令和6年(2024)9月19日、お不動さまご巡行<宿:本覚寺様(神奈川県横浜市)>
令和6年9月19日(木)、横浜市鶴見区獅子ヶ谷の天台宗・本覚寺様へ、当山のお不動さまがご巡行(出開帳)されました。
ご巡行は、厨子に入ったお不動さまの尊像が他所へと出向き、そこで多くの方にご参拝いただき、縁を結ぶ行事です。
これはもともと例年4月に、同じ獅子ヶ谷のお宅がご巡行の「お宿」となって受け継がれてきましたが、継続が難しく宿を返上されるとのことで、このお宅とも縁の深い本覚寺様にご相談差し上げたところ、こころよくお引き受け頂いたものです。
本覚寺は、天和3年(1683)、獅子ヶ谷村名主 横溝五郎兵衛によって堯弁和尚のもと開かれた天台宗の寺院。ご本堂は、昭和20年(1945)の横浜大空襲で被災したものの、昭和63年(1988)に木造建築で再建されました。
ご本尊は金剛界大日如来木坐像。そして本堂左手の三角屋根の建物は新しい意匠で再建(神奈川建築コンクール優秀賞受賞!)された観音堂で、如意輪観世音菩薩がおまつりされています。
昨年(2023)初開催となった本覚寺様でのご巡行。今年は秋の名月の季節に新設された行事「十七夜待」と同時開催となりました。
当日は13時に本覚寺ご住職様と場開きの法要を営み、そこからは参拝者をお待ちしました。お彼岸の入りの日で、墓参の方が見えると、ご住職は気さくな言葉を交わします。当然のこととして参拝者すべての方のお顔とお名前を覚えておられ、親密な関係性を築いておられる様子が伺えます。
また地域の子供たちが多くお参りだったのも印象的でした。中には仏像が大好きな子もあり、「お不動さまを近くで見られる!」と仏教美術の側面からこのご巡行を楽しみにしていた様子。興奮で顔を赤くし目を輝かせながらお参りしているその姿に立ち会えたことが、今回のハイライトとなりました。
夕方から天気が崩れるとの予報の中、以前「お宿」を務めて下さっていたお宅もお参りにお越しくださり、嬉しい再会となりました。その頃になると雨も降り始め、遠くでは雷鳴が。おかげで雨宿りがてら、ゆっくりとお話しをすることができました。「このあたりは水害はない土地なのよ」というその方の言葉通り、少し経つと雨は止み、17時から「十七夜待」の法要を営みました。
18時にお不動さまを閉扉し、このたびのお礼をお伝えし、等覚院に帰山。戻ると夜空にはきれいな月が出ていました。
冒頭に記したように、ご巡行は、厨子に入ったお不動さまの尊像が他所へと出向き、そこで多くの方にご参拝いただき、縁を結ぶ行事です。
今回のように、等覚院に来たことがなくともそこでお不動さまとの縁を結べたり、また旧縁のつむぎ直しができたりする。そうすることで、より仏様を身近に感じるようになったり、未訪のお寺に行ってみようかなと思えたりする。それはとても未来があることに思えるのです。
本覚寺様、このたびは貴重な機会を有難うございました。
重ねて御礼申し上げます。
(副住職 記)