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トレンダーズ1年目、役員週報をテキストマイニング、彼らが役員たる訳はここにありました|経理のかじわら

就活中、モチベーショングラフを書いてと言われた経験がある人は多くいるのではないでしょうか。就活生ばかり書かされるあのグラフを、役員や会社は書いたことがあるのかいつも疑問に感じていました。

そこで今回は、弊社経営陣が社員におくる週報をテキストマイニング(ユーザローカルさんの「AIテキストマイニング」使用)して、モチベーショングラフとまではいきませんが感情や頭の中を可視化します。徒然なるままにパソコンに向かひて、その考察と感想を書いていきます。トレンダーズや上場企業の経営陣のことが気になる方、読み進めてみてください。

本当は、経営陣の週報をテキストマイニングにかけたのはおそらく今世紀初めての試み(かじわら調べ)なので、興味本位でも皆さんに読んでほしいです。すべて1年目のかじわらの独断と偏見によって書かれています。

そもそもテキストマイニングとは?

大量の文章データ(テキストデータ)から、有益な情報を取り出すことを総称してテキストマイニングと呼ぶ(野村総合研究所)

このノートの3つのポイント

偶数の年に課題意識が高まり、奇数の年に成長意欲が高まる経営陣。
②「強い・高い・大きい・新しい・成長」が常に経営陣の頭の中にある。
③ 今年は「メンバーに機会を与えることで、会社は変化し続ける」と経営陣は考える。

テキストマイニングをした感想

日々、どうして彼らは役員になれたのか想像しているのですが、今回のテキストマイニングを通して、断片的にではありますがいつもと違う視点で理解が進み、わかってきたような気がしました。

▢みんなができないことをやる
▢当たり前のことを当たり前にやる
▢やればいいのに他人がやらないことをやる

この3つの意識こそ、彼らが役員になれた要因なのではないかと考えています。いたってシンプルで、そんなの当然だよとお思いになるかもしれません。が、この3つは、理解できてても意外にできないことのように僕は考えています。

経営陣は誰よりもこの3つに忠実かつ愚直であり、高い目標を設定していたように感じています。小手先の努力や浅知恵では、役員になることもましてや成長することも願わないと痛感しました。(高校生の梶原青年に言い聞かせたいものです)

成長することと課題を意識することを交互に(ほぼ同時的に)する役員の成長因子は週報に多く蓄積されていたので、引き続きウォッチし、どう自分のモチベーションにつなげるか考えねばなりません。また、共起キーワードグラフから抽出した注目すべき単語は、ある意味で経営陣の視座だと思うので、ひとつのベンチマークとして今後もアンテナを張って置いてかれないようにします。

ここからが本編

さてポイントと感想を読んで、「う~んどうしてあれがポイントなんだろう」「共起キーワードからわかる視座って何?」とお思いのそこのあなた!このまま本編(グラフ考察)に入っていただければと思います。

が、その前に今回の考察をしている僕の自己紹介をさせてください。おそらくこの紹介以降は真面目な話しかできないので、少し脱力させてください。なんなら一緒に脱力してください。

かじわらのこと

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(『「平成」改元を発表 1989年1月7日』日本経済新聞 2018/1/5 12:30より引用、画像をクリックすると記事に行けます)
平成おじさんが総理だった平成10年、長野五輪があった感涙の冬、かのスティーブ・ジョブズと同じ日に生を受けた、初めまして梶原航平です。大学では弁論部に所属していたこともあり、在野研究を趣味にしています。最近は、インフルエンサーマーケティングの次の社会を考えたり、ドイツ重商主義「官房学」の文献を読むのにはまっています。更新頻度が1998年のwindows並みに遅い僕のnoteのリンクも貼ってみます。

部署のこと

いまはコーポレートDiv.にて経理をしています。経理と聞くと、昨年のNHKドラマ10『これは経費で落ちません』(多部未華子,重岡大毅他出演)をイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。そうです、あの経理です。ご覧になっていない方はごめんなさい。漫画もあるので読んでみてください。話はそれましたが、俗にいう「お堅い部署」です。

ただ、お堅いといってもそれは業務遂行上の側面であって、人柄までお堅い訳ではありません。私の先輩の一人はジャニーズをこよなく愛し、また別の先輩はチケットの当落に一喜一憂しています。またある先輩はお子さんが可愛くて仕方がなさそうだし、チームをまとめるCFOの田中さんは時々目が合うとニコニコしてくれます。ちなみに、私はプライベートで典型的な呑兵衛、三次会はカラオケで『二億四千万の瞳』を熱唱すると相場が決まっています。

脱力もここまでとして、いよいよです。頑張りましょう。

年次別テキストマイニング

ここから三種類のグラフを順に追いながら、経営陣の感情と頭の中を可視化していきます。ポジネガグラフと感情グラフはそんなに文量はないですが、共起キーワードグラフはボリューミーになりました。

※必読!!!グラフをみるときの注意!!!※

ポジティブとネガティブという用語が多用されますが、どうやら世間一般の意味合いとはズレている部分もあるようなので説明をしておきます。この注意をスルーすると、誤った見方になるのでご注意を!!!

どんな言葉がポジティブ、ネガティブになるのか?

スライド1

上の簡単な分類を見る限り、ポジティブは世間の意味合いと同じように分類されています。一方、ネガティブでは「いい」が分類されてしまうように意味合いでズレがあるようです。

週報をみる限りネガティブな表現は、失敗した話や悩んでいること、課題に思っていることの話に使われていました。経営陣は、失敗や課題を伝えたあとには、しっかりとそれらを解消するには「ああしたほうがいい」「こうしてみるといい」といつもの前向きな姿勢で週報を締めくくっています。

例えば、僕の上司田中さんの週報にてネガティブとされたのは下のような文章です。

田中さん_ネガ例1

ということで、今回のテキストマイニングにおける弊社経営陣のネガティブな感情を「課題意識」とし、ポジティブな感情を「成長意欲」と定義したいと思います。

①成長意欲と課題意識がわかるポジネガグラフ

はじめに2017年からの4年間で、週報を通して経営陣の感情はどのように移ったか考えていきます。この考察ではポジネガグラフ(文章に含まれる成長意欲が伺える文と課題意識が伺える文の存在比を示した図)を用います。グラフの緑色は成長意欲(グラフ中ではポジティブ)を、赤色は課題意識(グラフ中ではネガティブ)を、灰色は中立を表しています。

冒頭のポイントでもお伝えした通り、偶数の年に課題意識が高まりやすく、奇数の年に成長意欲が高まりやいのが弊社の経営陣です。ただグラフをご覧になって頂ければわかるように基本的に課題意識の比率が高いです。経営陣というのは常に会社、チームや自分の課題を考えそれをどう改善するか考えているのでしょう。参照データが少ないので非常に粗削りではありますが、成長意欲と課題意識の比率(通称PN比率)が2未満を成長意欲が向上している、2以上を課題に意識を集中させているとします。

▼2017年PN比率1.86=成長意欲向上▼

週報_2017_posinega_summary

▼2018年PN比率2.59=課題に意識を集中▼

週報_2018_posinega_summary

▼2019年PN比率1.93=成長意欲向上▼

週報_2019_posinega_summary

▼2020年PN比率2.03=課題に意識を集中▼

週報_2020_posinega_summary

この4年で成長意欲は0.4%上昇、課題意識は2.6%上昇しました。上昇率のPN比率は2.0で、課題を発見し解決しようという意識が多く働いているようです。成長意欲が高まった(課題意識が落ち着いた)翌年には、課題意識が高まり(成長意欲が落ち着き)、またその翌年には成長意欲が高まる(課題意識が落ち着く)という具合に、成長意欲と課題意識の比率の上昇は反比例関係にありました。

しかし、2020年はそれぞれ共に上昇しています。これは成長によって生じる課題を即座に解消しようとしている、つまりは成長スピードを加速させていることの表れのように捉えられます。新型コロナウイルス流行に対する危機感やそれをどうチャンスにするかフル回転で考えていると思われます。それは、本レポート最後の共起キーワードグラフでそれがうかがえます。

ちなみに、これまでの規則性をふまえると弊社経営陣の来年は成長意欲が高ぶる年と予想できます。

②2020年の経営陣の感情がわかるグラフ

つぎに2020年の経営陣の感情はどのような局面を迎えているのか考えていきます。この考察では、感情グラフ(文章中の各感情の度合を全感情の平均値50%として換算した図)を用います。

2020年の経営陣の感情は、新たな局面を迎えているのではと考えています。テキストマイニングをした4年で最も「怒り」「恐れ」「悲しみ」の数値が高かったのです。

▼2020年の感情グラフ▼

週報_2020_emotionSummary

悲しみ 84.9% 前回比2.0%上昇
恐れ  29.1% 前回比37.9%上昇
怒り  58.1% 前回比15.6%上昇

中でも「恐れ」の感情の上昇は著しく、新型コロナウイルス流行への危機感がにじみ出た結果のように感じます。そうした危機感を経営陣で醸成する一方で「好き」は微減に留まりました。これは危機感の反動が来ているのではないかなと考えています。新型コロナウイルス流行によりさらに先行きが不透明な時代に突入するが、その分やれることはやりつくそう、さらにトレンダーズを成長させようとする意志が垣間見えます。

全て「時代が、彼らをそうさせた」に収斂されるような気がしています。

③経営陣の頭の中を探る共起キーワードグラフ

さいごに各年代で特徴的なキーワードの組み合わせの考察をしていきます。この考察では、共起キーワードグラフ(文章中に出現する単語の出現パターンが似たものを線で結んだ図)を用います。

1.2017年

週報_2017_cooccurrence_network

マーケティング-時代-広告-方法

このころにデジタルアドマーケティングを新領域として取り組むことになったゆえにこの組み合わせができたと考えられます。加えて、インフルエンサーマーケティング市場が堅調な成長を見せていたこともあると思います。

新しい-サービス-商品-価値-考える

mitayo.やAnny magazineの新規展開に代表されるように、トレンダーズは社会からなくてはならない存在になるために奔走していました。「トレンダーズがいないとなんだか悲しい」と消費者に感じてもらうには何が必要か経営陣は真剣に考えていたろいうことでしょう。

強い-会社-仕事-できる

消費者から必要とされる会社は、強い。強い会社は、仕事ができる。そういう意思が読み取れる組み合わせです。ブロガーからインフルエンサーに消費者との接点が変化しえどもトレンダーズは絶えず消費者を見失ってはいけないと自戒していたようにもうかがえます。

営業-楽しい-嬉しい-すごい

消費者の意識や動きをリアルタイムで捉えつつ、顧客課題に挑む営業の楽しさ、嬉しさ、すごみといったものを伝える組み合わせです。2020年、その存在に共感をした私の同期が一人営業で働いているのだから、この組み合わせは正しかったと思います。

読む-本-買う

言わずもがな、書をもって学ぼうという啓蒙活動がなされていたと考えられます。読むため、学ぶために本を買おう。ここでいう「買う」とは研鑽のために自己投資は怠るなという役員からの意見だと考えられます。

2.2018年

週報_2018_cooccurrence_network

サービス-営業

2017年の新しいサービスを考える流れから、出来上がりゆくサービスをいかに営業の武器としていくかがポイントになったように考えられます。第一線で顧客との関係性を構築する営業がサービスの奥深くまで理解し、適切に使いこなせるようになる年にしようという意思があると考えられます。

ビジネス-勝負-必要

前年にはなかった攻めの姿勢があったのではと考えられます。現にこの攻めの姿勢によって、2018年3月期本決算の売上高は過去最高の2,165百万を記録しています。ビジネスには勝負にでる姿勢が必要になるとこの組み合わせは語っています。

チーム-メンバー-新しい

弊社クレドに「チームファーストパワー」「チャンスにビビるな。」という言葉あるのも納得できる組み合わせです。メンバーが新しいことに挑戦することでチームも刷新され、組織も変化するという意味だと考えられます。

自身-成長-できる
大きい-変わる-行動-目標-高い-持つ
行動-意識-強い-変える

この3つの組み合わせは読むとわかるように似ています。会社に所属する個人が高い目標を持ち、強い意識の下で行動し、成長する(大きく変わる)ことを経営陣が期待している表れのように考えられます。期待値を常に超えられるプレイヤーを欲している弊社ならではの組み合わせです。

3.2019年

週報_2019_cooccurrence_network

マーケティング-必要

複雑化する消費社会に対応するだけのマーケティングソリューションが必要だと経営陣が考えているように受け取れます。一方、そうした消費社会ゆえにクライアント企業には適切なマーケティングが必要だ、ゆえにトレンダーズが頑張らなくてはという決意にも受け取れます。2年前に比べてより本質的な組み合わせになったと考えられます。

メンバー-チーム-トレンダーズ-会社-未来-成長-個人

初めて個人(メンバー)と会社が成長や未来といった言葉で組み合わさりました。この組み合わせが意味しているのは、個人の成長こそが会社の未来であり、会社の未来をつくっていく過程で個人の未来が実現すればという使役関係を超えた一致団結を表しているように考えられます。

続ける-自身-スキル-持つ-大事

より個人に求めることが明瞭になったのがこの組み合わせでしょう。経営陣はメンバーに継続してスキルを得て、常に学ぶようにと求めていると考えられます。

高い-目標-新しい
大きい-変わる

スキルを持ち続けるには、今までより高くも新しい目標が必要だと言っているように考えられます。また、目標に向かった行動が結果的に大きな変化を生み出すと2つ目の組み合わせで伝えているように受け取れます。

読む-本-知る-書く

2年前は本を買うことまでにとどまっていたのでが、今年になって書くというアウトプットまで言及しています。インプットだけでなく、アウトプットも行いより効果的な学びをしようという考えがうかがえます。

4.2020年(第1四半期)

週報_2020_cooccurrence_network

長い-会社-チャンス-くれる

会社にはチャンスが絶えず存在していると伝えているように考えられます。そして、会社が長く続けば続くほどにチャンスは増えていくと経営陣は考えていると感じました。ここにおけるチャンスとは、新事業創発のチャンスと既存事業改良のチャンスのことだと考えられます。

企業-変化-続ける

長く続く企業は、変化し続けることが大切だと伝えてくる組み合わせです。週報始まって以来、初めて企業と変化が組み合わさりました。新型コロナウイルス流行の影響や競合他社との激しさを増す差別化競争に対して、トレンダーズ・メンバーにさらなる変化を求めていると考えられます。

新規-営業-担当-組織

今期から事業部制に移行したこともあり、営業へフォーカスされた組み合わせが登場したと考えられます。チームプレーによって担当1人では出せない成果を出そうというメッセージがあるようにうかがえます。

ものすごい-経営者-強い

週報始まって以来はじめて経営者という言葉が注目されました。組み合わせのインパクトもなかなかなもので、ものすごい経営者は強いというパワーフレーズになっています。「ものすごい」「強い」の定義は経営陣一人一人がしているのではないかと感じています。

楽しい-増える-嬉しい-考える

テキストマイニング始まって以来、初めて注目される「感情と理性」の組み合わせです。この組み合わせ、楽しいが増えると嬉しいまでは理解できます。問題は「嬉しい」「考える」の組み合わせです。これを私は、嬉しくなるために何をするか考えるという逆算思考なのではないかと感じています。

これでおわり。

この4年間、絶えず経営陣が発していた言葉は、「強い・高い・大きい・新しい・成長」でした。おそらく皆さんが思うような文脈でこれらの言葉がでてきてはいないかもしれません。しかし、言葉の断片だけをくみ取っても、経営陣はこの五個の言葉を日常的に用いていることは確かです。弊社の経営陣は、この五個の言葉に集約されるといっても過言ではありません。

ここまでで7000字弱、読んでくださり本当にありがとうございました。正直、途中からなんでこんなに面倒なことをやろうと決めたのか経理業務に追われる月末毎日悩んでいました。でも、最後までやり切ると経営陣が何を考えているのか見えてきた気がするのでこれを胸にかじわらも強く、大きく、高く、新しく、成長を遂げていく日本男児になろうと思いました。

弊社を知らなかった方だとしても、いま自らが属する企業の経営陣が何を考えているのかどんな感情なのかをテキストマイニングを通じて理解することはできそうだと思っていただけたのではないでしょうか?

ノートが面白かったらあなたの半径5mばかりにいる物好きな方、企業分析手法の研究している方にシェアしてくださると嬉しいです。反響がいくらかあれば役員別でもしてみたいと思っています!

それではまた。どこかでお会いしましょう。経理デスクの角で履き心地の悪いサンダルを買い替えるか悩むかじわらより。

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