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2014年9月の記事一覧
第六話 神のみぞ知る
膝が萎え、体が重力に従って地面へと倒れ込む。
けれど私の体は地面に打ち付けられることなく、後ろから自由を奪う手によって支えられていた。
「おや、もう眠くなってしまったの? まだ眠るには早い時間だというのに」
歌うように軽やかな声が言う。
必死に顔を上げようとしたけれど、視界が暗くなり話すその人の表情が見えない。
「そんなに眠りたいなら仕方ないね。ボクの屋敷に招待してあげようか」
ふいに体が
第五話 過去の残した傷跡
──避けられない。
柔らかな笑みを浮かべた天使の像は、背丈が私の半分ほどもある。
それが台座からずれ、今まさに私の頭上へと落ちてこようとしていた。
ぶつかれば、それなりの怪我をするだろう。
痛みを覚悟し、私はささやかな抵抗をするように目をきつく閉じる。
その時──……。
「っ……触るぞ」
低い声が聞こえたと思った瞬間、腰に回された腕にすごい力で引き寄せられた。
息を呑む暇さえなく、もちろん頷