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書き足した線で原型が分からないショートケーキ。

赤と白の色を見ると人は喜ぶのか?
おめでたい色らしいしな。ショートケーキは乙女の憧れ。乙女は女ではない。乙女は男ではない。乙女は乙女なのだ。老若男女関わらず、みな少女性を持っている。つまりは乙女も老若男女誰でも当てはまる。そんなみんなの憧れ、とは言い切れないのか。

美術部だった私。訳もなくクロッキー帳に生み出したショートケーキ。「形歪じゃん」と漏れ出した一言。たしかにって笑って返したけど、別に何も考えずに描いたんだから歪でしかないだろ。私は絵なんて上手く描けない。それ以前にうまく線を重ねられない。線を重ねすぎて歪になったのか分からないけど、私のショートケーキは歪らしい。

ただ、ショートケーキは美味しい。私はクリームが苦手だからあまり食べないけれど、あそこの街のあの角を曲がったところにあるお菓子屋さんのショートケーキは美味しい。苺も少し多めに乗っている。幸せの味だ。いや、それは苺の感想かもしれない。

線を重ねすぎては原型が分からなくなって、線を重ねなすぎても原型にならなくて。世の中は不思議だ。訳がわからない。そんなこんなで私はひたすらにショートケーキを倒さないように突き続ける。

ショートケーキにはネガティブなどない。私がどんなに悲しんでいようがお構いなしに輝いている。それは幼い子からしたら宝石のように見えるかもしれない。プリキュアの影響で一時期とてもパティシエになりたかった時があった。けど、それもまた一瞬だけの話だし、私はそういう作業が苦手だ。アイデアはあるけど行動に移しきれないところとか。

夢はまた夢の話だし、ショートケーキは相変わらず美味しいし。きっとこの話も全て明晰夢だろう。

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