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持田瀞 Mochida Toro
2019年2月10日 22:08
目を覚ますと、そこには崩れ落ちた研究所があった。 「皆は…?」菜々子は辺りを見回すが、煙で周りがよく見えない。「俊!」思い切り叫んでみるが、返事はない。菜々子は胸がざわついた。「まったく、これだから菜々子は」突如声がして、振り返るとピヨと零だった。「こういう時は、アンドロイドが人間を助けないと。一体何年アンドロイドやってるの?」ピヨが笑って言う。「ピヨ!零!」零も「ほんと
2019年2月10日 22:07
「お父さん、もう、やめよう」そのとき、声がして全員が振り返る。ピヨと零だった。零も記憶を思い出し、そして自分の心を取り戻したのだ。「そんなの、お母さんの望んだことじゃないよ」零が言うと、箸本は首を振る。「何を言うんだ。睦美は今だって言っているぞ。世界を平和に、と…」「それは、お母さんの言葉じゃない。サイバー・Cの機械にいつからから組み込まれてしまった人間たちの欲望が、そう言わせてる
2019年2月10日 22:05
「電磁波対策もないまま、飛び込んでくるなんて、君たちは思ったよりもバカだったんだね」手に持ったスイッチを軽く投げながら、箸本は冷ややかに笑う。ウーちゃんはその場で固まったまま動かない。目だけがきつく、箸本を睨み付ける。俊は黙ったまま、表情を変えずに箸本を見つめていた。「そもそも、君たちは一体何のためにこんなことをしているんだい?辛い事実なんて、記憶から消した方がずっと平和に生きられる
2019年2月10日 22:04
「やっぱり戻ってきてくれたね」近づいてい来る零の瞳は、虚ろだ。笑顔が怖い。この笑顔を私は知っている、と菜々子は思う。これは零ではない。アイツに支配されている時の零だ。「さ。菜々ちゃんが来てくれたことだし、始めようか」何を?と言う間もなく、零が菜々子の腕を掴む。「おい、零。ちょっと話を聞け」ピヨがその腕を抑えて言うと、零はピヨを一瞥した。「君はNo.1だね。君には用はないよ?何し
2019年2月10日 22:02
x月x日。今日から私は日記を書くことにした。この頃、気づくと記憶が飛んでいるからだ。x月x日。零の体調が悪い。また無意識に活動してしまっているらしい。活動の後、零はいつも自己嫌悪だ。x月x日。最近、お父さんはいつもメインコンピュータの前でぶつぶつ言っている。あれはもう、お母さんではないのに。x月x日。私の腕に腕輪がつけられた。いよいよ実験が最終段階に入ったのだ。これ
「逃げて、逃げて」頭の中の声はもう聞こえない。あの時、頭の中の声に無条件に従って逃げてきたこの場所に、私は今、帰ってきた。今度は、自分の意思で。昨日の夜ー。「二手に別れる」俊はピヨが作った地図を指しながら言った。「やるべきことは研究内容の消滅。中央の司令室にあるメインコンピュータがすべての元となってるはずだ。こいつを壊す。これは俺がやる」「えっ!一人で出来る?」ピヨが思わず声を