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石橋凌さんのツアーファイナルの一つ前、三井ホールにて。その4
「このバージョンで歌うのは、久しぶりです」
凌さんが言って歌い始めた「魂こがして」。「このバージョン」とは、一コーラス目をバラード調で歌いあげ、その後激しいオリジナルの曲調に移るパターン。
「一生歌っていきます」
といつも言っていた。
今この言葉を言われても、
「そうだよね。一生歌っていってほしい」
と思うだけだけれど、第一回目の解散を発表した日比谷野音では、その場に居合わせた一人として忘れない瞬間になった。
突然の発表。皆怒っていた。特に男子。
平気で、
「ふざけんじゃねぇ~よ!!」
とか、
「何言ってんだよ!!」
とか激しい怒号が飛びかっていた。女子の悲鳴もすごかった。
よくもまぁ、ひどい言葉を投げかけたものだ、と今文字だけ見たらそう思われるかもしれないけれど、あの頃はお客も本気で叫んでいたし、だからそれで退場させられることもなかった。
そのシャウトも、解散という最悪のニュースに色を添える役割をしていたのかもしれない。もっとも凌さんは、後で少し反論はしていたけれど。
凌さんは、たどたどしく言葉を紡ぎながら、
「・・・矛盾しているかもしれないけれど・・・、一生歌っていきます」
と言って「魂こがして」を歌い始めた。
その時点では、また歌う日が来るのか来ないのか、それはいつのことなのかまったくわからないのだから、途方に暮れたものだけれど、2024年の今、また、
「一生歌っていきます」
を聞くことができている喜びと、凌さんが現役でいてくれて、私たちも元気に会場に足を運べる幸運を噛みしめている。
そして実は、そんな解散劇があったことも、半ば忘れているのにも驚く。