強く生きるための名言際立つ本No.2:ミラン・クンデラ【存在の耐えられない軽さ】
こんにちは。
今回は「強く生きるための名言際立つ本」を紹介するシリーズを連載します。
全部で4冊の紹介を予定。
No1:岡本太郎著【自分の中に毒を持て】(2020/01/26公開)
No2:ミラン・クンデラ著【存在の耐えられない軽さ】(2020/01/27公開)
No3:ヘルマン・ヘッセ著【デミアン】(2020/01/28公開)
No4:フランツ・カフカ著【城】(2020/01/29公開予定)
No1:岡本太郎著【自分の中に毒を持て】(2020/01/26公開)
No2:ミラン・クンデラ著【存在の耐えられない軽さ】(2020/01/27公開)
No3:ヘルマン・ヘッセ著【デミアン】(2020/01/28公開予定)
No4:フランツ・カフカ著【城】(2020/01/29公開予定)
それぞれの本はずっしりと、とても読み応えがあります。
そのため読み通し、自分の文化と融合させる=理解する段階に至るまでにはなかなか苦労しました。
しかし、それだけに読者の人生にかなり大きな力を与えてくれる力作であると感じています。
ぜひ、一度手に取って読んでみてください。
それでは、2冊目のスタートです。
この連載の想定読者
✔︎強く生きるための支えになる本や言葉を探している
✔︎強く生きるとは何なのか知りたい
✔︎人生を力強く生き抜くために必要なスキルを身に付けたい
✔︎自分が決めた目標(=ゴール)まで突っ走りたい
✔︎人生において大切にしたい軸を考えるきっかけが欲しい
導入
出典:
【存在の耐えられない軽さ】
ミラン・クンデラ著 千野栄一訳 集英社文庫
導入:
チェコ発の大作です。
これも、【自分の中に毒を持て】同様、手に取ったのは大学時代。
早稲田大学文学部キャンパス内にある生協にて。
ちょうど、「存在」ということに関して気になっていた頃に目に入ったので即買いでした。
内容:
大筋は、この3人を巡る恋愛小説です。
文庫本背面の紹介文には、
「甘美にして哀切。究極の恋愛小説」
とあります。
登場人物:
トマーシュ:主人公。女たらし。外科医として優秀。
テレザ:田舎からやってきた。トマーシュの恋人。
サビナ:画家。トマーシュの愛人。
この物語の舞台は1960年代後半の、チェコスロバキア。
【共産党による民主化vsプラハの春】
による自由化の運動が背景にあり、これが登場人物それぞれの人生ににことごとく重くのしかかってきます。
そのなかで、上記3人を軸として
「存在のなんたるか」
を解明していく壮大な作業を、著者であるクンデラ、そして登場人物のトマーシュやテレザと一緒になって完成させることがこの本を読む目的なのです。
岡本太郎の「自分の中に毒を持て」とはジャンルが大きく違いますが、読者に与えるインパクトや言葉の重みは高いレベルで共通しています。
強く生きるための、名言の引用
われわれの人生の一瞬一瞬が限りなく繰り返されるのであれば、われわれは十字架の上のキリストのように永遠というものに釘づけにされていることになる。
このような想像は恐ろしい。 永劫回帰の世界ではわれわれの一つ一つの動きに耐えがたい責任の重さがある。これがニーチェが永劫回帰という考えをもっとも重い荷物(das schwerste Gewicht)と呼んだ理由である。
p8
Q.これ、どの辺りでの文章だと思いますか?
A.冒頭です。8ページ目でこれです。笑(答え書いてあるけど)
まだ主人公(トマーシュ)さえ出て来てないというのに。
あれ、読む本間違えた?これは哲学の解説書かな??ʕ•̫͡•ʕ̫͡ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ̫͡ʔ-̫͡-ʔ
と一瞬思ってしまいます。
けれども、この導入はこの作品を読み解くにあたって不可欠なものなんです。
これは何なんだろう?を読み解きたい。
不確実なものの解明を試みるその作業の出発点は、しっかりとした土壌の上に立たせたい。と考えるものです。
最初から不安定な土台の上には、安心して住める家は建てられません。
存在が重いって何?軽いって何?どっちがいいとかあるの??
のスタートはここで切られます。
彼(トマーシュ)にはふたたび自由な独身者の生活、かつて運命によってそう定められ、そこでのみ本当に彼が彼でありうるということが確かであった生活が戻ってきた。ーーー存在の甘い軽さを楽しんだのである。
p42
トマーシュはある日突然やってきたテレザと7年間一緒に生活しましたが、なんと彼女はまたある日突然に去っていきました。
このことを受けて、トマーシュがどうなったかを説明したのがこちら。
テレザという人生の「重り」から解放された彼は、何をすることもためらわない自由を手に入れました。
危険な香りのする方へ向かい、蜜の味を楽しむ。
ああ、この開放感。なんて自由なんだ!と。
しかし、この存在の「軽さ」の至福は長くは続きませんでした。
テレザがいなくなって数日後。
自分という個人の存在に対して軽すぎるほどの軽さを感じ、疑問を持つのです。
そしてその軽さに、「自分の存在の意味=重さ」を与えてくれていたのは何だったのか。?誰だったのか?
彼は、テレザに会いに行きます。
「存在」の重さ軽さが、いかに容易に変化してしまうか。
そしてそれは、どちらの極にしても「失った」ときに取り戻すのがどれほど大変なことか。考えさせられます。
【存在の耐えられない軽さ】まとめ
・自分の存在が、社会のなかでどのように受け入れらているのか?
・自分の存在は、いったい何であるのか。 ?
・自分は、誰かに必要とされているのか。?
もしそうであれば、それはその度合いに応じて逃げられない「重さ」にも
なるが、それを自分は受け入れられるのか?
誰しも、考えずにはいられないテーマですよね。
存在の軽さ。存在の重さ。自分の存在の、その比重をどのように考えるか。
どの程度であれば、満足して生きていけるのか。
この答え探しは、自分の生きる理由を見つけてくれるでしょう。
そしてそれが、人生を強く生きる手掛かりとなります。
今や転職活動が当たり前の時代。
自分のキャリアアップのことを考えれば、一つの会社に長く勤めることよりも外に出ることでより一層自身を高めていくことは重要な選択肢として手札に持っておきたいもの。
だからこそ、自分の人生には“これだけは譲れない”というブレない軸が欲しいですね。
人生に大切なそんな軸をちゃんと考えたい、その足掛かりとしたい、なんて方に読んで欲しい一冊です。