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読書レビュー ガーンズバック変換

 面白さ★★★★☆
 オススメ★★★☆☆
 難しさ★★★☆☆
 ページ数:302

 ひとことで表すと……中国人作家である陸秋槎の近未来SFなどの短編集

 タイトルのガーンズバック変換を含む8編からなるSF短編集となっている。全体的に難解めで、読みはじめ2〜3編はなかなか読み進みづらかったが、段々と慣れて最後には世界観にどっぷり没入していった。

 ガーンズバック変換の短編は、香川県のネット・ゲーム依存症対策条例とアニメ「電脳コイル」からインスピレーションを受けた内容になっており、条例によって香川県民は映像やスマホを基本的に見る事ができなくされ、脱法メガネのような機器を他県から入手して映像やスマホを利用しようとする女子高生が主人公のSFとなっている。「電脳コイル」を視聴したことがあることもあり理解しやすく、そんな電子機器を物理的に封印された生活はどんなものなんだろうか、今の生活は電子機器に支配された生活かもしれない、ということなど様々なことを考えながら読む事ができ、近未来SFとしての面白さを存分に堪能できた。

 この短編以外にも宇宙論を絡めたオープンワールドゲームクリエイターの話や、AIと数学の証明とブラックボックス化された社会についての話など興味深い短編が多く、全体的にしっかり楽しめる多種多様な面白さがある内容となっている。途中これはSFなのか?と思う様な短編もあり、読み方が難しかったが、どういう本なのか理解が進んでから特に楽しく読む事ができたので、読む際には頑張って半分はまず読んでみて欲しい。

今回の本:ガーンズバック変換 著 陸秋槎 訳 河井幸作 稲村文吾 大久保洋子 早川書房 2023

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