石橋凌さんのツアーファイナルの一つ前、三井ホールにて。その3
凌さんは、また語る。
「世の中には放歌(ほうか)というものがあって、大きな声で歌うことなのですが、この『オーライラ』が皆さんが苦しい時や悲しい時に歌って元気になってくれたら良いなと思います」
これは最新アルバムのタイトルともなった「オーライラ」についてのMC。「オーライラ」という言葉には、特別な意味はないらしい。曲が進むにつれて「ショーライラ(将来)」や「ミーライラ(未来)」に変わっていく。そうすると韻を踏みつつ、これから先のことを歌っているんだな、とさらに元気づけられる。
実は。
「オーライラ」を初めて聞いた時、私の頭の中では、ずーっと「ヨイトマケの歌」が鳴っていた。その時は、放歌についての説明もなかったと思う。昨年のことだった。
メロディラインも凌さんの歌いあげ方もすごく良かったのだけれど「ヨイトマケの歌」のことが気になって、帰り道お友達に言ってみた。
「『オーライラ』の時、なぜか『ヨイトマケの歌』が思い浮かんじゃったんだよねぇ」
と。
すると。
間髪入れず彼女は、
「私もー!!」
と言った。
これには、びっくり。
けれど、考えるともうこれは凌さんの思惑通りに曲が仕上がっているということなのでは? 大声で歌い励まされ元気になる「ヨイトマケの歌」と共通している。しかも曲中に出てくる、
「エンヤコーラ」
というかけ声も、遠く歴史を紐解けば意味はあるのだけれど、そこまで深く考えて使われていない。ほぼ「オーライラ」と同じく、音の響きとして曲の間に挟みこまれる。
だから私たちが「ヨイトマケの歌」を思いだしたのは、きっと偶然ではないのだろう。