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とあるツイートに対する反論〜ゆっくり丁寧な授業で子どもは伸びるのか〜(8min)
とあるツイートについて
少し前の話になりますが、Twitterを見ていると、教育業界において全国的に有名なある先生が、このように呟いていらっしゃいました。
言いたいのは、ゆっくり丁寧な授業で子どもは伸びるのかということ。伸びない授業を受けるということは、子どもにとってどうなのかということ。
これには驚いた。
ツイートではやや濁して書いてあるが、その真意を僕なりに解釈するとつまり
言いたいのは、ゆっくり丁寧な授業では子どもの学力は伸びないということ。伸びない授業を受けるということは、子どもにとって決してよろしくない。
といったところでしょうか。
先生のように長年子どもたちと向き合ってきた方であっても「『授業の速さ』が子どもたちの学力を伸ばすことにつながる」と、まさか本気で考えているのだろうか。
結論
このnoteを読んで下さっている方々にはまず結論から言います。
ゆっくり丁寧な授業だけが、子どもたち(ここでは小学生とします)の本当の学力を最大限まで伸ばすことができます。間違いありません。
時間のない方はここで読み終えていただいても構いません。
ただもし興味を持っていただける方がいらっしゃれば、引き続きお付き合い下さい。
子どもは自力で伸びるという前提
大前提として、最低限の環境さえ用意してあげれば、子どもたちはある程度までは勝手に伸びていきます。
それはまるで、庭に生えた雑草のように。
わざわざ水をこちらから与えなくても、そして多少の除草剤をかけたとしても、自ら根を張り、空に向かってぐんぐん育つ。
つまり、たとえ「速くて雑な授業」をしていたとしても、間違いなく伸びます。だから「自分の教育方法は正しかったんだ」と勘違いをしてしまう先生方もいらっしゃるんですね。
しかしその子を雑草ではなく、誰もが眼を見張るほどの立派な大樹にまで育てようと思うのなら、そこにはゆっくり丁寧な授業が必要不可欠なのです。
速い授業を実践して見えた問題
なぜここまで断言できるのかというと、僕も数年前まで、スピーディな授業に全力で取り組んでいた過去があるからです。
例えば算数の授業では、子どもたちには計算問題を解き終わる速さや、計算プリントを解いた枚数を競わせていました。
国語の授業の最初には古文の暗唱をさせたり、大量の漢字を高速で反復させ、覚えるように指導したり。
そこでは子どもたちの目は輝き、イキイキと勉強しているように、見えました。
しかし数年間続けているうちに、3つの問題が見えてきたんです。
1つ目
もともと理解力の高い子は効果が出るのが早く、計算のスピードもすぐに上がり、たくさんの漢字を書けるようになりました。
また学力が平均〜平均よりやや下くらいの子も、何度も反復しているうちに少しずつ成果が見え、本人も楽しそうに取り組んでくれた。
しかし、クラスに3〜4人いる「いわゆる出来ない子」は全くついていけなかった。計算問題を何度反復しても、どんなに大量に漢字を練習させても、何1つ定着しないんです。
どうにか効果を出したい一心で、さらにもっとたくさん練習させるようにしたのですが、それでも結果は変わらず。
この速い授業は、全ての子どもたちに共通して効果があるとは限らない、ということを感じました。
2つ目
次は全ての子どもたちに共通して言えることですが、授業内外問わず落ち着きがなくなり、ノートの字がとても汚くなりました。
こちらが話をしていてもどこかソワソワしており、教室全体がざわざわしている。
最初は何がこの異変の原因となっているのかわからりませんでした。しかし速い授業をやめてしばらくすると少しずつソワソワ感も減り、字も少しずつ丁寧に書けるようになってきたため、原因が授業のやり方にあったのだと気づくことが出来ました。
3つ目
これも全ての子たちに見えてきた、そして3つの中でも最大の問題点ですが、単純な計算問題や漢字の書き取り以外の問題を解くことをひどく嫌がり、考えるということができなくなりました。
算数の文章問題は、問題の中の数字をただ組み合わせて式をつくるようになり、国語の読解問題では字面をただなぞるだけで、内容が全く理解できていない。
少しタイプの違う問題を解かせようとしただけで「わからん」「習ってない」「これ何算?」「面倒くさい」という「思考を停止させる言葉」のオンパレード。
そして最悪の結末として、多くの子どもたちが中学校に進学後、勉強についていけなくなりました。小学校の頃はイキイキと学べていたかに見えた子どもたちが、中学校のテストでは平均点そこそのの成績にまで落ちてしまった。
勿論、ゆっくり丁寧な授業をしている今は、小学校の頃より中学校に入ってから成績が良くなる子がほとんどで、県下トップクラスの高校にも多数進学してくれているのですが、
それだけに「速い授業」をしてしまった子たちには本当に謝っても謝りきれない思いでいっぱいです。
速い授業で得られる「反射的学力」
それでは速い授業の何が問題なのか。
それは「基礎学力」とは名ばかりの、単純反射で問題に取り組もうとする学習姿勢を身に付けてしまうところです。
ちなみに僕はこれを「反射的学力」と呼んでいます。
反射的学力の何が問題なのかと言うと、ここではとにかく速く解くことに重きを置いているため、問題の内容をしっかりと理解しながら進めることが苦手になる点です。
それこそ子どもたちの中の上位0.1%に入るような「非常に優秀な子たち」はそのスピードでも十分に理解しながら進めていけるのかもしれません。しかしそれ以外の子たちがスピーディに理解するのは難しく、それなのに速く解くことを求められるため、出来るだけ思考を排除した「反射」という形で対応する。
優秀な子たちも、それ以外の平均よりやや下の子たちも、とりあえず解ける。
これにより教える側は「子どもたちみんなが成長した!」と感じるわけですが、その子たちの理解度には雲泥の差があるんです。ほとんどの子どもたちは理解できていません。そしてこの事実が明るみになるのは、中学校進学してしばらく経ってからなのです。
全ての子どもたちを最大限に伸ばすために
人間は元々、反射という行為をするのは得意です。なぜなら自分の命を守るために必要な力だから。
ですので、わざわざ小学生の頃からこの力を無闇矢鱈に強化する必要はありません。
勉強の本質は「考えること、そしてそれを楽しむこと」。
だから「問題を速く解くこと、テストで良い点をとること」を目標にさせるべきではありません。
全ての子どもたちが、まっすぐと天まで届くような立派な大樹に育つように、じっくりと考え、問題と向き合えるような習慣をつけてほしいと思います。
全国の先生方には是非、そんな子どもたちがたくさん育つような、ゆっくりと丁寧な授業をお願いしたいです。
最後に
長々と書いて来ましたが、よく考えると教育業界の大権威であられる先生が「速い授業」を勧める訳ないですよね。
おそらく僕の解釈が間違っていたのだと思います。ここまで読んで下さった皆様、申し訳ありませんでした。
字数制限の関係で書けなかったのだと思いますが、最後に先生の呟きの真意を(カッコ)で補わせていただきます。
言いたいのは、ゆっくり丁寧な授業で子どもは伸びるのかということ(伸びるに決まっているじゃないか)。伸びない授業を受けるということは、子どもにとってどうなのかということ。(だから「伸びない速い授業」はすぐにやめて、これからは「ゆっくりと丁寧な授業」をやっていきましょうよ)
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