ACの引越に対する恐怖と思い込み
引越して1ヶ月半たった。
振り返ってみると、なぜ前の物件に固執し、購入しようとまでしていたのだろう。この物件は最高だ、これ以上の物件には巡り会えない、とさえ思い込んでいた。
確かに、便利な場所にあり高級な新しい物件でオシャレであった。しかし、今、落ち着いた雰囲気の古い物件に慣れてしまうと、前の物件の嫌だった面ばかり思い起こされる。
面白いのは、これらマイナス面は、住んでいる最中には「いやだけと考えないようにしていたこと」だった。
例えば、前の通りと横の通りの交通量が多く、特に横の通りはデモ隊が通過する大通りであったので、騒々しかったし、向かいの部屋は子育て世代だったので、1日を通して出入りが多く、親の怒鳴り声もたびたび聞こえてきて騒々しかったし、
おしゃれな内装が意外にも四六時中ストレスであった。
リビングダイニングの床が石のタイルだったのが、とてもストレスだった。とても硬い床なので、何かを落としたら全て割れてしまうし、滑って頭をぶつけたら確実に頭をかち割ってしまうだろう。とても気をつけながら生活していた。見た目はおしゃれだし、掃除は結構楽だけど、人間の生活スペースとしてふさわしくない素材だと思った。
機密性の高い窓と断熱の為か、部屋の空気を排気するために24時間換気扇が回りっぱなしだった。この換気扇はリビングにあるキッチンと浴室とトイレの3箇所についており、回る音が常に聞こえていて、うるさかった。自分の寝室のすぐ横がトイレだったので、寝ている間もうるさかった。特にうるさく聞こえる日は耳栓をして寝ていたくらいだ。昼間にリビングにいてもずっと換気扇の音がしていた。
石のタイル張りの広めのベランダが、とてもおしゃれだった。私も、外用のソファーを置いて、半外の空間を楽しむことがあった。どの住人も好き勝手にベランダに物を置いていた。しかし、これもストレスであった。というのは、隣のベランダとの境界がコンクリートの壁になっていたからだ。
見た目はおしゃれだけれど、火事になっても打ち破って隣のベランダに避難することができない。仮に、日本のマンションのベランダの壁のように、打ち破れるような壁だったとしても、隣の住人は、この広めのベランダに小屋をたてて隣から侵入することができなくなっていた。
このことが、常に私を不安にしていた。前や隣の通りを通行するデモ隊が、暴徒化して道路ゴミを撒き散らして火をつけることがあったからだ。炎が上がっているのが、ベランダからもよく見えた。この炎が街路樹に燃え移り、マンションに飛び火でもしたら?私たちは、確実に焼け死ぬことになる。ベランダに物を置き、隣との壁がコンクリートであることが、いつもいつもストレスであった。
なのに、私は購入しようとしていた。なんと病んでいたことだろうか。引越したら、これらのストレスがすべて解決したのだ。
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