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#詩の書き方
【詩の書き方 34】
それ [完璧なソネット] は本来的には、無駄な言葉のいっさいないソネットを意味するのであるが、実際には夾雑物の固まりとなって現われる。
つまり、端的に言えば、それは残りかすであり、無用の長物なのである。
ボルヘス
【詩の書き方 33】
[シュルレアリスムの目標とは]
あまりにも分裂している数々の世界、
つまり覚醒と睡眠、
外的現実と内的現実、
理性と狂気、
さめた認識と愛、
生活のための生活と革命
等々に分裂している数々の世界のあいだに
一本の導きの糸を投げること
ブルトン
【詩の書き方 32】
新聞を用意しろ
ハサミを用意しろ
つくろうとする詩の長さの記事を選べ
記事を切りぬけ
記事につかわれた語を注意深く切りとって袋に入れろ
袋をそっと揺り動かせ
切りぬきをひとつずつとりだせ
袋から出てきた順に一語ずつ丹念に写しとれ
きみにふさわしい詩ができあがる
いまやきみはまったく独創的で魅力的な感性をもった作者というわけだ
まだ俗人には理解されていないが
ツァラ
【詩の書き方 31】
芸術の魔法は、迷信に基づかない唯一のものである。現代の同胞は、自分らが真理を見るに耐えないため、生きた芸術から眼をそらせてはいないか。
現代では口先だけの告白である高次の真理と、だれも敢えてそれに従って生きようとするもののないいっそう深い内奥の真理とがある。
ココシュカ
【詩の書き方 24】
一般的な法則としては、言葉の新しい組み合わせを見つけるようにすることだ。(奇を衒うためではない。人間は誰もがものごとをそれぞれ違った目で見ているからだ。それを表現するには、自分自身の言葉を見つけねばならないのだ)。もはや何の意味も持たない形容辞は使わないこと(「騒がしい街角」)。
ナボコフ
【詩の書き方 23】
つまり、彼らが前世代の詩を、それが頭脳に残す味覚のために賞賛したこと自体は正しかったのだが、そういう味覚を読者の頭の中につくり出す過程で、頭の中の味覚のようには感じられない仕事をひじょうにたくさんやらねばならないことを見逃した。そのため、頭の中に概念として一つの味覚をもち、それをそのまま紙に移そうとしたために、彼らのつくり出したものは輪郭のぼやけた、ひとりよがりで面白くないものになったのである。
【詩の書き方 22】
カンボリオ家の息子で孫の
アントニオ・トーレス・エレディアは、
五つの三角帽子にかこまれて、
柳の小枝を持たずに来る。
(ロルカ『セビーリャの道でアントニート・エル・カンボリオの捕縛』)
「柳の小枝を持たずに」とわざわざ書いておくことによって
「柳の小枝を持った」状態をも同時に想起させる量子論的幻惑。
文章の技巧以外でこのような効果を生みだせるだろうか。
「たとえその午後の母など