【実験・検証室】 特別編02:コズふわ印刷
コズふわ印刷とは?
2019年10月、デザインのひきだし38(グラフィック社編集部 編)に掲載された【祖父江慎の実験だもの】で、アートディレクターの祖父江慎さん・インキメーカーのT&K TOKAさんとタッグを組み、弊社で新しい印刷表現を模索し誕生した特色印刷。
“ 夢かわいく・澄んでいて・鮮やかなパステルカラー ” を求め、配合した特色を5種の紙にそれぞれ印刷し、計150パターン以上の表現を作成。かわいい見た目に仕上がったインキの配合ルールを見つけ、それに則った4色の特色をチョイスしました。このインキを コズふわインキ ※ と命名。コズふわインキを使った印刷を コズふわ印刷 と呼んでいます。
コズふわインキは、蛍光インキなどの鮮やかなインキと白インキを設定した配合で混ぜ合わせて作っています。※ コズ(コズフィッシュ/祖父江様主宰
事務所のお名前)+ ふわ(夢かわいい・ふわっとかわいい → ゆめふわ)
今回のお話
2023年10月に発売の、デザインのひきだし50 特別号にて、このコズふわインキを使った印刷表現を掲載する運びとなりました。
“せっかくだから皆様にコズふわインキを活用してもらいたい” という想いから、コズふわインキの色チップを作成。その使用例とともに掲載させていただきました。
今回はこれを記念し【 デザイナーのための印刷研究所|実験・検証室|特別号02 】として制作の流れと コズふわ印刷・コズふわインキ の内容をご紹介していきたいと思います。限定のサンプルもご用意しましたので、是非最後までご覧ください。
コズふわインキの種類
コズふわインキは、主に蛍光インキと白インキを決まった配合で混ぜ合わせて作った、オフセット油性印刷用のインキです。今回使用したコズふわインキは下記の4種類です。
● コズふわオレンジ(COZ+FUWA ORANGE)
TOKA FLASH VIVA DX450(マーキュリーオレンジ)+ ベストワン GIGA 白
● コズふわピンク(COZ+FUWA PINK)
TOKA FLASH VIVA DX200(ヴィーナスピンク)+ ベストワン GIGA 白
● コズふわグリーン(COZ+FUWA GREEN)
TOKA FLASH VIVA DX700(ダイアナグリーン)+ ベストワン GIGA 白
● コズふわシアン(COZ+FUWA CYAN)
TOKA ベストワンスーパーテックGT プロセスシアン + ベストワン GIGA 白
どのインキも、通常のプロセスインキ CMY(K)では見ることができないメルヘンでかわいい色合いなので、スタッフのテンションも上がります。
印刷データについて
印刷データはこちらです。
制作時、イメージがつかみやすいように制作ソフトのパレットにインキの色に近い特色を作ってデザインデータを制作しました。色数はどちらも特色4色+スミの5色です。
ちなみにチャート3種は、用紙銘柄記載部分などスミ版のみ内容が違うため、特色4色版は共通版とし、スミ版のみを差し替えて印刷します。
●コズふわチップ
コズふわチップは色見本としてお使いいただけるように100%のベタ(1度刷り)で印刷。右側のカラーバーデザインは、上から100% / 80% / 60% / 40% / 20%の階調を刻んでいます。
●猫ちゃんズ錦絵サンプル
コズふわインキだけでは色の表現が単調なので、単調な印象を脱却するための表現の参考として、使用インキを掛け合わせたサンプルを作成しました。掛け合わせのパーセンテージがわかるように資料もご用意しました。
ダウンロードできますので適宜ご利用ください。
印刷
印刷はオフセット油性印刷で行います。
今回は5色印刷なので、弊社の5色機で一気に刷り上げます。
各胴には下記のインキと版が充填・装着され、1胴目から5胴目の順番に用紙が通り印刷されていきます。
1胴目:K(スミ)
2胴目:コズふわシアン
3胴目:コズふわピンク
4胴目:コズふわグリーン
5胴目:コズふわオレンジ
印刷されたシートはこちらです。
4面付け合わせて印刷したこのシートを断裁すると、デザインのひきだし誌面とサンプルが完成します。
印刷結果はこちら
通常のインキで印刷した時と比べて、クリアな鮮やかさがあります。蛍光インキのみの場合は鮮やかさばかりが印象に残りますが、白インキをプラスしていることで、優しくふわっしたパステル感・ミルキー感がプラスされ、かわいい印象になりました。
データ制作時の工夫
特色4色を単体で使用すると表現が単調になるため、今回はインキを掛け合わせたり網を使ったりすることで表現の幅が広がるように工夫しました。
細かく見ていきます。
猫ちゃんズのお顔はコズふわオレンジの薄い網(20%)で表現しています。若干でも色を入れることによって自然な表現に見えます。
着物はそれぞれコズふわインキにスミ(30%)を重ねることでニュアンスを出しました。このスミを重ねた部分は蛍光感が抑えられ、渋い印象になりました。
左の猫ちゃんの鼻と口は、コズふわオレンジとコズふわピンクを掛け合わせて、若干黄味がかった蛍光ピンクのような色味を表現しています。
鈴の表現は、くすんだ金属っぽさを出したかったので、コズふわインキのオレンジとグリーンを掛け合わせることで黄色方向の色味に。さらにスミを薄く重ねることで、くすみ感を出しています。
このように、使用するインキによって表現の制限があっても、インキ同士を掛け合わせることで表現が広がることもご覧いただける資料になっています。是非、実物をご覧ください。
資料請求でサンプルをお渡ししています
デザインのひきだしの誌面には 撥水ラップという用紙を使っていますが、資料請求用のサンプルは、汎用性の高い一般的なコート紙とマットコート紙を使用しています。クリアなパステルカラーを是非ご覧ください。
今回の印刷検証資料は数量限定のため、コズふわ印刷をご検討中の方に限らせていただきます。あらかじめご了承ください。
● 印刷に関するご相談・資料請求 は こちら
● 簡単!印刷見積もり依頼 は こちら
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