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わかっちゃいてもイヤイヤ期は大変。どう対処する? #名著に学ぶ子育て[5]
「バナナたべたい」と娘。
はいはい、とバナナを一本取り出します。
でもこのまま「どうぞ」と手渡してはいけないのがイヤイヤ期。
「バナナの皮は自分でむく?ママがむく?」
「このまま食べる?それとも小さく切ろうか?」
「お皿にのせる?お皿はどれがいい?」
娘のイヤイヤ発動スイッチはどこにあるかわかりません。娘の希望を一つひとつ入念に確認し、まちがいのないように対応していきます。
それでも、です。
「ちーがーうーのー!じぶんで おくのーーー!!!」
ふとした瞬間に地雷を踏み、娘は絶叫。
「そっか、自分でお皿に置きたかったんだね。元に戻すから並べてくれる?」
機嫌をなおしてもらおうと試行錯誤するものの、一度へそを曲げたイヤイヤモンスターは手ごわいもの。絶叫がおさまるのを見守るほかありません。
これが毎日……いや、毎分毎秒続いていく。それがイヤイヤ期。
「イヤイヤ期は成長の証」
「イヤイヤ期は誰もが通る道」
そんなことは百も承知だけど、大変な時期だという事実に変わりありません。
そんなイヤイヤ期の悩みに寄り添ってくれるマンガがありました。
ふじいまさこ著『ママは悪くない! 子育ては”科学の知恵”でラクになる』
この本は、2016年に放送されたNHKスペシャル「ママたちが非常事態!?」をマンガ化したもの。子育てでよくある困りを最新科学で紐解いていくという番組です。
その中で、イヤイヤ期についてこんな解説がなされていました。
人が何かを我慢するとき、脳の「前頭前野」という部分が働くのだそう。前頭前野の抑制機能が働くことで、本能的な欲求を自分でコントロールできるようになっていくのです。
しかし、脳が発達途上にある小さな子どもは前頭前野があまり働いていないことがわかりました。
そう、これがイヤイヤ期の正体。我慢しようにも、彼らにはまだ我慢するための道具がないんです。
やがて脳が発達して前頭前野が機能するようになればイヤイヤがおさまります。これが俗に言う「天使の4歳」の頃なのでしょう。
だからもし「我が子がイヤイヤするのは、私の育て方が悪いのかも?」なんて悩んでいるなら、今すぐ解放されてください。
イヤイヤするのはわがままじゃない!
未熟な脳ではそもそも我慢するなんてムリ!
ってわけです。
とはいえ、イヤイヤ期の原因がわかっただけで親の苦労がなくなるわけじゃありません。地雷を抱えながらの子育て、大変ですよね。
では、どうすれば子どもの前頭前野の発達を促せるのでしょうか。
気をつけたいのは、我慢させたいときに親が「とにかくダメ」と怒るのは無意味だということ。
「ダメ!」と怒られたとき子どもの脳で働くのは、恐怖や不安をつかさどるへんとう体です
恐怖で一時的に欲求が抑え込まれますが、前頭前野の抑制機能は働きません(p.67)
恐怖で我慢するときと、自ら欲をコントロールして我慢するときでは、働く脳の部位が違うんだとか。
正しく前頭前野を鍛える方法として、ニューヨーク大学教授クランシー・ブレアさんが提唱する「子どもが、自ら我慢するようにうながす」やり方が紹介されています。
簡単なゲームを通して脳を抑制機能を育めるんだそうです。
2人1組の子どもたちに「口」と「耳」の絵が描かれたカードを渡します
「口」のカードの子は、絵本を朗読します
その間、「耳」のカードの子は、だまってお話を聞くというルールです(p.68)
もし「耳」のカードの子が話し出してしまいそうになったら……
「あらあら、あなたのカードは何だっけ?」
「あ!」(p.68)
小さな子どもが納得できるルールを用意することで、楽しく「我慢する」という経験を重ねられるというわけですね。これが前頭前野の発達に効果的なんだそうです。
日常でも、子どもが納得できる範囲でルールを作り、少しずつ我慢する経験を積んでいけるといいですね。
あくまで、無理なく、できる範囲で。
***
この本では、イヤイヤ期以外にも産後ママの孤独感や産後クライシス、子どもの夜泣きや人見知り泣きなど、親なら誰もが「あるある!」と共感するテーマが取り上げられていました。
どれも科学的知見に基づいた解説がされていますが、マンガだから読みやすいしわかりやすい。忙しい子育て中でもスキマ時間にサクッと読み切れます。
読み終わる頃には、子育てのあらゆる悩みが「そっか、それならしょうがない!」と思えちゃう良書でした。
ふじいまさこ著『ママは悪くない! 子育ては”科学の知恵”でラクになる』