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移住:南紀白浜の課題と思えるもの5:移動手段

2023年12月に和歌山県白浜町(南紀白浜)に移住しました。みなさんの移住先の候補として和歌山県白浜町を検討する際に参考になりそうな情報をまとめてみます。(あくまでも現時点で私が把握していること、感じていることです。随時アップデートしていきます)


1, 基本的な地形

紀伊半島は山が海岸線に迫った箇所が多く、平地があまりありません。南紀白浜は半島の南側に位置していて、他の地域からの道路は海岸沿いの一本道か山間部を抜けてくるものしかなく、あまり回避ルートが無い状態です。

そういう事情もあり、かつては海路が重要な役割を担っていました。

山によって分断された町や集落が連なる様子は「陸続きだが実際には小さな島になっている」と形容されることもあります。このあたりは能登半島などとも事情は似通っていますね。道路を作るのも大変だし、何か大きな自然災害が起こった時には移動も物流も留まってしまう恐れがあります。


2, 南紀白浜の地形

下の図は白浜の温泉街からは少し離れた場所の地形図ですが、この地域の地形が分かりやすいものです。狭い沿岸部の平地に町が形成されていて、少し移動すると坂→山という複雑な地形です。

https://www.web-gis.jp/GS_Kigan100/html/Kigan100_101pc.html

私の出身は新潟市(新潟平野)で、大学以降の大半は東京(関東平野)で過ごしたので、こういう地形の土地は新鮮でした。海岸線も砂浜あり、岩場あり、崖ありと変化に富んでいて、少し移動するといつの間にか高台に出て、遠くまで見通すことの出来る景色の良い場所に出ます。さらに進むとどこまでも低山が連なっていて、山歩きを楽しむことも出来ます。バイクに乗る人なんかには最高じゃないですかね。


3, 他の地域からの移動手段:電車

大阪、京都などの関東圏、あるいは名古屋から電車(とバス)を使って南紀白浜駅まで行くことが出来ます。大阪から和歌山市までは1時間ほどですが、和歌山県は南北に長いので、そこからさらに1時間以上かかります。名古屋からは紀伊半島の東側の新宮駅まで3時間強、そこからは本数の関係で熊野古道をまたいで移動するバスの方が便利なようです。

http://www.wakayama-nanki.jp/access/train.html

ちなみに「日本一長い路線バス」と言われる八木新宮特急バスが奈良から新宮駅まで走っています。所要時間は6時間以上で、これにずっと乗るのは趣味の領域ですね。
s://www.narakotsu.co.jp/temporary/yagi-shingu/

南紀白浜駅はかつては「白浜口駅」という名称だったことからも分かるように中心街からは離れた場所にあり、そこからの移動は路線バス、送迎バス、タクシー、レンタカーなどになります。なんでそんな場所に駅を置いたのかは諸説ありますが。
かつては駅前に土産物や食堂が並び栄えたようです、高速道路が整備されマイカーで南紀白浜に行く人の割合が増えると駅前は徐々に寂れていきました。地元の住民がわざわざ行く場所でもなくなっています。
あらためて再整備の構想もあるようですが、紀勢本線自体が赤字路線ということもあってJRが予算を掛けて駅舎や周辺の整備を担う可能性は低そうなので、地元自治体次第ですね。

4, 他の地域からの移動手段:高速バス

大阪からはJRと地元業者の明光バスが高速バスを走らせています。本数もそれなりにあります。

中心街まで細かくバス停があるので、荷物が多い人はこっちも便利かもしれません。

また東京からも高速バス(夜行バス)があります。

私も使ったことがありますが、バスの中で眠れる人ならば便利かもしれません。


5, 他の地域からの移動手段:飛行機

地方空港の存在意義については議論がありますが、南紀白浜にとって空港/航空路線の存在は非常に大きいです。先般、空港名の愛称が決まり「熊野白浜リゾート空港」になりました。1日3便、フライト時間は1時間強です。

移住者や長期リモートワークしている人に話を聞くと、この存在が二拠点生活を支えるものになっていると話してくれます。いざという時にいつでも東京に移動することが出来るという安心感。サテライトオフィスの誘致の際にもこの利点をアピールしているようです。

東京から南紀白浜に行く手段としても非常に便利です。なお空港自体や周辺にはほとんど商業施設は無く、路線バス、送迎バス、タクシー、レンタカーなどで目的地に移動することになります。


6, 域内の移動手段:路線バス

公共交通機関としては路線バスがあります。

ほとんど海岸線を走るので、内陸部の高台などカバーしていない地域もあります。他の地方と違い、まだ本数削減などの動きは無いようですが、一社独占ということもあって料金はそれなりに高め。利用者はやはり高齢者が多いようですが、観光シーズンには観光客も利用するので時間帯によっては非常に混みますし、渋滞も発生します。

路線バスの旅のテレビ番組を観ても分かるように、行政区分をまたぐと途端に連携性が悪くなり、他の地域の路線バスやコミュニティバスとの乗り継ぎはかなり不便です。これは日本中同じ状況ですが。

↓ 日付がおかしいですが、鉄道・バス・マニアの方の過去のブログ。


なお期間限定ですが「オンデマンドでの運行」や「夜間帯での運行」なども試行されており、データの取得〜分析は行われているようです。これらが定常的なサービスになると利便性は向上しますね。


7, 域内の移動手段:結局は自家用車

結局はひとり一台を前提として自家用車に依存することになります。都市部と違って駐車場の土地代も安いし、移動先での駐車に困ることもありません。実際に生活すると買い物や事務処理、医療機関の利用などで広域に動く必要があるので、やむを得ないと思いますが、都市部で喧伝されている「コンパクトシティ」とは程遠い・・・それが地方都市の実態ですね。環境問題的にはどうなんでしょうか。

長距離を走るというよりは日常の足としての使い方なので、ガソリン代の高騰の影響も大きくはないと思いますが。

EV充電スタンドもまだ全然少ないです。

このあたりが今後の「町のあり方/構造」を考えていく際の大きな課題ですね。

地形のところでも記述したように海岸沿いの一本道も多く、迂回路が少ないので、交通事故発生時や観光シーズンには渋滞が発生しやすくなります。

大きな自然災害の発生時を想定しても、道路網が寸断されるのは予想されており、各地域が文字通り「陸の孤島」化する危険性もあります。


8, 域内の移動手段:自転車など

コンパクトシティ構想で重要視されている自転車/電動自転車/電動キックボードなどですが、とにかく坂道の多い南紀白浜地区では必ずしも使い勝手はよくありません。長い坂、急勾配の坂、狭い脇道の坂などなど。もちろん本気でトレーニングしているサイクリストの方達には絶好の地形かもしれませんが・・・。

なお町には(特殊なものを除いて)自転車屋さんはありません。修理などはどうやっているんだろう?

観光客に向けにもサイクリングは推奨されています。レンタサイクルのスポットもいくつかあります。

電動アシスト自転車のレンタルスポットはかなり充実していますが、利用料金もそれなりなので日常の足というよりは短期間の観光客向けですね。

なお、和歌山県全体でも「WAKAYAMA800」としてサイクリンロードとしての整備をしています。


9, レンタカー

空港や駅周辺にレンタカー屋さんがあります。

今後はEVなども増えていくのではないでしょうか。


9, まとめ

通販の発達、最寄のコンビニエンスストア、リモートワークの普及、などで「移動」のあり方も変わりつつありますが、物流面でもやはり道路網への依存は大きいですね。物価への影響もありそうです。

公共交通機関の経営状況を考えると、今後もっと整備される方向に行くとも考えにくく、実際に移住して生活するとなると、通勤なども含めて「ひとり一台」の自家用車が必要になるのが現実です。移住先での駐車場の確保も必要です。

さらにずっと住み続けると高齢化〜運転免許証返納の問題に直面することになります。それまでに自動運転車などが普及して課題が解決されていればよいですが。

健康面や環境面を考えると、もっと自転車などを活用したいところですが、自分も自転車に乗って移動していると、長く住んでいる人達からは「無理無理」と言われることも多いです。

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