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「とは」とは

「とは」

日本語を使う人たちであれば、一度は使ったことがあるであろうこの言葉。

「〇〇とは何ですか?」と人に聞いたり、「~とは」と検索したり、何か疑問に思ったことを知るときに「とは」を使う。

でも、この「とは」ってどういう語源からきているのかを知っている人は少ないだろう。

私も調べるまで知らなかった。

ということで今回はこの「とは」について調べてみようと思う。


「とは」の意味

そもそも、「とは」とはどういう意味なんだろうか。とりあえずGoogle先生に聞いてみることにした。

どどん

・・・「とは」はどこへ行ったんだろう

仕方ない。辞書たちに聞いてみよう。

とは [一] (格助詞「と」に、係助詞「は」が付いたもの)
① 説明・思考・知覚などの対象やその内容を取り立てていうのに用いる。 ※万葉(8C後)二・一四八「青旗の木幡の上を通ふ跡羽(とは)目には見れども直に逢はぬかも」 ※徒然草(1331頃)一八六「此用意を忘れざるを馬乗とは申すなり」
② 意外・不満・感謝などの感情を引き起こした事柄を取り立てていうのに用いる。 ※万葉(8C後)四・六〇一「情(こころ)ゆも吾はおもはずき山河も隔たらなくにかく恋ひむ常羽(とは)」 ※伊勢物語(10C前)一二五「つひにゆく道とはかねて聞きしかどきのふけふとは思はざりしを」
並列・比較などの対象、また、動作の相手などを取り立てていうのに用いる。 ※徒然草(1331頃)七三「音に聞くと、見る時とは何事もかはるもの也」 ※浮世草子・好色一代男(1682)七「身を居(すえ)てのあし取、また上方とは違ふて目に立ぬ物かは」
④ (数詞に添え、打消を伴って)その数の範囲以上に出ない意を強調するのに用いる。「ふた目とは見られぬ惨状」「一時間とはかからない」 ※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「何時試験にも一番と言って二番とは下らぬ程ゆゑ」 [二] (接続助詞「と」に、係助詞「は」が付いたもの) そのことが起こるたびに。 ※漱石の思ひ出(1928)〈夏目鏡子五八「毎木曜の面会日となるとは、正午過ぎ早早中央公論の滝田樗蔭さんが俥(くるま)でいらっしゃいました」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版

とは [連語]《格助詞「と」+係助詞「は」》 「と」の働きを強めた表現。「予想とは違う結果が出た」 定義命題などの主題であることを示す。…というものは。「友情とは、かけがえのないものだ」 文末にあって、下に続くべき語句を省略し、情意を強く表す。「もうこれきり会えないとは」「君の恋人が彼女とは」

出典 小学館デジタル大辞泉

まとめると、「とは」には以下の意味があるらしい。

  1. 対象を取り上げる・強調するときに使う「とは」

  2. 助詞としての「とは」

1.対象を取り上げる・強調するときに使う「とは」

これはざっくりいうと、「とは」の前にある言葉に対して感情を乗せたり、強調したりする際に使うらしい。例えば

「あんなひどい人だとは思わなかった!」とか「生きるとは難しいね」とか。

ちょっと例がネガティブになったのは微妙ではあるが、とにかくこういうことらしい。

2.助詞としての「とは」

では、2.助詞としての「とは」はどういうことか。

実は、「とは」を文法の視点で見たときに、2つの言葉に分けることができる。もちろん、2文字しかないので、「と」と「は」になる。

この「と」は接続助詞または格助詞、「は」は助詞の意味を持っている。 接続助詞・格助詞といった助詞は会話の方向性をコントロールする役割を持つ言葉である。

もう古典とか現代文とか忘れたよ、とそっとページを戻ろうとしたそこのあなた、ちょっと待ってほしい。私も終わらせたいから。


結局のところ、1の「とは」も、2の意味の「とは」も、強調をするために使っているといっても過言ではないのではないか。

知らない言葉を使うときに、「とは」を使うのも、それ以外で使う場合も、「とは」の前の言葉にフォーカスしているのである。


大阪弁にもあった⁉「とは」

大阪弁にも「とは」という方言があるのをご存じだろうか。(私は初めて知った)

全国大阪弁普及協会という、大阪弁に特化した方言を紹介している協会が「とは」について解説している。

とは
とは、(だ)なんて:そない思われてたとは思わなんだ。 では、じゃ:(後に打ち消し言葉「ちがう」が続く。)おなごが相撲とるもんとちゃう頼んでたんはこれだけちゃう

weblio辞典 全国大阪弁普及協会

大阪弁の「とは」には強調以外に「打消し」の前に使うというのだ。これは今までの意味にはなかったものだ。

この打消しに使う「とは」は上記に挙げた「とは」の使い方よりも、「とはいうものの」といった際に使う「とは」に近い気がする。


まとめ

「とは」とは、「とは」の前にあるものを強調する意味を持っているといえる。わからないものを聞く時の「とは」も、感情を乗せていう「とは」も、「とは」の前の言葉にフォーカスしていることには違いない。

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