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ドクターペッパーの思い出 その4

 その日のインパクトがよほど強かったのか、私は次男が6~7歳の頃、思い出話として高田くんのことを話した。
 息子は、炭酸が抜けた水を我慢して飲んだ、というくだりがとても面白かったらしくケタケタ笑っていた。
 それ以来何度か、
「ねぇ、あの話もう一度して」
 とせがまれたことがあるけれど、その場にいて目撃せずともそんなにおかしい話なのか、と私の方が驚いたくらい。
 そしてそのいわくつきの飲み物を飲んでみたくなった息子は、ある日初めて口にしてなんと大のお気に入りになってしまったのだった。
 これには私も面食らった。
 私が高田くんのことを話しすぎたから? 

 そして次男の初めての「遠出」は、自販機にドクターペッパーを買いに行くことだった。
「ママ、ドクターペッパー買いに行って良い?」
 2,3日前に見つけた少し離れた所にある自販機に行くと言う。
 そこは車通りが激しいので、一人で行くにはちょっと心配だった。いつも通っている駅への道なら良かったのだけれど、そこはあまり通らない反対方向の道。けれども、もう小学年生になっていたので、それくらいの冒険は必要だろう、と思った。
「良いよ~、でも気をつけてね」
 と小銭を渡してはみたものの、心配でしかたがなく、彼が帰ってくるのをキッチンの窓から首を出してまで確認していた。
 無事に帰り着き、おいしそうに飲む姿を微笑ましく眺めていたことを思い出す。
 ドクターペッパーには、こうして次男とのエピソードも加わった。

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