットを外してくれました。ネジピッチは合っていますが、手では入って行きません。
雄ネジは取り付けの際の保持用で両サイドが削ってありました。どうやらその加工の工程でバリが出来ていたらしい。マジ軽ナットシリーズの特徴は取り外しが出来る事でもあるので、無理にねじ込めばネジ山が痛むかもしれません。ダイスで修正すればいいのですが、特殊ピッチなのでそのサイズは持っていません。
ネジピッチは間違っていないので、取り付けられなければ別の方法で除電する方法を考えます。
どこを除電するかを大体決めましたが、難しいのはエアフィルター、悩んでいるのがフロントとリアサスペンション、あとは問題なし。これで見積書を作ります。

この取り付けの際に、ダートラ仲間もみえました。お一人はお試し取り付けの時にもいらしたレクサスのタイヤの除電で「これは本物だぞ!」と仰られたという、Hさんです。
もうお一方は若いメンバーで研究熱心な Iさん。何と会社の上司に言って静電気測定器を借りて、有給休暇を取って来られたそうです。製造業にお勤めなのかな?
それともうお一人もみえましたが、除電には興味が無いようです。それも全然構いません、まだ知られていない新しい技術ですので。
豆知識ですが、静電気を測定するのはとても難しい。静電気は導電性の低い(絶縁体)に多く帯電します。

これは学校で習っているのですが、時間が経ちすぎて忘れている方が多いので、下の記事を読んで下さい。人気記事です。

おそらくIさんは、マジ軽ナットがどの位放電するのかを測定しようと思われたのでしょうけれど、車の一部分から放電すると、車体の静電気は放電している場所に向かって流れて来ます。
これは水が高い所から低い所に流れるのと同じで、帯電量が少なくなるまで流れ続けますから、その知識が無いと「静電気が全然減っていない」という誤解に繋がります。
前述の通り、絶縁物質で保持するとそこに静電気が帯電してしまうから、正確な数値は出にくい。まして屋外なら風が吹いただけでも静電気が発生してしまうので、正確な測定など出来ません。
それなので、トヨタの除電の特許文献でも静電気の数値は記載出来ずに、グラフに「高ー低」としか書いてありません。
下図はトヨタのタイヤ・ホイールの除電特許で、除電の面積と燃費改善率の効果のグラフですが、y軸は数値ではなく「高ー低」ですね。このようにはっきりとした放電量を測定するのは今の技術では難しいのです。

トヨタ自動車の特許文献より、タイヤ・ホイールの除電量と燃費改善率のグラフ

ご本人も静電気の測定は難しいのはご存じだったようで、結局は測定はされませんでした。
測定器なしでも放電しているのが判断出来る方法があります。それは車から降りて触れた際の「パチッ」というあの嫌な現象。マジ軽ナットを取り付けるとこれがほぼ無くなります、マジ軽ナットのユーザーさんは気にして下さいね。
いつのまにか無くなっていると気づきにくいようです。
Iさんがもう一つ持って来られたのは、マジ軽ナットの特許文献です。本当、研究熱心ですね。「特許ってこれですか?」とプリントしたものを差し出しました。
「そうですよ。ただ、特許文献を読んでも、発明の内容全ては書いてありません。全てを書いたら、そのまま真似されるじゃないですか。だから、なるべく書かずに特許を出願するんです。その文献には材質か何かは書いてないでしょう?」、「そうですね、書いてありません」、「材質など書かなくても特許は取れるんです。私の兄も会社でいくつか特許を取っているから知っていますが、なるべく詳しく書かないように出願するんです」だいたいこのような内容でした。

マジ軽ナットの特許は、この発明の大ファンだった弁理士さんが「この発明で特許を取りましょう」と言って来たのです。出願時にはある目的もあって、最低限の内容で提出。申請は受理されたものの、後に特許庁から資料不足を指摘されて追加で提出しました。
何が言いたいかと言うと、特許を出願する人は真似する人の何百倍も上手だ、という事です。特許文献を見て、同じ物が作れるなんて全くの素人考えですし、そもそも犯罪ですから止めて下さい。
ちなみにお金持ちのトヨタは、特許の範囲を自動車の例えばエンジンとか、サスペンションとか、部分部分で特許出願・取得していますが、マジ軽ナットの特許は自動車用に限らず、ネジ・ナット形状から放電する特許ですから、例えば家電の放電に使っても特許の範囲になります。
アイデアとして釣り具とか、コピー機とか、私なりにアイデアはありますが、今のところは専門分野の車やオートバイを中心に静電気の除電を広めています。

技術協力をしている神奈川県立平塚工科高等学校には電気科もありますから、将来的には回路の除電とか、家電の除電の授業が行われるかも知れませんね。
そうすると、電気の流れが改善されて効率が良くなったり、音が良くなったり、故障しづらくなるはずです。もしかすると、壊れなくて困るメーカーが出るかも知れません。
何度も書いている、除電は応用範囲が広いというのはこのような事です。

除電箇所の測定を進めていると、Nさんがワインレッドの車を持って来ました。

「これにも付けてもらえますか?」というリクエスト。もちろんマジ軽ナットを取り付けました。
誰の車かは分かりませんでしたが、後日分かりました。
そして資材を準備して、年の瀬の12月30日に取り付けに伺う事になりました。

応用範囲と言えば、自転車のタイヤ交換をしました。チェーンアジャスターが付いていて、そこでチェーンを除電しようと随分前に購入していました。オートバイのチェーンでも軽く回るのが体感出来るのですから、自分の足で漕ぐならなおさら分かるはず、タイヤ+チェーンの相乗効果になるのです。
家内が乗っている普通の自転車のタイヤ交換を機にアジャスターを交換、汎用のマジ軽ナットを取り付けました。

チェーンの除電は効果大

数日経ってインプレッションを聞いてみました。いつも通り誘導しない聞き方です。
「加速が良くなった」、「坂を漕ぐのが楽になった」そうです。
タイヤ交換の数日前に強風が吹きチェーンに砂が付いてしまっていて、漕いだ感じはジャリジャリしていたとの頃、それでも体感出来たのです。
数年前にある自転車レースのプロチームの社長にマジ軽ナットの話をしました。社長さんは「そのような技術を持っているなら、監督に連絡するように言います」と確約してくれましたが、結局連絡はありませんでした。
おそらく競技選手上がりの監督さんでレースの事はお詳しいのでしょうけれど、新しい技術についての興味が無かったのでしょう。「軽量化なら理解出来るけれど、静電気なんて」と思われたのかも知れません。
5分だけ時間を融通して下さっていたら、今は常勝チームになっていたかも知れないのに残念です。

有効に使えるエネルギー量は限られています。タイヤが路面を駆動するまでに機械的なロス、熱に変わったり抵抗等で消費され、どんどん減って行きます。
その無駄に消費されて行くエネルギーを減らすと、体感出来るのです。逆に言えば除電をしないとそれ位エネルギーを無駄に捨てているという事。
ガソリン代の高騰、物価の高騰、タイヤも次々値上がりしていますから、エネルギーを有効に使いつつ、部品も長持ちする。
マイナスを減らす技術だからこそ、低コストで節約出来るのです。

取り付けに向けてエアフィルターに合わせて加工しました。各箇所のマジ軽ナットシリーズも揃いましたが、フロントサスペンションの14㎜は母材がありません。
それをどう克服したのか、その5に続きます。

除電の効果はタイヤだけでも体感出来ます。ネットショップでかんたんに購入出来ます。

マジ軽ナット 自動車用とオートバイ用のみメルカリでも販売を始めました。メルカリのホームページで「マジ軽ナット」と検索して下さい。

お知らせ

1月19日(日)午前6時より 神奈川県厚木市あゆみ橋で開催されるエクスチェンジマートに出店します。
出店は6:30頃の見込み、閉店は先月は10時過ぎでした。
「オートサロンのようなイベントに出店しないのですか?」というマジ軽ナットユーザーさんもいらっしゃいますが、身の丈に合った出店をしています。
開催当日は、ネットでは公開していない特許証と、ベンチテスターで測定した除電前後の性能曲線のグラフ、理論通りに除電して排気ガスの有害物質がほぼ無くなった測定器の写真もお見せします。
性能曲線のグラフの写真撮影はお断りしております。


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