英国諜報員アシェンデンの感想を書いたバイヤー猫
更新者前書き
皆さんご無沙汰しております。
もう半袖短パンではいられなくなり、寂しい季節となってしまいました。最近は爆弾低気圧が私を苦しめ、頭痛による頭痛で気が滅入ってしまう今日このごろです。
ダイエットを本格的にやろうと思い、白菜を煮てポン酢で食うやつをやっておりますが既に限界を感じております。鍋キューブとか買って、味変しながら何とか減量を果たしたいと思います。
さらば今年の食欲の秋。
さてバイヤー猫が読んだのは、英国諜報員の本みたいです。ジェームズ・ボンド的なやつですかね。読んでみましょう。
サマセット・モームの簡単なプロフィール
(1874-1965)イギリスの小説家・劇作家。フランスのパリに生れるが、幼くして両親を亡くし、南イングランドの叔父のもとで育つ。
本当に諜報員だったようで、スイス・ジュネーブで諜報活動をしながら、表向きは劇作家として活動していたらしい。
面白い作品こそがわが文学、小説の真髄は物語性という信条を持っている。
英国諜報員アシェンデン 感想
英国諜報員アシェンデン サマセット・モーム著 金原瑞人 訳
第一次大戦では軍医、諜報部員として従軍した著者がその経験を元にして描いたスパイ小説。ロシア革命と第一次大戦の最中、作家のアシェンデンが英国の諜報員として中立国のスイスを拠点にヨーロッパ各国を渡り歩く連作短編。
作家はその職業柄、小説の題材の為に各地にいることが珍しくないため諜報員をしていたことが事実としてある。モームは前書きではっきりとフィクションであることを告げている。
モームは事実を小説にすることを旨とはせず、作家がそこにドラマやユーモアを加えることに小説としての楽しみが生まれることに言及している。ノンフィクションはドラマチックではあるけれど、それならニュースを読むのと変わらないわけで、ノンフィクションの良さを否定しているわけではないけれど、モームの前書きがすごく好き。
で、小説の感想。まずはっきりと面白かった。アシェンデンの中途半端な立ち位置が絶妙で、それなりの決定権を与えられながらもあくまで中間よりやや下くらいの立場。上司Rからの密命をおび、メキシコ、ギリシア、インドなどの諜報員や工作員と接触しつつ仕事をこなす。
アシェンデンの人間観察眼というか優れた洞察力による、人間描写が抜きん出ていて面白い。ちょっとした登場人物も個性豊かで濃い。こいつは危険でできるヤツだっていう人物が、最終的にオイッて突っ込み入れずにはいられないようなヘマをしたり、お喋りすぎて殺したくなるような旅の道連れもそれなりに好きだったり、アシェンデン自身も有能なようでそうでもないところが魅力。
1928年に書かれた小説をここまで読みやすく、古臭くない訳にするのは訳者の力だとも思う。読みやすい=軽いということではなく、その時代の背景や習慣はしっかり残しつつ、今でも面白く読めるってことが凄い。
もともとは、『やりなおし世界文学 津村紀久子 著』で紹介されていたのを読んで、読みたくなったのが、きっかけ。紹介されていたのはちくま文庫の『アシェンデン 英国秘密諜報員の手記』の方。やりなおし世界文学はネタバレあるのでちょっと注意。
『ジゴロとジゴレット サマセット・モーム 著』にもアシェンデンが登場するらしいので、近々読みたい。
評価
バイヤー猫に評価を聞いてみたところ
評価は★★★★★
だそうです。
最高に面白かったようです。
更新者あとがき
昔の翻訳本って、本当に読みづらいものが多いですが、これは読みやすかったようです。古臭くもないと記載ありましたが、現在の大衆文学に近い感じだったんですかね。
英国諜報員って響きかっこいいですよね。英国も諜報員も両方かっこいいのに、それが合わさるってアメリカ生まれの食べ物みたいな感じです。そりゃパンにハンバーグとチーズを挟んだらそりゃ旨いだろうってことです。
まあ諜報員もそんな晴やかな仕事ではなく、本当に心身が疲弊する凄まじい職業何でしょうね。バレたら拷問や尋問でしょうし・・・。
現実はジェームズ・ボンドみたいに、ヘビ型拳銃でズドン!とはならないんでしょうね。
次回は何を読むのでしょうか。