ヒトが調理するワケ
昨日読んだ 脳はすこぶる快楽主義 という本の目次のタイトルで、
「ヒトが調理するワケ」が気になったので、お伝えしてみます。
著者の池谷 裕二さんは「人はなぜわざわざ苦労して調理をするのだろうか」と問い、それに答えていました。
ハーバード大学のロサティー博士らは、チンパンジーに生のポテトと茹でたポテトを差し出し、どちらを選ぶかを観察したそうです。
すると選んだのは86%が茹でたポテトだったそうです。
それは、美味しいからと思われるが、そもそも「おいしさ」とは……。
「おいしさ」とは、舌の味覚器でアミノ酸や糖と言う栄養素を感知することだそうです。火を通すとタンパク質や炭水化物が分解されアミノ酸や糖と言う小さな分子になり、消化が良くなり、胃腸からの吸収が高まります。つまり、火を通すと利用可能な栄養量が増えるということです。
しかし、生の食材を食べる野生のチンパンジーは、起きている半分ほどの時間を、咀嚼についやさ無くてはなりません。
要するに、「栄養満点」=「おいしさ」として、脳に届けられる。
「美味しいから好き」と言うより「身体に有益なものを美味しいと感じる」と言うことになります。
私のような健康志向の料理好きには、嬉しい話です、
現代のような飽食時代の油や糖や塩の摂り過ぎや、高温調理は別として、
栄養に留意して、調理された一皿は、身体に染みる美味しさがあります。
私は、去年に観た「人生フルーツ」という映画のご夫婦の食事風景が心に残り、忘れられません。
ご主人が「おいしい、嗚呼おいしい」と、奥様の作る、心のこもった料理を幸せそうに召し上がっていました。
そして、有る日、いつものようにお昼寝をしたままスーッと天寿を全うされました。あまりにも自然な臨終で、思わず日々の食べ物の力 かしらと想像させられました。
兼業主婦の日々の料理は簡単ではありませんが、できる限り、素材や調理方法に気を配り「おいしい」料理を家族に提供していきたいと思います。