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なんでこんなで産まれたの?

と、寝る前に娘から言われた。
欠損している軟口蓋の補強の為に2年ほどつけている矯正器具がハマりにくく、イライラしている時によく聞く愚痴。

娘は口唇口蓋裂で産まれて、既に3度の手術を乗り越えている。
2週間に1回の口腔外科も、矯正器具制作の為の型取りも、鼻からのカメラ挿入も、いつも頑張って乗り越えている

そういえば今日は夕食のレストランでも、小学校の友達とのいざこざや不満をいつもより多く語っていた。
レストランでは付き合って2年目の彼氏のように頑張ってウンウンと応答していたんだけど、共感と理解が足りなかったらしい。
不満のままレストランを後にし飴も買ってあげたけど、甘味もあまり効力がないらしかった。
家に帰り、寝る前の歯磨きをしている時にどんどん元気が無くなりながら、娘が悲しそうに言った。

娘「あおちゃんはこんな(口唇口蓋裂)で産まれたくなかった」
俺「そやろなぁ、しんどいもんな。代わってあげたいというか、しんどい事はなるべくなくしてあげたいわ」
娘「もうやだぁ」
俺「そやな、でもな、神様が決めてん。あと、神様は色んなところにいるし、なんなら自分も神様やから。でな、しんどいけど、神様はしんどくてもその人が乗り越えられる事しか決めへんねん。」 「神様と、俺は見てるで。あおちゃんが頑張り続けてるの」
娘「それでも嫌や、もう嫌や」

初弾撃沈
気分が良いとこのくらいで渋々と寝てくれるのだけど、だいぶ鬱憤が溜まってる様だった

娘「とと(僕)もつけてみたらいいねん。はじめは痛いし、口の中気持ち悪いんやで」
僕「すまんなぁ、できたら代わってあげたいけど、できひん」
 「でもな、ととはあおちゃんと楽しく過ごして、あおちゃんのお口がキレイになる為に仕事頑張ってるねん。代わってあげられないけど、病院のお金もご飯のお金も、ととが仕事してるからあるねんで」
娘「わかってる…」

うーん…
こんな風にしか接することができない自分に嫌気が差す

つい最近ママが居なくなった理由を、今までの【遠くに仕事に行っている】から【離婚して、今は別の人と暮らしている】に変更させてもらった。もう会えないことをしっかりと伝えると、やはりショックを受けている様な、それにしては既に理解していた様な、やっぱりわかってない様な、への字顔を浮かべていたのを覚えている。

嘘をついたことを謝り、その嘘は小さな君達を傷付けたくなかったことを弁明した。
それから子供たちは、離婚を理解できない中でも、何かしら気持ちをもうママには会えない方向に向けてくれている。確かにGoogleフォトの昔の写真を漁るブームが再来しているのはこの告白のせいだろうけれど。

「おいで」
とベッドで手を広げると娘が胸に飛び込んでくる。
仰向けになりながら抱きしめると、えーんと泣き出した。
若干7歳には到底抱えきれないストレスが溜まっていたのだろう
色々ごめんと、心のなかがちょっとヂクヂクしながら、胸の中で頭を撫でる

「泣きな。頑張っててもしんどい時はね、安心できるところで思いっきり泣くの。」
『えーん』から『わーん』に泣き声が変わり、僕のシャツが涙でびちゃびちゃになっていく。
本当にこの子には色んな物を背負わせてしまっている

息子も心配そうに頭を撫でながら、娘に向かって『神様が決めてん』とか言ってる。息子よ、既にそのフェーズは終わったんだよ。黙っててくれ。

仰向けで抱きしめながら、ゆっくりと、ぽつりと話しかける
僕「いい?頑張って駄目な時は、泣いて自分を許してあげるのも大事。泣くとね、ちょっとだけ嫌な気持ちとか悲しい気持ちが流れて小さくなるから。 でね、小さくした悲しい気持ちはね…」
娘「…なに?」
僕「寝たらだいぶ消える」
娘「え?笑」
僕「そのあとは楽しいことしたら大丈夫、元気になる。だから、まず、泣くときは我慢しちゃ駄目」
娘「うん…
僕「しんどかったらしっかり泣いて、不安も嫌な気持ちもちょっと小さくなってくるよ」
娘「うん。」

ほんと、いい子で申し訳なくなる。
俺はこの娘と息子じゃなかったらシングルファザーなんかできなかった。

僕「はじめより小さくなってきた?」
娘がうんっと顔を上げると、目に笑みが戻ってきていた。
僕「偉いね。じゃあ、寝よ!で、明日は動物園と釣り行こ!」
娘「やったー!」

息子「やったー!(ドライブで車みれるー!)」
僕「やったー!(釣りいけるー!)」


とまぁ、こんな感じの
子ども達に助けてもらってばかりの毎日の話。



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