テストの点数だけで子どもの学力を測らないで。
子どもの学力とテストの点数
教育を仕事にしていると、僕らにとっての当たり前が、保護者さんにとっての当たり前ではないんだな、と感じることが多くある。その1つが
「子どもの学力=テストの点数・学校の成績」じゃない
ってこと。
去年の12月以降僕は、多くの保護者さんに小学生の学力の現状や正しい学び方について知ってもらうため、2ヶ月に一度のペースで教育セミナーをやっている。
そのセミナーにはもちろん教室に通ってくれている子の保護者さんも来てくれるが、「教室に興味はあるがまだ通っていない子」の保護者さんもたくさん来てくれる。
そんな保護者さんとお話していると、よく聞かれる言葉が
「うちの子はテストで点数が取れているので、まだ大丈夫かなーと思うのですが。」
「学校の成績もそんなに悪くないので、成績が落ちてきたら塾に行かせようと思います。」
だけど果たしてテストの点数や学校の成績だけで、子どもの学力を評価して大丈夫なのだろうか?
成績優秀なのに学力は低い?
まずは僕の教室の子どもたちの例を2つご紹介します。
例1、小5の女の子
授業中に文章問題の話になったので、その子のノートに僕が問題を作った。
昨日、お庭に小鳥が3羽遊びに来ました。今日見ると、昨日よりも2羽多い小鳥が遊びに来ていました。それでは、昨日と今日の小鳥を合わせると全部で何羽になるでしょう?
昨日の小鳥は3羽
今日の小鳥は3+2=5羽
よって合計で8羽
と答えるかと思いきや、彼女は「5羽!」と即答。どうしてそうなったか尋ねると
「だって、3と2があって『合わせて』って書いてあるからたし算やろ?」
彼女は文章を読まず、そこにある数字とキーワードを手掛かりに反射的に問題を解いていた。
例2、小4の男の子
体験授業に来てくれた彼は算数が好きだと言ってくれたので、文章問題が書いてあるプリントを渡してみた。
ボールのコロコロとゴロゴロは100cm転がりっこ競争で、今日のお掃除当番を決めることにしました。コロコロは10分で20cm、ゴロゴロは15分で25cm進みます。それではどちらが何分早くゴールできるでしょう。
問題を30秒ほどじっと見つめた後、私のほうを見て
「わかりません」
どこがわからないかな?と僕が尋ねると、お母さんの方を向いて
「これ何算?」
「ならってない」
しかし4年生の彼が向き合っている問題は、僕の教室で小学2年生が解いている問題だった。
これら2人の例をお読みいただき、「ただ単にお勉強の苦手な子だったんでしょ」と思わないでいただきたい。
なぜなら彼らは二人とも小学校では「優秀な子」とされているからだ。
学校のテストはほとんど満点がとれ、通知表では「よくできる」も沢山ある。
これでもまだ「学校の成績=子どもの学力」と言えるだろうか?
学力とは?
以前に教育アドバイザーであり、どんぐり倶楽部代表の糸山泰造先生の教育セミナーを拝聴した際に、学力とは4つの力に分けられるとおっしゃっていた。それが
①理解力、②思考力、③判断力、④伝達力
である。
①理解力は、問題をきちんとイメージ化(理解)できる力のことで、読解力もこれに含まれる。
②思考力は、①でイメージしたことを操作して、解き方を考える力のこと。
③判断力とは、最適な解法や答えを自分で選択できる力のこと。
④伝達力とは、自分の解法や答えを他者に伝える力のことで、表現力やプレゼン力もこれに含まれる。
中学校以降に必要となる学力、そしてそれだけでなく社会に出てからも必要とされる「生きる力」も、僕は上の4つに分類されると思う。
まとめ
それでは小学校のテストでこれらの力が正しく測れるだろうか?
学校で実施されるテストはあくまでも「単元ごとの理解度をあくまでも簡易に確かめるためのもの」であり、「子どもたちの学力の本質を測るもの」ではないと僕は思う。
だから僕は教室に通ってくれている保護者さんたちや、セミナーに参加して下さった方々には
「学校のテストや成績だけで学力を判断しないで下さい」
とお願いしている。
もちろんテストや通知表の結果で一喜一憂することが全て悪いとは言わない。
だけど本来なら生まれた時からずっと毎日一緒に過ごしている保護者こそが、その子の学力の成長を一番実感できているはずだ。
学校のテストや成績だけではなく、その子の行動や様子をよく観察してあげて、
「こんな言葉も使えるようになったのか」
「こんなことに興味を持つのか」
「こんな考え方ができるようになったか」
を感じていただきたい、と心から思う。
おわり。
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