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日本の腰痛研究は遅れている

腰痛治療の現状

日本では、腰痛の治療に関してさまざまな治療法が乱立しており、患者さんはどの治療法を選択するべきか分かりにくくなっているというのが現状です。
腰痛の場合は、ほかの症状と異なって、ほとんどのケースで原因が特定できないことが治療を難しくしています。

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そのため慢性的な腰痛で苦しんでいる人たちが世の中にはたくさんいらっしゃいます。
本来初期に適切な対応をすれば遅くとも1か月以内に改善されるはずの腰痛が、なぜ、ここまでこじれてしまい、多くの”腰痛難民”を生み出してしまうのでしょうか??

日本とアメリカの腰痛治療の違い

日本では、腰痛を起こすとまず整形外科に行くことを勧められ、レントゲンを撮られます。そして椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの身体構造上の問題との関連性を指摘され、恐怖心を植え付けられてしまいます。さらに「一度なった腰痛は再発する」という思い込みによって、そういった現実を引き寄せてしまうのです。

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一方アメリカでは一般的に、いわゆる腰痛(危険性の除外された腰痛を指します)というのは治療などしなくても自然に改善すると考えられえています。そのため、急性期には病院へ行く代わりに、温熱療法やカイロプラティック、マッサージ、鍼治療などの代替療法を受けることを勧められます。
また、慢性期の腰痛に関しては、認知行動療法、運動療法が科学的根拠に基づき推奨されています。ほかにもリハビリ、さらには太極拳やマインドフルネス(瞑想)、ヨガなどを受けることを勧められます。

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日本の腰痛研究は遅れている

日本では、つい最近まで「椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの身体構造上の問題が、腰痛を引き起こしている」という説が、医学的にも一般的にも信じ込まれてきました。

しかし、その分野の研究がだいぶ進んできた結果、
最近は「椎間板から飛び出している髄核が神経を圧迫しているからといって、必ずしも痛みが出るわけではない」ということがわかってきました。

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もし脊髄神経が圧迫されていたとすれば、痛みではなく麻痺という状態に陥るはずなので、痛みがあるということ自体が生理学的に矛盾しているのです。

日本ではこの分野の研究はだいぶ遅れていて、2012年になってようやく日本整形外科学会と腰痛学会などでも「腰痛の85%は原因不明で、心理社会的要因によるものである」という新しいガイドラインが制定されました。

しかし、いまだに腰痛になって整形外科に行くと、レントゲンの画像をもとに「ヘルニアがありますね」とか「狭窄で潰れていますね」などと診断去れた挙げ句に、「腰痛を完治するために手術をしましょう」と言われるケースが多くみられます。
その結果、手術をしても痛みが再発している人や、腰痛が一向に改善されず転院を繰り返している人など、いわゆる”腰痛難民”の人たちがこの世に多数存在しています。

そもそも腰痛の原因でないものを手術して取り除いたところで、腰痛が治るはずがありません。1995年に国際腰痛学会の腰痛研究データでは「ヘルニアや脊髄神経の圧迫と、腰痛による痛みは無関係である」という論文も発表されています。

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