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徒然なるままにインド⑦〜ヤギの脳みそを食べよう:北インド編〜

惜しまれつつも連載が終了した、漫画「ゴールデンカムイ」

日露戦争後の北海道を舞台にした、冒険・歴史・文化・狩猟グルメ・ホラー・ギャグ&ラブ!感情闇鍋ウエスタンの本作に影響を受けまくった。

特に食事のシーンが大好きだった。
私は食べることが大好きである。
食事は好奇心だ。
どんな味がして体にどんな作用があり、食物自体の歴史も知れる。

「ゴールデンカムイ」は私の好奇心旺盛の私の食欲を掻き立てた。

裏なんばにある「銀狼」さんは、ゴールデンカムイに沼った店主が本格アイヌ料理を学美、作中の食べ物を忠実に再現した「ゴールデンカムイコース」を提供してくれる。

私はそこでチタタプ体験もさせてもらった。
命のありがたさに感謝し、すべての神に祈りを捧げてウサギのもも肉を骨ごと2時間ナイフ叩いてツミレにし、ギョウジャニンニクとオハウ(鍋料理)にして食べた。

ついでに入荷したてのエゾシカのステーキも焼いてくれ、味の違いに心をとらわれる。

木の実を食べるウサギやリスは、肉がとろける程甘い。タンパク質感
草を食べるシカはジューシーな血の滴る赤身で臭くない。鉄分感

生きている時に食べるものでこんなに肉の味は変わるのか。

じゃあ、雑食なヒグマはどうだろう?知り合いに熊撃ち猟師を作り(笑)加工したヒグマを食べてみた。

うぅん、くさぁ〜い。

でも甘みもしっかりあって食べれなくはない。
マヨネーズと七味でいける!


日本人は胃腸が弱いので、衛生法がかなり厳しく私達を腹痛から守ってくれているが、そのおかげで食べれないものも多い。
先に書いた「ゴールデンカムイコース」も今はもう提供できなくなっている。

アイヌ料理も今は食べることが出来ないものが多い。

だが、私は一度でいいから脳みそが食べてみたかった。

映画の「羊たちの沈黙」でレクター博士が食べてるのを観た時も、人でなくて良い(むしろ人は食べたくない)から食べてみたいなぁと好奇心を揺さぶられていた。

「ムスリム街で山羊の脳みそ食べれるよ!」

旅の友の提案で私はついに脳みそにありついた!

店は「カリーム・ホテル」と言うムガル皇帝もお墨付きのレストラン。宮廷のお抱え料理人が創業した、ガイドブックにも載る名店。

左端がレストラン入り口
スマホを向けるとみんなポーズしてくれる😅
インドの人達、写真好き

宮廷料理か。
ってことは、ここで食べたら私のレベルが「筋肉とBリーグ好きの変態」から「筋肉とBリーグ好きの変態の皇帝」になる。

悪く、ないだろう。
今日から私はエンペラーだ!

お店は少し路地に入ったところにあり、インドに住んでいる日本人もよく来るスポット。

ミントグリーンと白と茶色
2階もある

店内に入ると店の奥にさっそく日本人らしきお兄さんがいた。
シャツにスラックスでノータイ、ネジが緩いのか黒縁のメガネをくいくいあげながら、片手でマトンを掴んでかじりつつ、スマホを操作している。

南インドでは日本人には1人も合わなかった。
外国でよくあるが、中国人か韓国人と間違われることすらなかった。

デリーに来てからは、1人でふらふらと喧騒の中を歩く、いかにもバックパッカーのお兄さんに話しかけられたのと、メトロで見かけて手を振り合った男女2人連れしか見ていない。

皆んなで日本人かな?とコソコソ話していたら、食事が終わったお兄さんが席を立ち、ポケットの財布を探りながら私達テーブルの後ろを足早に歩く。

「お先、失礼します」

ぽつっと一言私達に、律儀な日本人である証拠の一言を残してくれた。

「お疲れ様です!」

咄嗟に大声で返す私と、それを笑う旅の友。
つくづく自分はどこにいても、ちゃんと日本人だなぁと後ろ頭を掻いた。

そうこうしているとお目当ての山羊のお出まし。

ニハーリー料理はたくさんの香辛料で長時間煮込まれている

黒っぽい大きい皿の分が・・・煮込まれすぎて分かりづらいが、足の部分(パーヤー)と思われる。
小さい皿の白く見えているのが脳みそ(マガズ)
これをここではナンで食べる。
インドに来て初めてナン食べた!

先にパーヤーを食べたが、これが美味いのなんの!噛まなくても筋繊維がスプーンの上で解けてしまうくらいしっかりと煮込まれている。
脂身がないのでしつこさが無く、スパイスとの調和もいい塩梅。
齧ってもいいが、スプーンで軟骨までとろっととれる!こりゃ皇帝も抱えたくなるわ!

そしてそしてメインディッシュ。
脳みそと言うより、見た目はレバーっぽい。
ゴールデンカムイでは生のものを塩で食べていたが、私はしっかり煮込んで食す。

よくこれ系のものは白子みたいと言われるがどうだろうか。

すんごい油の上澄みだが、脳みそって脂っぽいよね

何も言われなければ白子かな?で日本人は食べるだろう。

脂っこそうだが、全然そうでもない
脳みそのアヒージョみたいな?この油分をナンに吸わせて食うと美味

私の感想だと、全くクセのない裏漉しした白レバー。
白レバーをそもそも食べたことがない人がいたらゴメンやけど、白子の方がむっちり感あるかな。
でもポン酢で食べたら白子って言うかもしれん。
全く癖もないし、口の中で簡単に潰れる。
正直、めっちゃ美味い!

スパイスもここまで煮込まれると然程気にもならないし、フランスパンで食べたい。


インドの料理をそこそこ食べてみたが、思ったことは日本食の献立の多さ。

見た目や味付けの多さは目を見張るものがある。
目にも美味しいものを作る、ちょっと見栄っ張りでいじらしく、食べてみると繊細な思春期みたいだなと思う。
素材の味も強く、調味料も豊富だが塩味が濃い。
舌の上でさまざまな味がする

インド料理はにおいが美味しい。
見た目と味は素朴、でも口にしてみると奥にはたくさんのスパイスやハーブが混じり合い、せめぎ合いながら一緒にいる。
ほとんどが辛味(辛味は味覚では無く痛覚:痛み)とにおいで食べる。
素材の味も薄いが、スパイス新鮮で香り高く、舌で味わうと言うよりは、口腔内のにおいで味わう。

日本の四季の有り難みを国外で食事をする度に痛感する。
素材の味のメリハリは寒暖差のなせる技。
南国で水分補給と体を冷やすために欠かせない瓜科の植物を食べる度、思い返してしまう。

青臭いキュウリの美味しさよ、スイカの目の覚めるような甘さよ。

ただの体温管理でなく、五感も震わせる日本の野菜は誇りだ。



街中で解体される山羊達。
さっき私は彼らを食べた。

結構しっかり山羊と目が合う👀

外国に行くと、よくいろんなものの解体現場に出会う。
自分も人生で2度「手術」と言う意味で腹を切られて内臓を取られる、ある意味解体された経験がある。

一緒だな、と思う。
まな板の鯉、ならぬまな板の山羊。そして私。
違うところは、私はよりよく生きる為に解体され生き、彼らは生きるものの生活を豊かにする為に解体され、死んでいく。

草ばかりを食べて肉を一生口にしない(消化する器官を持たない)彼らは、手厚く育てられて肉を食われる。

それは前世の裁きを受けているみたいに見える。

だから、私は解体現場を見るたび「いい事して徳を積もう」といつも初心にかえる。
人生は助走段階、死んでから私の全てが決まり、始まる。

かなり暑いけど肉は大丈夫なのか

今、写真で気がついたけど、こんなところに外貨両替所がある?!
山羊の解体を見に観光客が集まるのをうまく利用しているのか!
なるほどなぁ、たくましい!

本当は食育も兼ねてそのまま載せたかったが、鶏と違い山羊は日本では「肉として食う」イメージが薄いので苦手な人に配慮した。
でも、大切なことだから現地に行ったらぜひ知ってほしい。

食卓にのぼってくれてる命にも、ちゃんと生きていた時の姿があるんだよ。

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