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京都-大阪を結ぶ大切な水路、淀川沿いにて。鍵屋資料館編

 先日は、京都伏見の寺田屋を紹介した水路に因んだ建物の件。今回は、枚方にある鍵屋資料館に行ってみたよ。
 枚方と言えば「ひらぱー」という愛称の「ひらかたパーク」が有名だけど、鍵屋資料館はその大きな観覧車を背に、川へ川へと歩いて行くと昔ながらのたたずまいで迎えてくれるよ。

 寺田屋と同じく旅行く人の待合所として栄えた場所。復原だけれど、その雰囲気はじゅうぶんに伝えてくれている。

 こんな感じ。
 中のスタッフさんも皆さん親切で順路についても細かく説明してくださった。
 お邪魔したのが平日だったので、来館者も少なくゆっくりじっくり回ることができたよ。


 圧巻は、コレ! 
 くらわんか舟。往来する大型船に近づいて行って食べ物を売るための舟なんだけど。
 口の悪さで、超有名。ごぼう汁、巻き寿司、酒などを扱っていて、その売文句が音声にて再現されていたのを聞いてみるとびっくり。
「ほら、くらわんか!(たべてみろよ、みたいな脅迫めいた言い方)金がなくて食えないか?」
 と売り手が煽ると、
「おまえんとこのごんぼ(ごぼう)汁、この間腐ってたぞ! 買ってほしけりゃ安くしろや!」
 と買い手。
 うる覚えなので、細かいとこは間違ってると思うけどすみません。そして、こんな毒舌のやり取りが延々と続く。でも、「腐ってた」は絶対言ってた。
 それで、びっくりしたんだもの。
 船旅で腐ったものを出されたら、ただでさえ船酔いしてるところきつすぎる! と思ったけれど、そもそもこれが冗談の可能性大。
 お客も、ツワモノ。食べたお椀の数で勘定が決まるので、隙を見て川に器を捨てちゃったらしい。だから、川底にはお椀の残骸がたくさん沈んでたってね。
 過酷な船旅においても、ユーモアを忘れなかった江戸時代の人々の息吹が聞こえてきそう。

 2階にある大広間。当時は宴会で盛り上がっただろうけど、ここも一時期料亭として営業していた時もあったって。結婚式場としても人気で、なるほど洋風のシャンデリアと歴史を感じさせる折り上げ格天井が良い雰囲気を醸しだしてるね。

 料亭でなくても、予約をすれば川を眺めつつ豪華な「鍵屋弁当」がいただけるらしい。
 おそらくこの贅沢な小部屋で。
 今は水がたゆたってのどかな川景色が広がっているけれど、当時は下るのはまだしも上るのは12時間もかかったらしいから、なんと大変な旅。
 ・・・大阪と京都ですよ。今じゃ新幹線ならたったの24分程度なのに。

「良かったら、母屋の方もご覧になってくださにね」
 とまたまた親切にお声かけいただいて、一度屋外へ出て隣接の母屋へ。
 こちらはこちらで当時の雰囲気をたっぷりと味わえる作りになってるよ。

 おっと、びっくり。旅姿の男女登場。こんな格好で旅してたのか。雨や日差し除けに、三度笠や角笠は必須アイテムだったと思われる。
 とにかくくらわんか舟のインパクトが強すぎて、音声が耳に残ってしまったほどだけど、色々と新しいことを知ることができて枚方まで行った甲斐がありましたとさ。
 ああ、面白かった。


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