大人の役割ってなんだろう(3min)
大人になったものだ、と感じることが最近よくある。
例えば、テレビで活躍するスポーツ選手やタレントさんが自分より年下だとわかったときや、久しぶりにInstagramで見つけた友だちが立派なパパママをしていたときや、近所のバーでひとりお酒を楽しんでいるとき、など。
だけど僕が一番強くそれを感じるのは、無邪気にはしゃぐ子どもたちを見てふと
「立派な大人に育ってほしいなあ」
と思っている自分に気づくときだ。
大学生時代に塾講師として子どもたちに勉強を教えはじめてから早10年。
最初の頃は「この子はどうすればもっと勉強が楽しくなるだろう」「テストの点数がとれるだろう」だけを考えながら授業をしていた。今思うと、生徒たちは自分の弟や妹、後輩のような感覚だった。
けれど最近では、もちろん勉強をもっと楽しく感じてほしいという思いは変わらずあるけれど、その根幹に
「社会で堂々とまっすぐに生きていける大人になってほしい」
という願いが生まれていることに気づいた。それは子どもたちを、保護者のひとりとして見守っているような感覚だ。
大人の役割って一体なんだろう。
僕はそれは、子どもたちが将来立派な大人になれるように育てることなんじゃないかって思う。
正直、こんなこと偉そうに書いている僕は大した大人ではない。
待ち合わせにはぜったい5分くらい遅刻するし、すべき仕事を後回しにしてしまうこともあるし、食べ物の好き嫌いだってある。大人失格だ。
でも自分の中のいくつかの約束、たとえば「家族を大切にすること」「人を傷つけないこと」「自分を守るためのウソはつかないこと」は守っていると心から言える。だから僕の人生はいまのところとても充実している。
最近、教師が生徒に手をあげてしまった動画がSNSで拡散されていた。
この生徒と先生のどちらが悪いのかという論争もあるけれど、それより僕が気になったのは「どのような環境がこの子をこう育ててしまったのか」と「この事件が子どものその後の人生にどう影響するのか」ということ。
手をあげてしまった先生がどういう気持ちだったのか、そしてこれから自分はどう生きるべきか、この子が学べるひとつのチャンスだと思う。どうかじっくり考えてみてほしい。
人から後ろ指をさされない大人。
誰かをむやみに傷つけない大人。
自分の人生を精一杯楽しめる大人。
僕が一生のうち関わらせてもらえる子たちはそんなに多くない。だからこそ、その子たちには立派な大人になってほしい、と心から思う。